日産サクラ《写真撮影 高木啓》

新型軽EVの日産『サクラ』と三菱『eKクロスEV』。2車種は基本骨格を共有しており、それぞれのブランドで既存車種とも共有するが、デザインのアプローチがサクラとeKクロスEVで異なる。これは各社におけるEVの位置付けの違いでもある。

日産サクラは内燃機関の『デイズ』と兄弟車だ。三菱自動車におけるeKクロスEVと『eKクロス』との関係になり、4車種はプラットフォームが共通だ。三菱兄弟がほぼ同じデザインであるのに対し、サクラはデイズとは明確に異なるデザインを持つ。

これについて、日産サクラの開発責任者である坂幸真セグメントチーフビークルエンジニアは、両社のラインナップ展開におけるEVの位置付けの違いだと説明する。

「日産ではEVファミリーを構築しようとしている。サクラは、軽自動車とは一線を画した、“スモールEV”としたい。従ってデイズとデザインを変えた。いっぽう三菱は、eKシリーズの選択肢のひとつだ」

三菱自動車商品企画本部の藤井康輔チーフ・プロダクト・スペシャリスト(Domestic Vehicle)は、カーボンニュートラルを実現するために「EVを選択肢のひとつに気軽に入れてほしい」ので、eKクロスから大きな変更はせず、EVが特別だという見せ方はしなかった、と説明している。

日産サクラのデザインにデイズと共通のモチーフはなく、先行するEVの『アリア』と共通のモチーフを用いている。田勢信崇プログラムデザインダイレクターは、EVとしてデザインの一貫性を保つため、と語る。

「デイズとデザインを分けることは開発初期からの方針だ。アリアと共通モチーフにするのも当初から。EVを人々に認知してもらうのはそれが近道だ」

発表発売はアリアが先行したが、デザイン開発はほぼ並行している。東京モーターショー2019で、後のサクラとなる『IMk』コンセプトカーがアリアと同時に発表されているのだ。

田勢ダイレクターも「サクラは“小型のEV”としてEVラインナップを拡充する」という。EVファミリーを訴求する日産、EVはバリエーションの一つとする三菱、両社のEV展開の違いが、新型軽EVのデザイン開発の違いにも現れている。

日産サクラ《写真撮影 高木啓》 日産サクラ《写真撮影 高木啓》 日産サクラ《写真撮影 高木啓》 日産アリア《写真提供 日産自動車》 日産アリア《写真提供 日産自動車》 坂セグメントチーフビークルエンジニア《写真提供 日産自動車》 坂セグメントチーフビークルエンジニア《写真提供 日産自動車》 日産デイズ《写真撮影 雪岡直樹》 日産デイズ《写真撮影 雪岡直樹》 日産デイズ《写真撮影 雪岡直樹》 三菱eKクロス(黄色)とeKクロスEV(水色)《写真撮影 雪岡直樹》 eKクロスEV(水色)と三菱eKクロス(黄色)《写真撮影 雪岡直樹》 田勢プログラムデザインダイレクター《写真提供 日産自動車》 田勢プログラムデザインダイレクター《写真提供 日産自動車》 日産 IMk(東京モーターショー2019)《写真撮影 平原克彦》 日産 IMk(東京モーターショー2019)《写真撮影 平原克彦》