ヤマハ発動機の日高祥博社長は、水素を燃料とした二輪車(バイク)に関して「プロトタイプはできている」と明かした上で、脱炭素に向けた「保険のひとつ」として水素エンジンの開発に注力する方針を改めて示した。
日高社長は21日に本社で行った報道各社とのインタビューで水素エンジンバイクの開発状況について「水素を燃料とした二輪車のプロトタイプはもうできていて、走る走らないで言ったらガソリンと変わらない性能で走らせることは可能」と述べた。
その一方で「水素の難しさは、常温液体のガソリンと違って、(水素を)液体にしようとするとマイナス250度くらいにしないといけないので、燃料タンクの安全性を担保しながらどういう形で水素をバイクの中に納めるか、それが一番キーになる」と実用化に向けての課題をあげる。
さらに「二輪車のためだけに国が水素ステーションを整備してくれることは絶対にないので、やはり四輪車メーカーが水素四輪車というのを考えて水素ステーションを造っていく、その中でそのステーションを二輪も使えるように整備して頂くことが必要になる」とも指摘した。
自らも認める実用化へのいくつかの難題がある水素エンジンの開発に取り組む理由について日高社長は「保険」と言い切る。
というのも「正直言って僕は、趣味の大型ツーリングバイクはバッテリーを積むのでは全然成立しないと今でも思っている」から。それゆえ「内燃機関を残しながら、カーボンニュートラルも両立できるものをいくつか研究開発していないと、いざという時に困ると思っていろいろやっている」というわけだ。
ヤマハでは四輪バギーや発電用エンジンなど二輪車以外の既存製品へも水素エンジンを横展開する取り組みに着手している。
四輪バギーではレクサスインターナショナルと共同開発を進めており、2人乗りの既存製品をベースに荷台部分に水素タンクを搭載した試作車をすでに制作している。また発電用エンジンでは燃料を水素に切り替えた試作モデルを、スーパー耐久レース参戦車で使用するスポットクーラー用電源として実戦配備済みとのことだ。
水素バイク、実用化に難題も ヤマハ発動機の日高社長「プロトタイプはできている」
2022年12月22日(木) 13時15分
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