ギリシャ・アスティパレア島でEVによるライドシェアリングサービスに使用されるフォルクスワーゲン ID.Buzz《photo by VW》

フォルクスワーゲングループ(Volkswagen Group)は6月2日、ギリシャ政府と合意した地中海アスティパレア島を「EVアイランド」化する計画に基づいて、EVによるライドシェアリングサービスを開始した。EVの『ID.Buzz』が今秋、加わる予定だ。

◆島のバスをEVによるライドシェアに置き換え
アスティパレア島は南エーゲ海の小さな島で、面積は約100平方kmだ。人口は約1300人で、毎年約7万2000人の観光客が訪れる。アスティパレア島の公共交通機関は現在、2系統のバスのみで、島のエネルギー需要も化石燃料によって、まかなわれている。

アスティパレア島は今後数年間で、持続可能な観光地のパイオニアになることを目指している。ギリシャ政府は、国家エネルギーと気候計画の枠組みの中で、この変革を支援している。

プロジェクトの中心にあるのは、現在のバスサービスを、EVのライドシェアリングを含めたデジタルモビリティサービスに置き換えることだ。現在のレンタカー事業の一部を地元のパートナーと連携し、EVや電動バイクによるシェアリングサービスに転換する。これだけでも、島内の車両を大幅に減らすことが可能になる。約1000台のEVで、約1500台の内燃機関搭載の自動車を置き換えていく。

◆まずは5台のID.Buzzが参加する予定
フォルクスワーゲングループはアスティパレア島において、EVによるライドシェアリングサービスを開始した。今秋から、ID.Buzzが加わる予定だ。アスティパレア島ではすでにEVとして、個人向けに『ID.3』、警察や空港、自治体などの当局向けに『ID.4』を納車している。多人数乗車が可能なEVのID.Buzzは、アスティパレア島において、ライドシェアリングサービスの役割を担う。

スマートモビリティサービスは、これまでアスティパレア島で限られた公共交通機関として機能してきた路線バスを置き換える。バス路線とは異なり、このモビリティサービスは通年稼働し、島内のより多くの場所へアクセスできる。「ASTY BUS」と呼ばれるライドシェアリングサービスには、まずは5台のID.Buzzが参加する予定だ。

車両共有サービスの「asty GO」を通じて、ユーザーはフォルクスワーゲンのEVをレンタルできる。すべての車両は、スマートフォンの「asty MOVE アプリ」から予約することができる。

◆ソーラーシステムでEVに電力を供給
アスティパレア島のEVの台数は継続的に増加している。2021年、警察、空港、自治体の車両がEVに置き換わり、ギリシャ初のEVによる救急車も追加された。最初の「e-taxi」も島内で、乗客の輸送を開始している。

アスティパレア島では、エネルギーシステムを再生可能なエネルギーに切り替える動きを加速している。6月2日には、島内で2つ目のソーラーシステムが稼働し、EVにグリーンエネルギーを供給し始めた。さらに、2023年までに、約3メガワットのグリーンエネルギーを供給する新しいソーラーパークを建設する計画。これにより、EVの充電に必要なエネルギーの100%と、島全体のエネルギー需要の50%以上をまかなうという。

これまで、同島ではディーゼル発電機から電力を供給していた。2026年までに、新しいエネルギーシステムの供給はさらに拡張され、総エネルギー需要の80%以上に到達する見通し、としている。

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