トヨタ ヤリス ハイブリッド G(手前)とガソリン車のZ(奥)《写真撮影 小林岳夫》

トヨタ『ヤリス』は『ヴィッツ』の後継となるトヨタのコンパクトカーで、2020年2月の発売以来、売れ行きは好調に推移している。2021年度上半期において、ヤリスシリーズ全体の登録台数は、国内販売の1位になった。

そこでシリーズのメイン車種とされるコンパクトカーのヤリスについて、買い得なおすすめグレードを考えたい。

◆ヤリスのエンジン構成&グレードは


ヤリスのエンジンはすべて直列3気筒で、排気量が1リットルと1.5リットルのノーマルタイプ、1.5リットルのハイブリッドを用意する。

グレード構成は、1.5リットルのノーマルエンジンとハイブリッドには、ベーシックなX、中級のG、上級のZを設定した。1リットルのノーマルエンジンは、価格が最も安いX・Bパッケージ、X、Gという構成だ。

これらの内、1リットルのX・Bパッケージは価格が唯一140万円を下まわるが、衝突被害軽減ブレーキと運転支援機能がすべて非装着になってしまう。しかも価格は、これらを標準装着したXに比べて6万円しか下がらない。安全性と割安感の両面から推奨できないグレードだ。

◆エンジン車とハイブリッド、どっちがお得?


また1リットルエンジンは設計が古く、価格は1.5リットルに比べて約14万円安いが、動力性能と燃費の両面からおすすめしにくい。そうなると1.5リットルのノーマルエンジンとハイブリッドが主な選択の対象になる。

ハイブリッドの価格は、Zの場合、ノーマルエンジンに比べて35万3000円高いが、購入時の税額の違いによって実質差額は約28万円に縮まる。レギュラーガソリン価格を1リットル当たり150円として計算すると、28万円の実質差額を燃料代の節約で取り戻せるのは、約10万kmを走った頃だ。1年間に1.5万kmを走るユーザーなら、6〜7年で取り戻せる。

またハイブリッドはノーマルエンジンに比べてノイズが小さく、加速も滑らかだ。つまり燃費以外の価値もある。販売店でノーマルエンジンとハイブリッドを乗り比べ、走行距離も考慮した上で、パワーユニットを選びたい。

◆実用的には「G」グレードで十分だが


グレードについては、ノーマルエンジン、ハイブリッドともに実用的にはGで十分だ。ただしGに標準装着される14インチタイヤは、転がり抵抗を抑えた仕様で指定空気圧も高い。そのために乗り心地が硬めになってしまう。

そうなると15インチタイヤとアルミホイールのオプション(5万9400円)を装着する方法もあるが、それならばZにグレードアップした方が満足感が高まる。Zであれば、LEDヘッドランプやシートヒーターなども標準装着されるからだ。


特に数年後に手放す時の売却額は、年式/グレード/走行距離によって判断される。中級のGにオプションを多く加えるよりも、同じ装備を標準装着するZを選んだ方が査定額は高まる。

残価設定ローンも同様で、同じ装備を付けるなら、オプションよりも標準装着される上級グレードを選ぶ方が月々の返済額を抑えやすい。

◆買い得な推奨グレードは


そうなると買い得な推奨グレードは、ノーマルエンジンの「1.5Z」(197万1000円)、あるいは「ハイブリッドZ」(232万4000円)になる。予算をオーバーしたり、あるいは上級装備が不要な時は、「1.5G」(177万3000円)、あるいは「ハイブリッドG」(213万円)を推奨したい。

トヨタ ヤリス ハイブリッド(G)《写真撮影 小林岳夫》 トヨタ ヤリス ハイブリッド(G)のエンジンルーム《写真撮影 小林岳夫》 トヨタ ヤリス。左からZ(2WD/CVT)、ハイブリッド G(2WD)、ハイブリッド Z(E-Four)《写真提供 トヨタ自動車》 トヨタ ヤリス ハイブリッド G(2WD)《写真提供 トヨタ自動車》 トヨタ ヤリス ハイブリッド Z(2WD)《写真提供 トヨタ自動車》 トヨタ ヤリス ハイブリッド Z(2WD)《写真提供 トヨタ自動車》 トヨタ ヤリス Z(2WD・CVT)《写真提供 トヨタ自動車》 トヨタ ヤリス Z(2WD・CVT)《写真提供 トヨタ自動車》 トヨタ ヤリス ハイブリッド G(2WD)《写真提供 トヨタ自動車》 トヨタ ヤリス ハイブリッド G(2WD)《写真提供 トヨタ自動車》 トヨタ ヤリス G (1.5L・4WD・CVT)《写真提供 トヨタ自動車》 トヨタ ヤリス G (1.5L・4WD・CVT)《写真提供 トヨタ自動車》 トヨタ ヤリス X(1.5L・2WD・CVT)《写真提供 トヨタ自動車》 トヨタ ヤリスX”Bパッケージ”《写真提供 トヨタ自動車》 トヨタ ヤリス Gに設定される15インチタイヤ《写真提供 トヨタ自動車》