スズキの『バーグマンストリート125EX』と、ヤマハの『NMAX』《写真撮影 伊丹孝裕》

スズキの『バーグマンストリート125EX』(以下、バーグマン)と、ヤマハの『NMAX』を同じ条件で試乗。前者は手軽なシティコミューターとして、後者はよりプレミアムなスポーツスクーターとして、それぞれの個性が光っていた。

125ccクラスのスクーター選びは、結構むずかしい。日常の足としてコスパを優先するのか、維持費がお得な分をレジャーやカスタムにまわしてマルチに楽しむのかなど、案外用途に幅がある。

その意味で、高い実用性と軽快感を備えるバーグマンと、スポーツ性とデザイン性に優れるNMAXは、ちょうどいいサンプルと言える。真っ向勝負なら、バーグマンに対しては、ヤマハ『アクシスZ』か、ホンダ『リード125』あたりを、NMAXに対しては、ホンダ『PCX』をぶつけるのが王道ながら、価格帯やコンセプトが異なる2台だからこそ、果たして自分にはどういう立ち位置のスクーターがあっているのか、という最初の一歩の参考になれば幸いである。

◆バーグマンとNMAXのスペック上の主な違いバーグマン/NMAX・価格:31万7900円/38万9400円・車重:112kg/132kg ・燃費(WMTCモード値):53.8km/リットル/49.1km/リットル・エンジン:空冷4サイクル単気筒/水冷4サイクル単気筒・最高出力:8.3ps/6500rpm/12ps/8000rpm・ホイール径:前後12インチ/前後13インチ・フットスペース:フラットフロア構造/センタートンネル構造

これらのことから分かるのは、バーグマンは足を揃えて乗るリーズナブルで軽量なスタンダードスクーター、NMAXは足で車体を挟んで乗るプレミアムなスポーツスクーターと、おおまかに区分できる。

通勤などで毎日乗ったり、短時間の間に乗り降りを繰り返す場合、フラットフロアとセンタートンネルの差は、やはり大きい。乗降性のよさはバーグマンに分があるのは間違いなく、トップケースが簡単かつ低コストで装着できるところも利便性に優れる。

対するNMAXは、車体の安定感と剛性感がはっきりと高く、路面状況やスピードが大きく変化してもスポーツバイク感覚で許容。装着のコストはバーグマンより要するものの、トップケースは、30リットル/34リットル/39リットルの3種を純正アクセサリーとしてラインナップする他、グリップウォーマーやハンドルカバーといった快適装備を比較的安価に用意するなど、拡張の幅が広い。

このことからも近距離を手軽に移動するならバーグマン、郊外に足を伸ばす機会があり、ツーリングにも使いたいならNMAXがふさわしい。

◆利便性や実用性は、それぞれに一長一短こうした方向性の違いは、キーにも見て取れる。バーグマンはキーシリンダーに差し込む一般的なタイプで、NMAXはスマートキーを採用。バーグマンは、OFFの位置を基準にエンジン始動時はONに回す、シートを開ける時は反対に回す、とそれぞれワンアクションだが、NMAXは回す前に押す動作が加わることや、シートや給油口のふたを開くにはメインスイッチとは別のボタン操作を要する。

いや、たったそれだけと言えば、その通りなのだが、比較すると案外これが手間に感じられるのだ。また、スマートキーの認識ができない状況などでは、警告音が敏感に鳴り、セーフティ機能であることがわかっていてもちょっとわずらわしい。

ただし、NMAXの給油口はシート下ではなく、足元に設けられているため、アクセスしやすく、うっかり燃料をあふれさせても荷物を汚さないで済むところがメリットだ。

加えて、バーグマンのシート下スペースが圧倒的に勝っているなら、日常的な使い勝手でバーグマン優勢ということになるのだが、容量的にはバーグマン21.5リットル、NMAX23.0リットルと、むしろ数値は不利となる。もっとも、両モデルともそこへ収納できるヘルメットはかなり限られ、筆者所有のジェットタイプだと、どのような向きでもシートを閉じられなかった。狭い駐車スペースに止める時や、雨天にバイクから離れる時のことを考えると、容量が大きいことに越したことはない。

◆バーグマンとNMAX、どんな人におすすめ?このように利便性や実用性は、それぞれに一長一短あれば、拮抗している部分もある。それらを踏まえ、バイヤーズガイド的な結論を出すと、次のようなものだ。

《バーグマンはこんな人におすすめ》・乗り出し価格と日々の燃費を抑えたい。・混んだ街中や狭い駐車スペースでも軽快に取り回したい。 ・サッと乗って、サッと降りられる気軽さがほしい。

《NMAXはこんな人におすすめ》・通勤はもちろん、中長距離を走るレジャーにも使いたい。・スクーターといえど、パワーやハンドリングにもこだわりたい。・カスタムの楽しみや所有欲も大事にしたい

くるくるスイスイ走れる、シンプルなバーグマンの機動力か。スムーズでスタビリティに富み、隅々までデザインされたNMAXの上質さか。7万1500円差の中に、両メーカー、両モデルのアプローチの違いが明確に出ている。

スズキの『バーグマンストリート125EX』と、ヤマハの『NMAX』《写真撮影 伊丹孝裕》 スズキの『バーグマンストリート125EX』と、ヤマハの『NMAX』《写真撮影 伊丹孝裕》 スズキの『バーグマンストリート125EX』と、ヤマハの『NMAX』《写真撮影 伊丹孝裕》 スズキの『バーグマンストリート125EX』と、ヤマハの『NMAX』《写真撮影 伊丹孝裕》 バーグマンストリート125EXのキー《写真撮影 伊丹孝裕》 バーグマンストリート125EXの給油口《写真撮影 伊丹孝裕》 バーグマンストリート125EXのシート下スペース《写真撮影 伊丹孝裕》 バーグマンストリート125EXのフットスペース《写真撮影 伊丹孝裕》 NMAXのキー《写真撮影 伊丹孝裕》 NMAXの給油口《写真撮影 伊丹孝裕》 NMAXのシート下スペース《写真撮影 伊丹孝裕》 NMAXのフットスペース《写真撮影 伊丹孝裕》 スズキ『バーグマンストリート125EX』《写真撮影 伊丹孝裕》 スズキ『バーグマンストリート125EX』《写真撮影 伊丹孝裕》 スズキ『バーグマンストリート125EX』《写真撮影 伊丹孝裕》 スズキ『バーグマンストリート125EX』《写真撮影 伊丹孝裕》 スズキ『バーグマンストリート125EX』《写真撮影 伊丹孝裕》 スズキ『バーグマンストリート125EX』《写真撮影 伊丹孝裕》 スズキ『バーグマンストリート125EX』《写真撮影 伊丹孝裕》 スズキ『バーグマンストリート125EX』《写真撮影 伊丹孝裕》 スズキ『バーグマンストリート125EX』《写真撮影 伊丹孝裕》 スズキ『バーグマンストリート125EX』《写真撮影 伊丹孝裕》 スズキ『バーグマンストリート125EX』《写真撮影 伊丹孝裕》 スズキ『バーグマンストリート125EX』《写真撮影 伊丹孝裕》 スズキ『バーグマンストリート125EX』《写真撮影 伊丹孝裕》 ヤマハ『NMAX』《写真撮影 伊丹孝裕》 ヤマハ『NMAX』《写真撮影 伊丹孝裕》 ヤマハ『NMAX』《写真撮影 伊丹孝裕》 ヤマハ『NMAX』《写真撮影 伊丹孝裕》 ヤマハ『NMAX』《写真撮影 伊丹孝裕》 ヤマハ『NMAX』《写真撮影 伊丹孝裕》 ヤマハ『NMAX』《写真撮影 伊丹孝裕》 ヤマハ『NMAX』《写真撮影 伊丹孝裕》 ヤマハ『NMAX』《写真撮影 伊丹孝裕》 ヤマハ『NMAX』《写真撮影 伊丹孝裕》 ヤマハ『NMAX』《写真撮影 伊丹孝裕》 ヤマハ『NMAX』《写真撮影 伊丹孝裕》 ヤマハ『NMAX』《写真撮影 伊丹孝裕》 ヤマハ『NMAX』《写真撮影 伊丹孝裕》 ヤマハ『NMAX』《写真撮影 伊丹孝裕》 スズキの『バーグマンストリート125EX』と、ヤマハの『NMAX』《写真撮影 伊丹孝裕》 ヤマハ『NMAX』《写真撮影 伊丹孝裕》 スズキの『バーグマンストリート125EX』と、ヤマハの『NMAX』《写真撮影 伊丹孝裕》