トヨタ・クラウン(セダン)《写真撮影 島崎七生人》

「クラウン3部作」(ほどなく4作目のエステートも走り出す模様)の中で、とくにサブネームが与えられていないのがこのセダン。発売は2023年11月のことだったが、改めて乗ってみると、なるほど「これぞクラウン!」と思わせられる。

とくにいいのが“乗り味”だ。市場で既存の3作中では唯一、レクサス(LSなど)と出自が共通するFRプラットフォームがベース。そのことがジワッと身にしみる、実になめらかで質の高いドライバビリティを味わわせてくれる。

試乗車はメーカーパッケージオプションの20インチ(標準は19インチ)タイヤを装着していたが、ドライブモードセレクトの標準状態でも十分に快適。さらにコンソールのトグルスイッチで“REAR CONFORT”モードを選び試してみると、筆者がいつも試す大小の凹凸がランダムに続きクルマの揺れを誘発し時に角のあるショックも拾う路面を、まるで舐めるように通過した。

メルセデス・ベンツの“S”と肩を並べる快適さだと思えた。もちろん我が家の乗り心地・NVH評価担当のシュン(柴犬・オス・3歳)も、小刻みに自分の身体が揺さぶられないこの後席は快適だったようだ。

ステアリングのなめらかと、ちょうどいい重みが感じられる操舵感もいい。最小回転半径は5.7m、全長5030mm、全幅1890mm、ホイールベース3000mmだが、そのサイズ感を念頭に扱えば、スーパーの駐車スペースにも楽に入庫できた。

強いていえば、セレクターでR(リバース)を選んだ際、左右のミラーが連動して自動で下向きにアングルを変えてくれ、後輪まわりを見せてくれるのは、カメラ類が充実した今でも、クラウンほどのクルマならあると親切な機能だと思う。

FCEVに対するHEVのパワーフィール、マナーも大きく見劣りは感じない。概ねシズシズとコチラの神経を逆撫でするような場面を作らずにクルマを走らせてくれる。

後席のアームレストを引き出すと、タッチパネルが現れ、ここでエアコンやシート、リラクゼーション機能が操作可能になっていた。後席はスタイルに比して案外とフォーマルセダン風のポジションでシート座面はやや高め。相対的にドア開口部の上部が少し低めで、乗り降りの際はホテルのエントランスのようにドア開口上部に手を添えてくれる誰かがいてくれるといいのだけれど……。

トランクオープナーのスイッチがドアトリムだったのは昔の話で今はインパネ右下のボタンだが、トランクと全ドアにはイージークローザーの機能が標準で備わる。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

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