フォルクスワーゲンのドイツ・ハノーバー工場で生産を開始したID.Buzz《photo by VW》

フォルクスワーゲン(Volkswagen)は6月6日、新型EVの『ID.Buzz』の生産を、ドイツ・ハノーバー工場で開始した、と発表した。

◆将来的には年間13万台のID.Buzzを生産へ
ハノーバー工場ではこの2年間、ID.Buzzの生産に向けて改修を進めてきた。新しい車体プレス工場の建設をはじめ、組み立てラインにはEV部品用の新しいセクションが設けられた。本格的な生産を円滑に開始するために、約4000人の従業員がトレーニングを受けた。現在、ハノーバー工場では、内燃エンジン車、プラグインハイブリッド車(PHV)、EVと3つの異なるパワートレインを搭載した車両を生産している。

ハノーバー工場は、ズウィッカウやエムデンと並んで、フォルクスワーゲングループのドイツにおける3番目のEV組み立て工場になった。同工場では2022年、最大で1万5000台のID.Buzzと商用バージョンの『ID.Buzzカーゴ』を生産することを計画している。生産能力が最大に達した場合、将来的には年間13万台のID.BuzzとID.Buzzカーゴが組み立てられる見通しだ。

またハノーバー工場では2024年から、ID.Buzzに続く新型EVを生産する計画だ。この新型EVは、フォルクスワーゲングループ傘下の他のブランド向けのプレミアムEVになるという。

◆バッテリーはサンドイッチ構造のフロア下に配置
エクステリアには、初代の「T1」(『Bulli』とも)のデザインモチーフを取り入れた。短いオーバーハングやスペース効率の高さ、V字型のフロントマスクなどがT1から受け継がれた。オプションで、ツートンカラーが選択できる。

標準ボディの2988mmのホイールベースは、フォルクスワーゲンの主力商用車の『T6』比較として、2mm違うだけだ。一方、T6の全長4904mmに対して、 ID.Buzzの全長は192mm短い。これにより、T6と同様の室内長を維持しながら、より小さな駐車スペースに停めることができるという。

バッテリーは、サンドイッチ構造のフロア下に配置されており、重心を低くし、前後重量配分にも配慮した。このレイアウトのおかげで、ID.Buzz の最小回転半径は、5.55mに抑えられる。また、ID.Buzzの全幅は1985mmで、T6よりも81mmワイドだ。全高は1937mmで、T6の全高1970mmと比較して、およそ30mm低くした。アルミホイールは、18〜21インチサイズを用意している。

◆1回の充電での航続は最大で424km
欧州仕様車は導入当初、全長4712mm、全幅1985mm、全高1937mm、ホイールベース2988mmの標準ボディのみになる。室内は2列シートで、乗車定員は5名だ。標準ボディの荷室容量は、最大1121リットルを確保した。2列目シートを折りたたむと、荷室容量は最大2205リットルに拡大する。

インテリアは、フォルクスワーゲンで初めて、動物由来のレザーの使用をとりやめた。その一方で、リサイクル素材を積極的に用いる。また、インテリアの細かい部分には、伝説的なT1のキャンパーバンのモチーフが生かされているという。

ID.Buzzは、フォルクスワーゲングループの新世代EV向け車台の「MEB」がベースだ。モーターはリアアクスルに搭載され、最大出力201hp、最大トルク31.6kgmを引き出す。最高速はリミッターによって、145km/hに制限される。バッテリーはリチウムイオンで、蓄電容量は82kWh(正味容量は77kWh)とした。1回の充電での航続は、最大で424km(WLTPサイクル)。急速充電を利用すれば、バッテリーの8割の容量を充電する時間は、およそ30分で済むという。

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