三菱eKクロスEV《写真撮影 雪岡直樹》

吉と出るか凶と出るか---。年の瀬も押し迫る中で、今年のカーオブザイヤーを総なめにした日産自動車と三菱自動車の両社が、付加価値がある商品力を武器に一か八かの賭けに出た。

◆日産アリアは一部で100万円のプラス
日産は、半導体不足などの影響により停止していた軽の電気自動車(EV)『サクラ』の受注を再開したが、新価格は標準タイプで254万円と、従来の価格から約15万円値上げする。また、主力の普通車EV『リーフ』は標準タイプで408万円と10%値上げするほか、航続距離が長いタイプは価格を約2割引き上げ、値上げ幅は約100万円に達するそうだ。

一方、三菱自動車も日産と共同開発した軽EVの『eKクロスEV』の希望小売価格を、2023年2月から14万8500円引き上げると発表。主力の多目的スポーツ車(SUV)「アウトランダーPHEV」の標準タイプも約5%程度引き上げ、484万円とする-という。

両社は他社に先駆けて軽EVの量産に踏み切った。今年6月に発売した日産サクラと三菱eKクロスEVは、政府の補助金を活用することで180万円前後で購入することができ、生産が追い付かないほどの人気車種となっていた。さらに、「日本カー・オブ・ザ・イヤー」や「RJCカーオブザイヤー」、それに「日本自動車殿堂カーオブザイヤー」を受賞するなど、自動車ジャーナリストらの評価も高かった。

◆スバルやマツダも値上げ
輸入車が先行する値上げの兆しは、国産車にもみられるようになり、すでにスバルは主力モデルであるSUV『フォレスター』の価格を平均5万5000円引き上げたほか、マツダなどもほぼ改良なしに一部モデルの価格を引き上げた。

猛烈なコストアップはビジネスの工夫で吸収できる域を超えており、それに対応するための“応急処置”ともみられる。ただ、各社とも国内市場のシェア争いを気にして値上げを最小限にとどめているが、今後も付加価値が高い人気車種で、採算性が合わないと見切ったメーカーから本格的な値上げに踏み切る可能性もある。

2022年12月23日付

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日産サクラ《写真撮影 雪岡直樹》