2WD車のレポートをお届けした際にお伝えした4WD車の試乗が叶った。結論からいうと“走りがとてもいい”と感じた。このパワートレインを使って横展開で車種バリエーションを増やしてほしい……とさえ思えたほどだ。
4WDのポイントは、メーカーの資料にもあるとおりで“全車速域において4輪すべてを強力なモーターで駆動・制御する”ところにある。
先代はリヤは発進から30km/hまでしか駆動を受け持たなかったのとは大きな違いで、しかもリヤは最大で50kW(68ps)/100Nmの性能を発揮する。単純にこの逞しい“助っ人”がリヤ側に加わっただけでも、走りがさぞ力強いだろう……とは想像できる。
ところが実際には、力強さ以上に、4輪の駆動力を緻密に制御させながらの走りがいかに洗練されたものか、が実感できた。自動車専用道のランプウェイのコーナーを一定速で切り込んでいくと、まるでレールの上を走っているかのような安定した姿勢で走る。高速道路では、直進安定性も目を見張るものがある。
また駆動力の制御やリヤホイールの回生を利用しながら、ブレーキング時のノーズダイブが起こりにくいのもいい。試しに我が家の愛犬(柴犬・6歳)を乗せてみたが、フラットライドに終始、快適そうな表情だった。
ドライブモードで“NOMAL”を選ぶと、2WD同様にスムースなワンペダルの減速ができ扱いやすい。反対に“SPORT”モードでは、加減速のメリハリがつき、減速Gは2WDよりも強めに立つ。
乗り味はある程度スピードが乗ってくるとしっかり感が際立つ欧州調だ。このキャラクターをメインに仕立てたことが伝わってくる。よほど路面が荒れていればロードノイズが感じられるが、全体を通して言えばほとんどの領域でEVらしい静かさと、ノイズが封じ込められている雰囲気で、より上級のクルマに乗っているような味わいがある。
クルマがこなれてくれば(試乗車返却時の走行距離はまだ2600km台だった)中・低速域の乗り心地のしなやかさが進むのかもしれない。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。
【日産 ノート 新型試乗】力強さ以上に「洗練」を感じた4WD e-POWER…島崎七生人
2021年04月22日(木) 11時30分
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