BMW iX5 ハイドロジェン《photo by BMW》

BMWグループは9月7日、SUVの『X5』をベースにした燃料電池車「iX5ハイドロジェン」が、アラブ首長国連邦での耐熱テストを完了した、と発表した。燃料電池システムは、最高気温45度、砂や埃、勾配、湿度の大幅な変化に直面しながらも、高い性能を発揮したという。


◆過酷な条件下での電気システムや冷却電源システムを検証
iX5ハイドロジェンには、高効率の燃料電池システム、2つの水素タンク、電気モーター、バッテリーを搭載する。これらが、中央の車両制御ユニットと連携する。ドイツ・ミュンヘンを拠点とする開発チームは、過酷な条件下での電気システムの機能性と、車両の性能をフルに発揮させるための冷却電源システムを検証した。

iX5ハイドロジェンの試験車両は現在、ヨーロッパ、日本、韓国、中国、米国、中東で実証テストを進めている。その目的は、水素燃料自動車の日常的な使い勝手にスポットライトを当てることであり、その先にある量産モデルの開発に向けて重要な知識を得ることにある。

BMWグループは、この試験車両を使って、乗用車や小型商用車からバスや大型商用車まで、あらゆるカテゴリーの車両で700バールの水素燃料補給技術を利用できる燃料補給インフラの開発を、地域レベルで支援している。異なる分野間の相乗効果も、水素技術におけるサプライヤーの強力なネットワークを発展させ、コストを削減するために重要という。

◆水素の充填にかかる時間は3〜4分
iX5ハイドロジェンには、BMWグループの第5世代のEVパワートレイン「eDrive」が搭載される。電気モーターは最大出力374hpを引き出す。374hpのパワーは、BMWの直列6気筒ガソリンターボエンジンの出力に相当する。これにより、BMWブランドらしいドライビングダイナミクスを可能にしているという。モーターの上に配置されたバッテリーは、追い越しや加速時にブースト電力を供給する。

燃料電池システムは、水素と酸素の化学反応によって、最大170hpの電気エネルギーを生み出す。燃料電池の下にレイアウトされる電気コンバーターは、電圧レベルを電動パワートレイン、ブレーキエネルギー、燃料電池からのエネルギーによって供給されるバッテリーの両方の電圧レベルに適合させる。

iX5ハイドロジェンには、700バールの水素タンク2個が搭載されており、CFRP製のこのタンクには、最大6kgの水素を積むことができる。水素の充填にかかる時間は3〜4分だ。

◆外装に「BMW iブルー」のアクセント
iX5ハイドロジェンのデザインには、X5をベースにしながら、持続可能なキャラクターに焦点を当てたアクセントを細部に取り入れる。外観には、「BMW iブルー」のアクセントが添えられた。アルミホイールも専用デザインとなり、燃料電池車であることを示している。キドニーグリルの内側の縁取り、22インチのエアロホイールのインサート、リアバンパーの外側部分のアタッチメントも、BMW iブルー仕上げだ。インストルメントパネルのエントリーシルとカバートリムには、「hydrogen fuel cell」の文字が配されている。

エアロホイールには、天然ゴムとレーヨンを使って持続可能な方法で製造されたタイヤを組み合わせる。その素材は、森林管理協議会(FSC)組織の基準に準拠して抽出された。BMWグループは、認定された天然ゴムとレーヨンのみで作られたピレリ製タイヤを市販車に採用した世界初の自動車メーカーになる、と自負する。

フロントの冷却エア開口部を覆うメッシュインサート、リアバンパー、ディフューザーも、専用デザインとした。キドニーグリル周囲の装飾、2つの外気取り入れ口、リアエンド下部トリムのパーツは、3Dプリントを使用して部品を製造するBMWグループのアディティブマニュファクチャリングキャンパスから供給される。アディティブマニュファクチャリングにより、部品の高速で柔軟性の高い生産が可能に。その一部は、従来の生産方法では不可能な幾何学的形状を持つ、としている。

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