スズキ・ジムニー《写真撮影 中野英幸》

今は小型/普通車ではSUVの人気が高く、トヨタでは『ライズ』、『ヤリスクロス』、『カローラクロス』という具合に新型車を次々と投入している。その一方で軽自動車の販売も好調で、新車として売られるクルマの37%を占める。そこで注目されるのが軽自動車サイズのSUVだ。

軽乗用車の販売構成比を見ると、全高が1700mmを超えるスライドドアを装着したタイプが50%以上を占めており、SUVの車種数は意外に少ない。それでも魅力的な3車種が用意されるので、販売ランキング形式で取り上げる。

◆3位:スズキ・ジムニー(2021年上半期の届け出台数:1万4554台)


『ジムニー』は軽自動車である以前に、本格的な悪路向けのSUVだ。『ハスラー』や『タフト』は前輪駆動をベースにした乗用車系のプラットフォームを使うが、ジムニーは耐久性の優れた専用のラダー(梯状の)フレームを備える。足まわりも悪路向けに専用開発された。

駆動方式は後輪駆動をベースにした4WDで、悪路で駆動力を高める副変速機も装着する。初代モデルを1970年に発売して以来、日本の林道や雪道に最適なSUVとして、ビジネスユースを含めて高い支持を得てきた。


悪路走破力が高い代わりに、ハスラーなどに比べて後席と荷室は狭い。4WDシステムは悪路向けのパートタイム式だから、カーブを曲がる時に前後輪の回転数を調節する機能を装着していない。従ってスリップの生じにくい舗装路では4WDを使えず、後輪駆動の2WDで走る。

つまりすべてが本格的な悪路向けのSUVだが、売れ行きは好調だ。最近はワゴン風のシティ派SUVが増えてユーザーも飽食気味になり、悪路向けのSUVが改めて見直されている。この原点回帰の流れにも乗って、ジムニーは人気を高めた。

◆2位:ダイハツ・タフト(2021年上半期の届け出台数:2万8553台)


広くて実用的な室内空間と、SUV風の野性味を併せ持つ軽自動車だ。ハスラーに似ているが、登場したのは2020年6月だから、タフトは後追い的な商品と受け取られる。

この不利を補う目的もあり、タフトは装備を充実させた。Xの価格は135万3000円だから、ハスラーで最廉価のGよりも安いが、タフトXには大型ガラスルーフのスカイフィールトップ、フルLEDヘッドランプ、電動パーキングブレーキが標準装着される。これらはハスラーGには備わらず、タフトは低価格でも装備を充実させた。


その代わりハスラーはシートアレンジが多彩で、タフトが採用しない後席のスライド機能も備わる。マイルドハイブリッドによって燃費も良好だ。両車はライバル同士だが、独自の個性を備えることで共存している。

◆1位:スズキ・ハスラー(2021年上半期の届け出台数:3万9978台)


初代ハスラーは2013年12月に発表(納車を伴う発売は2014年)され、広い室内とSUV風の外観によってヒット作になった。2代目の現行型は2019年12月の発表(発売は2020年)で、安全装備や運転支援機能などを充実させている。

初代、2代目の現行型ともに、車内の広さやシートアレンジなどは基本的にワゴンRと共通だ。従って4名で快適に乗車できて、後席の背もたれを前側に倒すと座面も連動して下がり、広くて平らな荷室に変更できる。

その一方で丸型ヘッドランプを装着した個性的なフロントマスク、ブラックの樹脂パーツを備えたフェンダーなどには野性味も感じられる。ワゴンRと同等の実用性に、個性的で楽しいSUVのデザインを融合させて人気車となった。

スズキ・ジムニー《写真撮影 中野英幸》 スズキ・ジムニー《写真撮影 中野英幸》 スズキ・ジムニー《写真撮影 雪岡直樹》 スズキ・ジムニー《写真撮影 雪岡直樹》 スズキ・ジムニー《写真撮影 雪岡直樹》 ダイハツ・タフト《写真撮影 雪岡直樹》 ダイハツ・タフト《写真撮影 雪岡直樹》 ダイハツ・タフト《写真撮影 雪岡直樹》 ダイハツ・タフト《写真撮影 雪岡直樹》 ダイハツ・タフト《写真撮影 雪岡直樹》 ダイハツ・タフト《写真撮影 雪岡直樹》 スズキ・ハスラー《写真撮影 中野英幸》 スズキ・ハスラー《写真撮影 中野英幸》 スズキ・ハスラー《写真撮影 中野英幸》 スズキ・ハスラー《写真撮影 中野英幸》 スズキ・ハスラー《写真撮影 中野英幸》 スズキ・ハスラー《写真撮影 中野英幸》