日産 ノート 新型《写真撮影 中野英幸》

コンパクトカーの日産『ノート』。このクルマの評価のポイントは、ノート自身が売りにしている「静粛性」である。

ライバル車がモーター走行とエンジン走行のハイブリッドを展開するなか、日産独自の「e-POWER」で迎え撃つノート。エンジンは発電するだけで、作った電気でモーターを動かして走る。走る部分だけをいえば、電気自動車というシステムである。

電気自動車はエンジン車に比べて静かだけれど、しかし、ノートにはエンジンが載っている。発電のためにエンジンがかかっているときは当然、エンジン音がするのだ。もっとも、発電の必要がないときは、静かな電気自動車状態だけれど。

◆エンジン音がかなり抑えられた故に…


ただ、新型になったノートはそのエンジン音がかなり抑えられている。先代は、発電のためにエンジンがいきなり始動するとびっくりするくらい大きな音がしたけれど、今回は、ロードノイズとエンジン音をうまく相殺する新機能を搭載したこともあり、かなり抑えられている。

とはいえ、クルマが走るときに車内に入ってくる音は、エンジン音だけではない。ロードノイズ(タイヤがアスファルトの路面を走るときにする音)や、風切り音(高速走行時、サイドミラーあたりで風が渦を巻く)など、あれやこれやのいろんな音がする。

そして今回、高速道路で渋滞にはまったとき、私は予想外な音に気付いた。それは、車両接近通報装置の音。ハイブリッドや電気自動車など、エンジンがかかっていないときは静かすぎるため、周囲の人に気づいてもらいやすくするための人工的に作ったあの音である。

◆車両接近通報音がとにかく耳につく


高速道路でゆるゆると25km/h以下で走るあいだ、エンジンはほとんど止まっている。しかし、車両接近通報音がずーっと鳴りっぱなしなので、この音がとにかく耳につくのである。高級車などになると、遮音性に力を入れることができる。さまざまな音が車内に入り込まないようにする手当だ。しかし、ノートの場合……うむむ。

あまりに渋滞が長く、その間、この音を聞かされ続けてイラついた私は思った。高速道路に人は歩いていないのに、なぜずーっとこの音を聞かされなければならないのだと。

自動運転技術を支えるためのデジタルマップは、日本の高速道路をすべて網羅している。ハイブリッドや電気自動車はこの機能を入れて、高速道路上にいるときは、車両接近通報音を鳴らさないようにできないものかと、本気で考えてしまう。

e-POWERならではの、なめらかな加速や、ワンペダルで下り坂もエンジンブレーキがかかったように安定して走れるところとかしみじみいいと思う。でも「静かですよ」という謳い文句には、やはりちょっとひっかかるんだよね。



■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に取材するほか、ノンフィクション作家として子どもたちに命の尊さを伝える活動を行っている。レスポンスでは、アラフィー女性ユーザー視点でのインプレを執筆。コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。

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