日産 リーフ NISMO《写真撮影 吉澤憲治》

◆国産EV×スポーツカーは唯一無二

2020年7月に登場したのが、日産『リーフNISMO』(20MY)だ。空力性能を追求したスポーティなエアロパーツを備え、18インチの大径タイヤやNISMO専用のサスペンションチューニングによって、「人馬一体」でクルマをコントロールするハンドリング性能を目指したという。さらには、専用VCMによって胸のすく加速感も味わえ、今すぐにサーキットへ持ち込んで走らせることができるEVに仕上がっている。

リーフNISMOは、ステアリングのダイレクト感が通常のリーフとは格段に違う。ギア比を18.3から14.7へと変更し、約20%も操舵角量を減らした。この差は、ステアリングを切れば誰でも即座に気が付くほどの差だ。車速を上げていけば、程よい重さにチューニングされた操舵力も相まって軽快なハンドリング性能を発揮する。


クイックなギア比に合わせてバランスを取り直した専用の足周りは、FRバネ常数を+14%、RRは+25%それぞれ高めており、ダンパーの減衰力もバランスを取り直し、特にリアの伸び側減衰力を増加、さらに、リアのバンプラバーはウレタン製に変更している(ノーマルはゴム製)。

これによって、強めの旋回時にロールやピッチは発生するものの、リアがしっかりと車両の傾きを抑えるので、車体が浮き上がるモーションが起きにくく安心感のあるコーナリングとなる。まるで運転が上手くなったような錯覚を覚えるのだ。やっぱりNISMOはこれが良い。

◆リーフNISMOはRECAROシートあってこそ


だが、225/45R18の太いタイヤ(コンチネンタル製ContiSportContact5)を履いた乗り心地はダンピングが強く効いた部類のもので、段差を乗り越えると「ガツン」というショックが伝わるほど、お世辞にも良いとは言えない。ロードカーとしては「ギリギリアウト」にも感じるレベルだが、NISMOはこれでよいのだ。

気合の入ったRECARO製のセミバケットシートが「デンッ」と鎮座したコクピットは、異様な雰囲気だ。オプション設定で選べるこのRECAROシートは、身体が窮屈な感じがしない。肩甲骨を面で支えるよう内側へラインを寄せており、『GT-R NISMO』のシート形状にも近いという。


サイドサポートは、サポート性を確保しつつも乗り降りのしやすさを考えた高さで、邪魔にならない。前席シート2脚で税込37万2000円、一脚あたり18万円弱と安くはないものの、このRECAROシートがあってこそリーフNISMOは生きる。

EVスポーツの先陣を切ったリーフNISMOは、「唯一無二の国産EVスポーツカー」だ。ロングツーリングやワインディング、サーキット走行と、ぜひお楽しみいただきたい一台だ。



■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

吉川賢一|自動車ジャーナリスト
元自動車メーカーの開発エンジニアの経歴を持つ。カーライフの楽しさを広げる発信を心掛けています。

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