スズキ GSX-S1000GX《写真提供 スズキ》

スズキ『GSX-S1000』をプラットフォームに、ロングストロークの足回りとウィンドプロテクション効果の高いフェアリングを纏った『GSX-S1000GX』が登場した。ミラノショーでの発表からわずか数週間。ポルトガル・リスボン近郊にてその走りを検証する。

世界的に盛り上がりを見せるアドベンチャーというカテゴリーであるが、人気ジャンルであるがゆえにその世界がさらに細分化。様々なキャラクターのマシンが登場するようになってきている。

オフロード色のより強いモデルがリリースされる一方、オンロード走行だけを想定したマシン。例えば今回登場した「GSX-S1000GX」はスポーツネイキッドモデル。「GSX-S1000」をベースにフェアリングとストローク量のある足回りを装着したロードスポーツ志向のアドベンチャーモデルとなっており、これをクロスオーバーモデルなどと分類したりもする。

◆三つのモードでパワーを制御 溢れるエンジンの‘‘実力’’
搭載されるエンジンはもともとがスーパーバイクレースのベースモデル。これは、2005年型『GSX-R1000』 に搭載されていたものだ。トップエンドのパワーは最新モデルには敵わないものの、現行『カタナ』などにも用いられており、いまなお支持されている。

もともとがトルクフルなキャラクターではあるものの、ローRPMアシストの恩恵もあって発進にプレッシャーはない。エンジンは「GSX-S1000」や「GSX-S1000GT」と全く同じとのことであるが、ロングストローク化された足回りによるものかエンジンフィーリングもより滑らかに感じられるから不思議だ。

ライディングモードは汎用性の高いBを中心に、レスポンスの良いA。そして穏やかなCと選択可能。また、それによってトラクションコントロールの設定も同時に変更される。スポーツバイクらしいパワフルさと同時に、先鋭化され過ぎていないコントロール性はもともとがスーパーバイクモデルのエンジンだったことを忘れさせる。しかしその気になれば軽々とフロントをリフトさせるほどのパワフルさが痛快だ。ジェントル風の雰囲気を漂わせながらも、その実力は“やはり”なのである。

◆スズキ初の電子制御サスが実現する走り
そして、このGXのセールスポイントはスズキのバイクとして初めて電子制御サスペンションを搭載したことであろう。これにより、幅広いシチュエーションを守備範囲にもつキャラクターにさらなる広がりを見せていたのだ。まず、プリロード設定にオートモードを設定すれば、ライダーの体重や積載、タンデム等の状況によって自動的に最適なプリロードの設定が行われる。これは走行中にも調整されているとのことだ。前後の姿勢バランスが崩れることのないような制御によって違和感はゼロ。その存在を意識することなく走行が可能だ。

基本的にはオートモードで走らせるのがおすすめとのことだが、ワインディングでキビキビ走らせたい際にはライダー1名+積載のプリロード設定も良い感じだ。ハンドリングにキレが出てスポーツバイクらしいフィーリングが味わえる。そして、減衰力の調整も1000分の1秒の細かさで行なわれるという。ソフト、ミディアム、ハードと3種類の大まかな設定を選んだうえで、それぞれが走行状況によってアクティブにアジャストされる。

欧州に多い石畳ではソフトを選択。ゴツゴツ感が減って乗り心地の良さを提供してくれる。ペースが上がるに従ってもう少し動きを制御したくなったらミディアム。そしてさらにペースアップするシチュエーションではハードを選択。リニアさとともにスポーティさが増していく。もちろんこれは走行状況だけでなく、気分によって変更出来るのも嬉しいポイントだ。さらにライダーモードを選択すれば、それぞれのダンピング性能から強弱、それぞれ3段階のアジャストも可能となり幅広いセットアップに対応する。

◆欲張りな要求を満たしてくれるマシン
様々なシチュエーションに対応した電子制御。なにもしなくても良いと思われがちであるが、こまめに調整して好みのセッティングを探すことで、よりこのマシンの懐の深さを感じることが出来るのである。面倒くさいと思うのは最初だけで、慣れれば瞬時に変更可能な優れものであることがわかるはずだ。もしもこれを工具を使って、自分の手で・・・となると、その面倒臭さは比ではないほどで、殆どのライダーはそれらを一切触ることもないだろう。

快適さとスポーツ性。電子制御の充実により、楽しく安全かつ快適という、欲張りな要求を満たしてくれるマシンとなっていた。

■5つ星評価
パワーソース:★★★★
ハンドリング:★★★★
扱いやすさ:★★★★
快適性:★★★★
オススメ度:★★★★

鈴木大五郎|モーターサイクルジャーナリスト
AMAスーパーバイクや鈴鹿8耐参戦など、レース畑のバックボーンをもつモーターサイクルジャーナリスト。1998年よりテスター業を開始し、これまで数百台に渡るマシンをテスト。現在はBMWモトラッドの公認インストラクターをはじめ、様々なメーカーやイベントでスクールを行なう。スポーツライディングの基礎の習得を目指すBKライディングスクール、ダートトラックの技術をベースにスキルアップを目指すBKスライディングスクールを主宰。

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