ルノー ルーテシア E-TECHエンジニアード《写真撮影 中村孝仁》

E-TECH(Eテック)というかなり凝ったハイブリッド機構を用いたルノーのモデルが日本には3種存在する。そのうち一番コンパクトなモデルが『ルーテシア E-TECH フルハイブリッド』である。

今回の試乗車は新たに「エンジニアード」というサブネームが付加されたモデル(車名:ルーテシア E-TECHエンジニアード)だが、機構的には通常のEテックとは何ら変わりなく、内外装をスペシャルに仕上げ、いくつかの装備を標準化したモデルである。というわけで今や4グレードある『ルーテシア』のうち3種がEテックになり、ガソリンモデルは1種のみとなっている。

◆トランスミッションの課題に、フルハイブリッドで応えてくれた
そのガソリン車との違いは、エンジンが1.4リットルターボから1.6リットルのNAに変わっていることと、トランスミッションが7速EDCから電子制御ドッグクラッチ マルチモードATに変更されていること。性能的にはあくまでも机上の性能では電気のアシストを足したところでガソリンターボの方が上回るのだが、さりとてEテックの性能が顕著に劣るとは全く感じられない。因みに車重もEテックの方が諸元上は110kg重い。まあこんなところが主だった違いである。

実はガソリン仕様のルーテシアを最後に乗ったのはこのクルマがデビューした2020年のこと。だいぶ忘れていたので自分の原稿を読み返してみたら、最後の一文にこんなことを書いていた。

「ツインクラッチのDCTで乾式のものに良いイメージを持ったことがない。まあ、ルノーのそれはこれまでそこそこ良い印象ではあったがやはり渋滞時などの躾けは良くなかった。今回は湿式となったことでだいぶ改善されているが、まあ完ぺきではない。これを改善する方法としてISGを用いたMHEVにすると発進時はモーターアシストが付くので大幅に良くなるはずである。是非メーカーも検討して欲しいところだ。」

そんな要望に対してルノーはMHEVではなくフルハイブリッドで応えてくれたというわけである。だから、これでトランスミッションに関する不満は完全に解消した。そしてEテックに初試乗した時は「もう完全にお買い得車である」と。

◆ハンドリング、サイズ感、ほぼ理想に近い1台
今回Eテック エンジニアードに乗っての感想は、「マイベスト・ハンドリングカー in セグメント」であった。ほとんど車の動きは手足のように自然でスムーズだし、走り出しも渋滞中の挙動もスムーズという以外の言葉が見つからない。これがドライバーを常にリラックスさせてくれる大きな原動力にような気がする。

自動車に乗る時は例えば狭い路地などではサイズ感からそれなりの緊張はするし、ワインディングではやはり緊張感を伴った操作を無意識のうちにやっているのだと思う。それ以外でもクルマを操るという作業にはそれなりの緊張感があってそれが長距離あるいは長時間になると、疲労として蓄積されるのだと感じる。

今回自宅のある横浜から国道413号を使って富士山周辺をすべて一般道のみを使って移動してみた。総距離はおよそ300km。時間にして走行時間だけを積算するとほぼ6時間近い。にもかかわらず、疲労感は限りなくゼロ。強いて言えば眼精疲労があるかな?ぐらいなものである。とにかくシートがピタリとフィットして、アクセル操作とブレーキ操作それにハンドル操作のすべてに気を遣うことが全くなかった。ソロドライブの楽しさを満喫したともいえよう。

そして敢えて省燃費運転など全くせずにドライブモードをマイセンスに固定して走った結果は、23.0km/リットルという素晴らしい燃費データを叩き出したのである。気を使って走ればもしかするとこのクルマのWLTC燃費25.2km/リットルに届いたかもしれないほどだ。

日本の道路で使うにはサイズ感もほぼベストフィット。個人的にはほぼ理想に近い1台である。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来46年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。最近はテレビ東京の「開運なんでも鑑定団」という番組で自動車関係出品の鑑定士としても活躍中。

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