ヤマハ MT-125《写真撮影 中野英幸》

◆MTらしさをしっかり受け継いだ125ccの末弟
なんせ軽い! 前後17インチのフルサイズボディを振り回せて乗れる感覚。ビギナーが乗れば、バイクを自在に操るための探究心を持つキッカケになるだろうし、腕利きのベテランはライトウェイトスポーツの魅力を再発見し、走りをさらに突き詰めたくなるはず。11月10日に新発売されたヤマハ『MT-125』(メーカー希望小売価格49万5000円/税込み)だ。

MTシリーズは、軽快なハンドリングとトルクに満ち溢れた強靭なエンジン、そして都会的で先進性を感じるデザインで人気を博すが、最後発となった末弟もそれは変わらない。

ヤマハが開いたメディア向け試乗会は、茂原ツインサーキット(千葉県茂原市)でおこなわれた。1周1170メートルのミニサーキットで、ツーリング先でよく出くわすタイトコーナーの続くワインディングを走っているかのようでもある。

「MT-125」はそんなシチュエーションが大好物。体重移動がしやすく、自然と身体が動く。カーブの先を見ながらヒラヒラ切り返していけば、乗り手はバイクを操っている感じをタップリ味わえる。この満足感がたまらなくいい!

◆持ち味は軽快でクイックなハンドリング
昨今人気の125ccクラスに、ヤマハは3つのニューモデルを投入してきた。フルカウルのスーパースポーツスタイル『YZF-R125』(51万7000円)を10月16日に発売し、ネオレトロの『XSR125』(50万6000円)が12月8日に出てくる。

「MT-125」は車体とエンジンを両モデルと共通にしている。つまり三兄弟と言えるものだが、見た目のデザインやフォルムだけでなく、それぞれにライドフィールを全く変えているから見事としか言いようがない。

「YZF-R125」がキャスター角25°40'/トレール89mmであるのに対し、「MT-125」と「XSR125」ではキャスター角25°30'に立てられ、トレールを88mmにし、クイックなハンドリングを際立たせている。さらに「MT-125」と「XSR125」ではフロントタイヤのサイズを変え、前輪を細くした「MT-125」はより軽快だ。

■MT-125
キャスター角25°30'/トレール88mm
フロント100/80-17、リヤ140/70-17

■XSR125
キャスター角25°30'/トレール88mm
フロント110/70-17、リヤ140/70-17

■YZF-R125
キャスター角25°40'/トレール89mm
フロント100/80-17、リヤ140/70-17

また、シッティングポイントが「MT-125」ではフロント寄りになり、前輪荷重がより大きい。浅いバンク角でも旋回をはじめるクイックなハンドリングがMTらしさであり、大きな魅力となっている。

幅広なハンドルがライダー寄りとなり、ライポジはコンパクト。抑えの効くモタード風なフォームがとれ、オフロードバイクのようにリーンアウトでもカーブを曲がれてしまう。高速コーナーはイン側に体を入れてと、ケースバイケースで自在に操れて縛りがない。

ハンドルの切れ角が充分にあって、Uターンもしやすい。これは都会でも有利で、狭い路地にもぐいぐい入っていけるはず。どこへでも行ける気軽さがあり、いつも一緒に出掛ける相棒となりそうだ。

◆可変バルブが効いてる!全域トルクフルで扱いやすい
125ccながらエンジンが全域で元気良く、非力さを感じさせない。水冷4ストロークSOHC4バルブ単気筒は最高出力15ps/10,000rpm、最大トルク12Nm/8,000rpmとスペックは平凡ながら「VVA(可変バルブ)」を採用し、全域でトルクをしっかり発揮する。

カムが低中速用から高速用へ切り替わるのは7,400rpmで、引っ張り上げても気持ちよく伸びていく。コンパクトなショートスタイルのサイレンサーは、マスの集中化に貢献するのはもちろん、高回転域でクリアなサウンドを奏でてくれるのもいい。

クラッチレバー操作がとても軽いのは、アシスト&スリッパークラッチの搭載による恩恵。減速時のシフトダウンで急激なエンジンブレーキを軽減してくれるから、コーナー進入で躊躇いなくギヤを落とせ、より攻めた走りも叶えてくれるし、安全にも寄与する。

電子制御によるトラクションコントロールも搭載され、クラスを超えた装備。専用のフル液晶メーターはネガティブ表示で見やすいLCDディスプレイで、トラコン介入時はTCSの点灯、可変バルブ機構が高速域に切り替わるとVVAのインジケーターで知らせてくれる。燃費や平均速度なども表示でき、機能は原2クラスとは思えないほど優秀だ。

◆直感でイイと思ったら、もう迷うことはない
前後17インチのフルサイズボディは、車格もあり立派。インナーチューブ径37mmの倒立式サスペンションはゴールドのアウタチューブを持ち、282mmの大径ディスクがセットされる。凝縮された躍動感のみなぎるスタイリングを兄貴分から受け継いだ。

125ccクラスはバイクを始めるのに最適。どれにしようか考える時、ヤマハならタイプ別に3機種が設定される。決め手となるのは、先輩ライダーが言う操作性や乗り心地か。いいや違う、お気に入りのスタイルやカラーで選ぶのも決して悪くない。

吊り目のフロントマスクで筋肉質。強烈な個性を持つ「MT-125」を直感でイイと思ったら、もう迷うことはないのだ。

■5つ星評価
パワーソース:★★★★
ハンドリング:★★★★★
扱いやすさ:★★★★★
快適性:★★★
オススメ度:★★★★★

青木タカオ|モーターサイクルジャーナリスト
バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。自らのモトクロスレース活動や、多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク関連著書もある。

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