ダイハツ ロッキー e-SMART《写真撮影 中野英幸》

ダイハツ版「e-POWER」。『ロッキー』とトヨタ『ライズ』のハイブリッド車の情報が流れはじめたとき、こうした言葉を目にした。たしかにメカニズムはシリーズ式で似ている。しかし「e-SMART」と呼ばれるダイハツ版は考え方が違うことを、説明を聞き、試乗することで教えられた。

ノートe-POWERとのスペックの違い
SUVではないがボディサイズが近いので日産『ノート』と比較すると、走行用リチウムイオンバッテリーの容量は4.3Ah、つまり0.74kWhで、ノートの1.47kWhの約半分だ。1.2リットル直列3気筒エンジンの最高出力/最大トルクはほぼ同じだが、モーターは106ps/17.3kgmで、ノートの116ps/28.6kgmより控えめになっている。

同じ日産の電気自動車『リーフ』のモーターを流用したノートに対し、ロッキー/ライズはトヨタのハイブリッド車用モーターを使ったとのことで、そもそものキャパシティが違うことも頭に入れておく必要があるだろう。

ハイブリッド車であることを実感する走り
走り始めると、可能な限りモーターのみで走ろうとするノートとは違い、しばしばエンジンが始動し、ハイブリッド車であることを実感する。それでも街中ではエンジンの回転が抑えられ、遮音対策を行ったこともあり、同時に乗った1.2リットル自然吸気ガソリン車に比べるとかなり静かだ。

走行用バッテリーを必要にして十分というレベルに抑えたおかげもあって、車両重量は1070kgと、ハイブリッド車としてはかなり軽い。

ダイハツ/トヨタ陣営はトータルバランスを重視
気になるWLTCモード燃費は同等で、価格も近いところにある。でも前述したように、アプローチは違う。電動走行を積極的にアピールした日産に対し、ダイハツ/トヨタ陣営はトータルバランスを重視しているように思えた。

それがe-SMARTとe-POWERという名前の違いに現れていると言えるが、ロッキー/ライズのそれはやはり、近い将来の軽自動車への転用を前提にして、モーターやバッテリーのサイズを決めていったのではないかと思った。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

森口将之|モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト
1962年東京都生まれ。自動車専門誌の編集部を経て1993年に独立。雑誌、インターネット、ラジオなどで活動。ヨーロッパ車、なかでもフランス車を得意とし、カテゴリーではコンパクトカーや商用車など生活に根づいた車種を好む。趣味の乗り物である旧車の解説や試乗も多く担当する。また自動車以外の交通 事情やまちづくりなども精力的に取材。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。グッドデザイン賞審査委員。

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