日産 ノートオーラ G《写真撮影 中村孝仁》

『ノートオーラ』は『ノート』の高級版として誕生したクルマ。単に上質化しただけじゃなくて、サイズも少し大型化している。

熱烈支持者ならともかく、そうでない人だとすれ違ったノートやノートオーラを見て、一体どっちだ?とすぐにわかる人は稀。ナンバープレートを見て3ナンバーと分かればそれがオーラだから、まあすぐにわかるといえばわかるのだが、デザインの違いからの判別はなかなか難しいものがある。

因みに大型化したというのは、全幅が1695mmら1735mmへと40mm拡大して3ナンバー化した点。フロントデザインやリアデザインがノートとは微妙に異なるし、ホイールアーチも僅かながら張り出しが強いなど、わかる人にはそのあたりが識別点になるのだ。お値段はノートとベースモデル比較で価格差42万3500円の261万300円。結構な差である。

◆上質だけど「想定内」


ドアを開けるなりノートとの差は歴然とする。そもそもノートはインテリアの作りがハードプラスチックだらけでお世辞にも上質という言葉は使えなかったから、その点を変えたというのがオーラである。おかげでハードプラスチックに触れることはほぼない。ドアやダッシュはツィード調の生地が使われ、加飾パネルはこれも木目調である。

ツィード調だの木目調だのというと昔ならば安物感を連想したものだが、最近のこの手の加飾はほとんど本物と区別がつかないほどよくできたものが多く、オーラの場合もその例外ではない。だから室内の調度を見てこれは上質だと感じる人は多いと思うし、事実その点は上質だと思う。

ただ、ユーザーというのは正直なもので自分の想定内に収まっている上質さだと驚きはなく、「ああそう…」で終わってしまう。「えっ!これもついているの?えっ!ここまでやるの?」となって初めてこれは凄いや、これはイイよとなるのだが、残念ながらオーラの場合はそこまで到達していないというのが正直な感想だ。



◆装備てんこ盛りのノートよりもお得?

アダプティブヘッドライトは標準装備だったが、雨滴感知自動ワイパーは付いておらず、車速感知間欠ワイパーとなっていて「うーん」となったり、半ば高級版なら当たり前かと思ったヘッドアップディスプレイがなかったり等々、あれこれいじってみて「ここまでやるか!」という装備は正直なかったので、まさに想定内の出来だったわけである。

7年前にマツダ『デミオ』登場した時、コンパクトカーなのにヘッドアップディスプレイがついていたり、Bセグ車に白の本革内装を奢って上質感を演出したときは驚かされて、ここまでやるかと思ったが、そうした演出は今回なかったというわけだ。


試乗車のオーディオにはBOSEのパーソナルプラスサウンドシステムというのがついていた。カタログにも写真が出ていたのでてっきり標準装備(高級車だから)かと思いきや、これはオプションで、標準はなんとオーディオレスだ。この辺りはどうしても突っ込みたくなるポイント。このオーディオの出来が良いだけになおさら感がある。

因みにこのオーディオ、セットオプションであれこれ含めて40万円ほどで、この内訳にはプロパイロットからナビゲーションシステムやETC2.0など必要と思われるすべてが入っていて、まあどうしてもとは言わないけれど、必要だよねというものばかりだから、ほぼほぼ300万円がベース価格と考えてよい気がする。それでも前回(といってもだいぶ前だが)試乗した普通のノートにてんこ盛りオプション装着車が321万1256円だったことを考えれば、却ってお安いのかもしれない。

◆全体の出来は「よくできました」


そこで問題になるのは走りである。果たしてオーラはノートと違うのか?ズバリ違う。少なくともモーター出力はだいぶアップされていて、なんとなくだが全域で余裕を感じた。発電は1.2リットル直列3気筒でこちらはノートと同じであるが、室内に侵入してくる音は小さいと感じた。

ドライブモードはスポーツ、エコ、ノーマルの3種でこれは一緒。試しにエコとスポーツを全開で踏んでみると、回転数はわからないがエコよりもスポーツのほうがエンジンを回しているのがわかる。もちろんそれが動力になっているわけではないのだが、スポーツのほうが高回転まで回っているようだ。


一点、こいつはどうなのよ?と思ったのは突き上げ感の強いサスセッティングだ。とりわけ路面の良くないところだと、ポンポンと跳ねる。4WDの「ノート X-Four」に乗った時はとてもフラット感が強く感じたのだが、こいつは違った。因みに車重は4WDとノーマルFWDの間で、4WDよりは80kg軽い。

ノートオーラはその上質感や全体の出来で、「よくできました」という感じである。もっともこの「よくできました」は、今時だと普通ともいえる。まさに想定内の仕上がりだった。



■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
おすすめ度:★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来44年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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