カワサキが2030年前半に市場投入を計画する水素エンジンバイク《photo by Kawasaki》

ヤマハ発動機、ホンダ、スズキ、カワサキモータースの4社は5月11日、「水素小型モビリティ・エンジン技術研究組合」(HySE、ハイス)の設立に向け、経済産業省の認可を取得したと発表した。

脱炭素社会の実現に向け、モビリティの分野では1つのエネルギーだけではなく、マルチパスウェイでの全方位の取り組みが求められている。その中で次世代エネルギーとして注目される水素を使ったエンジンを搭載したモビリティの実用化に向けた研究開発が加速している。

しかし、水素には燃焼速度の速さに加え、着火領域の広さから燃焼が不安定になりやすいこと、また、小型モビリティでの利用にあたっては燃料搭載スペースが狭いなどといった技術的な課題がある。HySEではこれらの課題解決に向けて、これまでガソリン燃料を用いたエンジンの開発にて各社が培った知見や技術をもとに、連携して小型モビリティ用水素エンジンの設計指針の確立も含めた基礎研究に取り組む。

具体的にはホンダが水素エンジンのモデルベース開発を研究。機能・性能・信頼性についてはスズキが要素研究を、ヤマハ発動機とカワサキモータースが実機研究を担当する。さらにヤマハ発動機は水素充填系統および水素タンクの小型モビリティ向け要求を検討。カワサキモータースは、燃料供給システムおよびタンクに付随する機器、タンクからインジェクタ間に配置する機器の検討を行う。

なお、HySEには正組合員である二輪メーカー4社に加え、特別組合員として、川崎重工とトヨタ自動車が参画する。川崎重工は、技術研究組合CO2フリー水素サプライチェーン推進機構(HySTRA)の主幹事として有するノウハウをもってHySEの運営を推進。トヨタは四輪車用大型水素パワーユニットの実験や解析、設計などのノウハウをもって、HySEの研究成果の最大化を推進する。

水素小型モビリティ・エンジン技術研究組合の会見(5月17日)《写真提供 ヤマハ発動機》 サマリー《画像提供 HySE》 カーボンニュートラルを取り巻く環境《画像提供 HySE》 組織・組合員と役割《画像提供 HySE》 組織・組合員と役割《画像提供 HySE》 組織・組合員と役割《画像提供 HySE》 研究分担イメージ《画像提供 HySE》 めざす姿《画像提供 HySE》 研究のひろがり《画像提供 HySE》