トヨタ自動車の米インディアナ工場で生産されるシエナ《photo by Toyota》

自動車メーカー各社はあす8月9日から17日まで9日間の長期夏季休暇に入るが、トランプ関税の具体的な引き下げ時期も決まらず、不安を抱えたままの“お盆休み”にもなりそうだ。

そんな中、トヨタ自動車とSUBARU(スバル)の2社も決算説明会を終えたことで自動車大手7社の2025年4~6月期の連結決算が出そろった。

このうち、トヨタ自動車は26年3月期の関税負担が営業利益ベースで1兆4000億円にのぼり、営業利益を3割押し下げるという。世界販売に占める米国比率が7割を占めるスバルも関税が2100億円の減益要因になると試算。26年3月期の最終利益は5割減の1600億円に落ち込む見通しだ。車関税は27.5%から15%に緩和される見通しだが、「依然として大きな影響が残る」(大崎篤社長)として、警戒感を緩めていない。

きょうの各紙もそれぞれの視点で自動車7社の決算を分析した関連記事を取り上げているが、日経は「関税、2.7兆円利益圧迫、営業益合計の3割強」のタイトルで、「各社が開示した26年3月期通期の米関税の影響額は計2兆7000億円にのぼり、営業利益合計(業績予想を未定とする日産自動車を除く6社)を単純比較すると36%も押し下げる」と報じた。

読売も「車7社2.7兆円下押し、26年3月期予想、関税直撃国内市場強化へ」。「トランプ米大統領が打ち出した高関税政策の打撃が鮮明になった。26年3月期の営業利益(本業のもうけ)予想では、単純合算で約2兆7000億円もの下押し要因となり、各社は関税影響を緩和するため日本市場を強化する構えで、最大手のトヨタ自動車は国内工場の新設を表明した」とも。

毎日は「自動車各社高関税前提に」をメインタイトルに「日米両政府は自動車関税を27.5%から15%に引き下げることで合意したが、前期までの2.5%からは大幅な上昇で、自動車産業全体への打撃は大きい。大手各社とも高関税の『固定化』を想定せざるを得なくなっている」と指摘。

その中でトヨタが愛知県豊田市で新たな車両工場を建設すると発表したことに触れて「日本の300万台の生産、ものづくりの基盤を失いたくない」として、「事業環境の不確実性が高まるなかだからこそ国内の生産体制や雇用を維持していくと訴えた」などと取り上げた。

トヨタの新工場の発表では、足元では日産自動車の追浜工場の閉鎖が決まるなど、国内生産体制の地盤沈下が懸念されているが、読売は「自動車大手関係者は『衝撃だ。縮小傾向の国内を重視する姿勢を示すのは、トヨタにしかできない』と白旗をあげた」と報じたほか、「日本国内の新車販売台数は24年に442万台と、1990年の777万台から大幅に縮小。人口減やクルマ離れが進む中、限られた国内のパイを奪い合う先には激しい競争が待っている」とも警鐘を鳴らす。

2025年8月8日付

●米関税15%上乗せ発動、日本、特例対象ならず (読売・1面)

●トヨタ関税で減益1.4兆円、26年3月期、業績予想下方修正(読売・2面)

●「車7社2.7兆円下押し、26年3月期予想、関税直撃国内市場強化へ (読売・8面)

●スバル純利益半減、3月期予想、1600億円の見通し, (朝日・7面)

●暮らし、150センチ未満の子、シートベルト要注意(朝日・23面)

●社説、ガソリン税の引き下げ、脱炭素と整合性取れない (毎日・5面)

●EU自動車業界に打撃、米関税発動世界の反応 (産経・8面)

●トヨタ、逆風下の1000万台、供給網維持へ国内新工場(日経・3面)

●ソニーG、今期営業益500億円上振れ、1.9兆円コンテンツ投資実る(日経・13面)

デジタル化を進めるトヨタの貞宝工場(参考画像)《写真提供 トヨタ自動車》 マツダとトヨタの米国アラバマ州の合弁工場で生産されるマツダ CX-50《photo by MAZDA》 トヨタのバッファロー工場《Photo by Stephen Zenner/Getty Images News/ゲッティイメージズ》