フォルクスワーゲン第8世代『ゴルフTDI R-Line』のフロントビュー。デザインテイスト、パッケージングとも第7世代からほとんど変わっていない一方、ハードウェアは予想外の長足の進歩。《写真撮影 井元康一郎》

フォルクスワーゲンのCセグメントコンパクト、第8世代『ゴルフ TDI R-Line』を駆っての3700kmツーリング。前編『もはや高嶺の花となったゴルフ、ツーリング性能は』では総論およびシャシー性能について述べた。後編はまずパワートレインのパフォーマンスから。

◆改良型、なれど大きく変わったエンジンのキャラクター
TDI R-Lineのパワートレインは2リットル直列4気筒ターボディーゼルと湿式多板クラッチを用いた7速デュアルクラッチ変速機「DSG」の組み合わせ。

エンジンは先代ゴルフ7 TDIの「EA288」の改良型である「EA288evo」。内径81×行程95.5mm、ボアストローク比1.17のディメンションこそ同じだが、大半の部分が新設計。アウディのターボディーゼル車と異なり電圧48ボルトのマイルドハイブリッド機構は持たない。スペックは最高出力110kW(150ps)/3000〜4200rpm、最大トルク360Nm(36.7kgm)/1600〜2750rpm。旧型比ではトルクが20Nm増強され、150psを発生するパワーバンドが広がった。7速DSGのほうはギア比、最終減速比ともゴルフ7 TDIと同一。

実際にドライブしてみたところ、エンジンのキャラクターは旧型から大きく変わった。旧型はドライバーの要求するパワーを黙々と発生させる黒子のようなフィールで官能性には無縁だった。現行は打って変わってアクセルペダルに対する応答性が良好で回転の上昇、下降も俊敏であるなど、俄然躍動感が出てきた。Dセグメントの『パサートTDI』の140kW(190ps)に比べると中高回転域のサウンドこそ大人しいが、切れ味的には大して変わらないという印象だった。

GPS端末を用いて計測した0-100km/h(メーター読み103km/h)加速タイムは8.5秒。発進テクニックを使わずアクセルペダルのポン踏みで8秒台半ばというのはパワーウェイトレシオ9kg/ps台後半のモデルとしてはかなり良好な部類に属する。過去に3900km試乗記をお届けしたゴルフ7 ヴァリアントTDIに対しては1秒以上のアドバンテージ。車重はゴルフ8 TDIのほうが30kg軽いが、それだけでは到底説明がつかない差で、パワーバンドが広がった効果が出た格好である。

官能評価でもう一点好感を持ったのはノイズ、バイブレーションの減少で、回転域を問わず引っかかり感のない滑らかなフィールになった。サウンドはEA288時代に比べてカラカラという音質のノイズと振動が大きく減り、コロロロロという乾いたものに。アイドリングストップ機構を備えるため普段はあまり意識することはないだろうが、EA288までは競合エンジンに比べていささか騒々しかったアイドリング時の騒音・振動も減少した。

本国ではこの上に「GTD」グレード用の147lkW(200ps)/400Nm(40.8kgm)という強力なユニットもあるが、速度制限の低い日本ではこの110kW版で十分スポーティさを味わえるだろう。ワインディングではパドルシフトを使ってパワーコントロールしながら積極的に走りたいというユーザーのニーズにもある程度応えるだけの仕上がりだった。

◆期待値を大きく超えた燃費性能
次に燃費。先に述べたようにこのパワートレインはアウディと異なりマイルドハイブリッド機構を装備しておらず、巡航時にエンジンを停止させるようなモードは持たないが、純エンジン車としてはこの上なく良好な数値を記録した。ドライブ状況のサマリーを添えて区間ごとの実測燃費を列記してみる。

【往路】
1. 神奈川・厚木〜福岡・田川(1080km) 給油量40.41リットル 燃費26.7km/リットル
 東海地方までは東名高速〜新東名。関西以西は都市高速や一般道バイパス主体。

2. 福岡・田川〜鹿児島・鹿児島市(464km) 給油量19.61リットル 燃費23.7km/リットル
 福岡・田川から熊本・八代は長大な山岳ルート。残りは九州自動車道&南九州自動車道。

3. 南九州エリア(556km) 給油量32.22リットル 燃費17.3km/リットル
 混雑の激しい鹿児島市街地5割、高速3割、郊外路2割。平均車速低。

【復路】
4. 鹿児島・鹿児島市〜福岡・門司(366km) 給油量16.79リットル 燃費21.8km/リットル
 全般的に強い雨。熊本北部まで九州自動車道。その後は山岳ルートをハードに走行。

5. 福岡・門司〜静岡・浜松(967km) 給油量37.80リットル 燃費25.6km/リットル
 山陰道経由。全般的に順調も岐阜〜名古屋では激しい渋滞に遭遇。平均車速高。

6. 静岡・浜松〜東京・品川(251km) 給油量9.1リットル 燃費27.6km/リットル
 磐田〜清水までの約75kmは東名高速。その後は箱根峠越え、国道1号線経由で品川へ。

全体的に燃費は事前の期待値を大きく超え、とりわけ高速巡航、バイパスクルーズでの燃費は特筆すべき良さだった。高負荷運転でもエンジンの効率がさほど落ちないというのはディーゼルエンジンの特性だが、ゴルフ8のEA288evoはそれがとくに顕著で、新東名120km/h区間をはじめ高速道路を最も優速な流れに乗って走っても燃費低下は限定的だった。第1レグの燃費が20km/リットル台後半だったのも、高速を飛ばしたときの燃費低下の小ささが後になって効いた格好だった。

◆100km/hクルーズなら30km/リットルも可能?
最長無給油走行距離は往路第1レグの1080km。ゴルフ8 TDIの燃料タンク容量は公称51リットルだが、福岡の田川に達した時点で燃料警告灯は未点灯。航続残は310kmと出ていたので、パサートTDIのようにタンクの公称容量に含まれないリザーバータンクが備わっていたのかもしれない。その後、九州中部の山岳地帯をツーリングする予定だったのでそこで給油したが、ノーマルルートを省燃費に気を配りながら走れば鹿児島まで無給油で達することも可能だったかもしれない。

帰路の第4レグは逆燃費アタック。篠突く雨で路面が水に覆われて走行抵抗が大きい状態だったので、せっかくならばどのくらい燃費が落ちるものか実験してみようと、高速では終始ハイペース、スリッピーなワインディングロードではタイトコーナーへの進入のたびにフットブレーキを使って前傾姿勢を作るなど、エネルギーを浪費しながらのドライブ。それでトータル21.8km/リットルは立派な数値というのが実感だった。

相対的に弱いのはゴー&ストップの繰り返しになる都市走行。滞在先の鹿児島市は火山性のシラス台地地形のため平野部がきわめて狭く、海沿いを走る時以外はどこに行くにも高低差100〜200mのアップダウンの繰り返し。狭い平野部は交通集中による渋滞が頻発しており、ちょっと混雑がひどいと平均車速計の数値が10km/h台前半に落ちるのも朝飯前。

そんな環境なのでガソリンハイブリッドでもロクな燃費を記録した試しがないのだが、ゴルフ8 TDIは推定リッター15km台とさらに振るわなかった。ちなみに標準的な市街地ではコールドスタート後走行5kmといったパターンでなければストロングハイブリッドには後れを取るものの、20km/リットル前後は期待できそうな感触だった。

ある程度まとまった距離を走った中で燃費計値が最良だったのは第6レグ、静岡の浜松で給油後、磐田〜清水間は東名高速、その他はバイパスを走って富士市に達した119km区間の31.2km/リットル。高速区間はクルーズコントロールを使ったが、ゴルフ8のクルーズコントロールは制御が優秀で燃費が非常に良く、それもプラスに働いたものと考えられる。距離が短かったため満タン法計測は行わなかったが、ゴルフ8 TDIの燃費計は信頼性が高く、100km/hクルーズに徹すればリッター30kmくらいは十分にいけそうだった。燃料価格高騰が続いている昨今、この燃費の良さは実に有り難く思えた。

◆パッケージング、視界と採光性のよさは真骨頂
ゴルフ8のパッケージングはゴルフ7とほとんど変わっておらず、荷室容量はまったく同一の380リットル、前後席の空間設計もほぼ同じという印象だった。競合モデルより短い4.3mの全長でこれだけの室内空間を確保する緻密さはゴルフの真骨頂と言える。

歴代ゴルフを運転するたびに感銘を受けるのは視界および採光性が良好なこと。ゴルフは一見何の変哲もない5ドアハッチバックボディながら、ウエストラインをできるだけ低く、かつ後方へのキックアップもきわめて小さくデザインされるというのが文法。第8世代もその特徴を継承しており、サイドウインドウの上下幅は全高1.5mアンダーのモデルとしては最大級だ。

視界と採光性の良さはその恩恵。不満は後ドアのガラスが濃色タイプで、せっかくの広大な窓からの光の採り入れを阻害していたこと。本国では有償オプションなので、レス仕様もあればいいのにと思った。なおロードテスト車は通常のメタルトップだったが、もっと光をというユーザーはサンルーフを装備することも可能である。

インテリアはアウディに比べて簡素だが、ギミックは増えた。前席のドアパッドはソフトタイプだが後席はハードプラスチックといったコストダウン手法を第7世代から引き継いでいる一方で、間接照明型のアンビエントライトがトリムに仕込まれるなど、ムード盛り上げの工夫が随所に凝らされていた。

ただ、生真面目な北ドイツの気質ゆえか、演出が上手かと言われるとそうでもない。同じフォルクスワーゲングループでもオーストリアに近いバイエルン自由州、インゴルシュタットを本拠地とするアウディと比べるといささか華に欠けるし、Bセグメントのルノー『クリオ(日本名ルーテシア)』のような艶めかしさもなかった。

◆R-Lineのセミバケットが疲労軽減に貢献
ロードテスト車のR-Lineの前席は背もたれがヘッドレスト一体型でショルダー部分が大きく張り出したセミバケットタイプとなる。レース用の深々としたバケットシートのようなホールド性は当然ないのだが、大きな横Gがかかったときに肩を預けるだけでほとんど姿勢が崩れないのは九州の山岳区間などで実に有り難く感じられた。硬すぎず柔らかすぎずというウレタンパッドの選択、体圧分散設計はゴルフ7 GTEより明らかに好ましく、長距離ドライブ時の疲労軽減に大いに寄与した。

後席はだだっ広くはないが長距離ドライブで窮屈さを感じないですむだけのスペースはきっちり確保されている。ドライブ中、後席チェックは100km程度にとどまったが、シートバック、座面とも前席と同等のクオリティが確保されているような感触はあった。前席がバケットシートのモデルの場合、後席からの眺望が悪くなることがままあるが、ゴルフ8 R-Lineの前席はショルダー部分のアウトラインが絶妙に丸くカットされており、閉鎖感を覚えるようなことはなかった。前述のようにプライバシーガラスが採光を損なう点だけが不満だった。

荷室は大変使いやすかった。同クラスでより大容量の荷室を持つ日産『リーフ』のように深さがあったりプジョー『308』のように奥行きがあったりするわけではないが、左右のタイヤハウスをギリギリまで詰めるなど空間設計は緻密で、荷室のコアとなる長方形空間の縦横高さのバランスは大変優れていた。大荷物を積むのでなければ大人4人での宿泊旅行も余裕だろう。

荷室のボード下にはパンク時に使用するテンパータイヤが収納されており、サブトランクの空間はない。ただテンパータイヤは少しでもサイドウォールを損傷すれば無力なパンク修理キットに比べて断然信頼感がある。いざというときの備えという点ではスペースを食ったとしてもあったほうがいいというのが筆者個人の考えである。

◆操作系、テレマティクス、先進運転支援システム
ゴルフ8の操作系はゴルフ7以上にインフォティメントシステムへの統合が進んだ。ダッシュボードには依然として照明、空調、ドライブモード選択、オーディオコントロールなどのスイッチが残されてはいるが、それらもほとんどが面積の小さなタッチセンサー式となった。ヘッドランプやロードランプをひとつのロータリー式スイッチですべて直感的に操作可能であるなどメカニカルなマン=マシン・インターフェースの作り込みに徹底的にこだわってきたフォルクスワーゲンだが、トレンドの波には逆らえないといったところか。

メーターパネルは全面液晶。二眼の指針式メーターの間にナビ画面を表示、ナビ画面を大映しにして車両情報を小さく表示、ナビ画面はセンタークラスタの画面に任せてメーターパネルは二眼指針式とドライブデータ等々、さまざまな表示パターンを選択できる。

美点は2点。まずはコントラストの作り込みが上手く、この種の液晶メーターの中でも視認性が非常に良い部類に属するものであったこと。もう一点は第7世代から継承したものだが、液晶メーター内のカーナビ画面が手元のスイッチコントロールひとつで自在に縮尺率を変更可能なこと。液晶パネルが第7世代より高精細だったこともあって、もはやセンタークラスタのナビ画面など不要と感じられたほどである。

ロードテスト車はコネクト技術が搭載されており、ネットを介してさまざまなサービスを受けられるようになっていた。ただしそのメニューや操作性は他のレガシーメーカーがそうであるように、旧来のクルマの延長線上という感じで面白味に欠ける。またボイスコマンドの認識精度も高くはない。このあたりはテスラやBYDなど、最初からクルマのデジタルガジェット化を前提として開発している新興勢力に大敗している部分だ。

◆ヘッドランプのバージョンアップは見逃せない
ADAS(先進運転支援システム)は前車追従クルーズコントロール、レーンキープアシストといった機能自体は第7世代とほとんど同じだが、センサーは自車レーンに加えて両隣の車両も見る新世代機に。高速道路で使用してみたところ、他車が前方に割り込んだり車線をはみ出したりといった事態への対処能力は飛躍的に向上したという感があった。

クルーズコントロールは万事緩やかにチューニングされている日本メーカーの日本仕様車と異なり、エコモードであっても前方の低速車が退いたときは設定速度までビシッと加速するようプログラムされていた。日本では使う機会はないだろうが、前方にクルマがいる状態で速度設定を試してみたところ210km/hまで可能だった。また公道では試すのがはばかられたが、ドライバーが失神した時はハザードランプを点滅させながら路肩に緊急停止させる機能も装備されていた。

旧型からバージョンアップした部分で見逃せないのはヘッドランプ。ハイビームの照射力がHID(プラズマ放電管)のハイスペックタイプと変わらないくらい強力になり、夜間の地方道走行でも遠方の見渡し、路肩に潜む野生生物の発見などに大いに役立った。ロードテスト車は「テクノロジーパッケージ」というオプションが装備されており、それにステアリング操作に連動して照射範囲を変えるダイナミックコーナリングライトが含まれていたが、その動きも非常に俊敏だった。強い雨の中でも山岳路を悠々と駆け抜けられたのはこのライトの性能によるところも大きかった。

◆プレミアムセグメント並みの価格が最大の弱点か
第7世代とスタイリング、パッケージングがほとんど変化しなかったのとは裏腹にクルマの動的質感、経済性、機能など多くの部分が長足の進歩を遂げていたゴルフ8 TDI。ホリデーやバカンスに遠出を楽しむユーザーがツーリングギアとして使うにはもってこいのキャラクターだが、その商品性を実現するためのコストは安いモノではなく、車両価格は今やプレミアムセグメントと被るくらい高いというのが最大の弱点――というのが長距離ロードテストの印象だった。

グレード選択だが、筆者は「アクティブ」や「スタイル」などノーマル系グレードに乗ったことがなく、今回のR-Lineとどのくらい違いがあるか指摘できない。ディーゼルモデルはガソリンモデルと異なり全グレードともマルチリンク式独立型のリアサスを持つが、ショックアブソーバーやブッシュのクオリティに違いがあれば乗り味も変わる。購入を考えているカスタマーはぜひテストドライブで違いを観察していただきたい。

ノーマル系とR-Lineの価格差は本国ドイツよりずっと小さいので、もしサスペンションのフリクション感などで差を感じるようであれば、そしてヘッドレスト一体型のバケットシートが嫌いでなければ迷うことなくR-Lineを選択することをおススメしたい。サスペンションセッティングのみの違いであれば好きずきでいい。

ライバル考。ひと口にノンプレミアムCセグメントと言っても今は高性能・高価格なハイエンドとアフォーダブルなモデルにハッキリ分かれており、ハイエンド系はプレミアムCセグメントのボトムエンドと価格的に被るので、ライバル関係もより複雑になる。

掲載性の高いパワートレインを持つ欧州ブランドのライバルといえば、何はともあれプジョー『308 GTi BlueHDi』だろう。1.5リットルターボエンジンは出力的にやや劣るがそのぶん価格はやや低め。価格をそろえた場合、より豪華な内装を手に入れることも可能だ。そう大きくない追加料金で届くプレミアムCセグメントはBMWのFWDハッチバック『1シリーズ』のターボディーゼル。メルセデスベンツ『Aクラス』とはやや大きな価格差がある。同じグループのアウディ『A3スポーツバック』はディーゼル搭載グレードがないので競合はしないだろう。

◆走行性能、ユーティリティ、経済性の3要素で対抗可能な国産車は
日本車に目を移すと、低車高Cセグメントモデルを出しているメーカーがトヨタ、ホンダ、マツダ、スバルの4ブランドしかなく、そもそも競合モデル不足。その中で走行性能、ユーティリティ、経済性の3要素でゴルフTDIと対抗可能なのはホンダ『シビックe:HEV』だ。全長が25cmも長いのはネックだが、ウエストラインの低さとガラス面積の広大さと235mm幅のタイヤを履きこなす屈強なサスペンションは一歩も引けを取らないように思えた。2モーターハイブリッドの経済性も燃料価格の安いディーゼルには負けるものの絶対的には満足のいくレベルだ。ゴルフと同様、ノンプレミアムCセグメントのハイエンド狙いであるため価格が高いのがネックだが、それでもゴルフよりは安い。

シビック以外の日本勢Cセグメントは低価格を旨とするアフォーダブル志向でゴルフとは若干方向性が異なる。燃費と荷室さえ何とかなれば室内の広さと走りの懐の深さを武器にゴルフTDIの良い対抗馬になれたろうに、とほとほと惜しく思われるのはスバル『インプレッサ』のハイブリッドモデル「e-BOXER」。ライドフィールの質感はゴルフR-Lineに劣るが、左右コーナーでの操縦フィール差がほとんどなく、サスペンションが実によくストロークするという点は同等。シートの出来も上々。

筆者がロードテストした中間グレードのAWD(4輪駆動)の価格は、ナビゲーション機能を含めて315万円。資源高騰が深刻化するこのご時世において、これほどの出来のCセグメントモデルをどうやったらこの値段で作れるのかと怪訝に思ったくらいである。燃費は残念だが、ランニングコストがかかる分をイニシャルコストでカバーすると思えばこれもありか。

トヨタ『カローラスポーツ』とマツダ『マツダ3』はホイールベースの中央付近に前席のヒップポイントを置き、後席と荷室はある程度捨ててかかったパッケージングで、同じCセグメントでもゴルフとはそもそも目指すものが違うという印象。ただ、カローラの場合スポーツではなくワゴンボディの『カローラツーリング』のハイブリッドだと後席の狭さはスポーツと変わらないもののゴルフよりちょっと多い392リットルの荷室と高い経済性を両立させられる。

ゴルフTDI R-Lineのリアビュー。空力的に不利な短い車体の後方の絞り込みを最小限にとどめつつCd値を0.275を達成したのは立派。《写真撮影 井元康一郎》 ゴルフTDI R-Lineのサイドビュー。デザイン処理でキャビンを薄そうに見せているが、ウエストラインは非常に低く、窓ガラスの上下幅は低車高Cセグメント中屈指の長さ。《写真撮影 井元康一郎》 ゴルフTDI R-Lineのフロントフェイス。何となく日本車っぽい部分も多く、中身の大幅進化はロードテスト前は想像しにくかった。《写真撮影 井元康一郎》 ゴルフTDI R-Lineのテールエンド。《写真撮影 井元康一郎》 夕日の光を当ててみた。外光によって車体色の風合いを変えて見せる演出が流行っているが、フォルクスワーゲンのライムイエローメタリックはどんな環境下でもテコでもライムイエローに見せるという意思が込められているように思えた。《写真撮影 井元康一郎》 朝霧に煙る福岡北方、東峰村にて。操縦性、快適性の両面で山岳路を走るのがまったく億劫にならない素晴らしいシャシーだった。《写真撮影 井元康一郎》 フロントグリルに装着されたRバッジ。《写真撮影 井元康一郎》 バックドア中央に車名を入れるいま流行りの演出。《写真撮影 井元康一郎》 助手席側ドア全開の図。開口面積は広大。高強度が求められるBピラーを細く作ることに成功したことがそれに寄与している。《写真撮影 井元康一郎》 フロント、リアともドア開口部上端はギリギリまで上げられており、乗降性は車高1400mm台のモデルとしてはきわめて優秀だった。《写真撮影 井元康一郎》 タイヤサイズは225/40R18。ノンプレミアムCセグメントがこんなタイヤを平然と履きこなすとは、すごい時代になったものである。《写真撮影 井元康一郎》 フロントエンド。Rラインのバンパーはノーマル系グレードと異なる空力デザイン。《写真撮影 井元康一郎》 ヘッドランプはゴルフ7から大幅に進化した部分。照射能力や可変配光のレスポンスはDセグメント『パサート』並みで、ノンプレミアムではトップランナー級。《写真撮影 井元康一郎》 前席。低重心設計でヒップポイントは低いが、窓ガラスの下端が負けずに低く、それを感じさせない。《写真撮影 井元康一郎》 ゴルフ7と比べてもさらにボタン類が少なくなったデジタルコクピット。ただし使い勝手は機械スイッチ時代のフォルクスワーゲンのレベルに遠く及んでいない。《写真撮影 井元康一郎》 R-Lineのフロントシートはバケットタイプ。体の預け心地は素晴らしく、ゴルフ7から大きく進化したように感じられた。《写真撮影 井元康一郎》 センタークラスタもスイッチ類は最小限になりスッキリ。ボイスコマンドとの組み合わせのロジックが煮詰まってくればいずれ操作性も良くなることだろう。《写真撮影 井元康一郎》 驚くほど小さなATセレクタはシフトバイワイヤ―。《写真撮影 井元康一郎》 収納箇所を細かく分けず、容量の大きなドアポケットなどにまとめて放り込んでくださいというスタイルは先代から変わっていない。《写真撮影 井元康一郎》 シートバックにはR-Lineのロゴが。《写真撮影 井元康一郎》 後席。全長4.3mの低車高モデルで荷室容量380リットルを確保しながらレッグルームに余裕を持たせられた緻密なパッケージングは見事。《写真撮影 井元康一郎》 後席からの視界を妨げないよう前席のバケットシートの形状が工夫されているのが印象的だった。《写真撮影 井元康一郎》 荷室容量は380リットル。クラストップではないがスペースのコアになる長方形空間の縦横高さは好バランスだった。《写真撮影 井元康一郎》 荷室のボード下にはパンク時に使うテンパータイヤが。いざという時を考えると心強い。《写真撮影 井元康一郎》 リアシートバックは昔のゴルフのようにダブルフォールディングで倒せるわけではないが、段差は僅少。《写真撮影 井元康一郎》 エンジンルーム。2リットルターボディーゼル「EA288evo」はパフォーマンス、効率とも非常に良く、排出ガス不正の借りをのしを付けて返したという感があった。《写真撮影 井元康一郎》 浜松〜富士を東名高速6割、一般道4割の比率で走行したさいの平均燃費値は31.2km/リットル。市街地走行を含むため平均車速は低いが、高速ではトラックに立ちはだかられた時以外は100km/hクルーズ。それでリッター30km越えは大変経済的。《写真撮影 井元康一郎》 経済性、快適性、操縦性のバランスの良さが旅気分を大いに盛り上げた。《写真撮影 井元康一郎》 帰路、山口の萩市郊外にて。山陰ブルーをバッチリ堪能できる天気だった。《写真撮影 井元康一郎》 萩城址の毛利輝元像にて記念撮影。ゴルフ7 GTE4000km試乗の時もまったく同じ場所で写真を撮ったのだった。《写真撮影 井元康一郎》 島根県益田市の萩・石見空港の離着陸進入灯下にて記念撮影。《写真撮影 井元康一郎》 暇が続く限りどこまでも行ってみたいと思わせるキャラクターだった。《写真撮影 井元康一郎》 鹿児島の高台、紫原にて桜島をバックに記念撮影。《写真撮影 井元康一郎》