JSB1000クラスで絶好調の中須賀克行

Kawasaki Team GREEN(カワサキ)がスーパーバイク世界選手権の絶対王者ジョナサン・レイを起用することで話題を集め、一部ではホンダワークスのチームHRCがダニ・ペドロサを起用するのではないかという噂も流れはじめるなど、いよいよ盛り上がりを見せている今年の“コカ・コーラ”鈴鹿8耐。だが、忘れてならないのが4連覇を目指すYAMAHA FACTORY RACING TEAM(ヤマハ)の存在だ。

ライダー布陣はまだ発表されていないが、昨年の鈴鹿8耐優勝ライダーを組み替える必要性はないことから、全日本JSB1000クラスの絶対王者・中須賀克行がチームの軸となり、スーパーバイク世界選手権を戦うアレックス・ローズとマイケル・ファン・デル・マークの3人体制が予想される。

「中須賀選手の出場が決まれば、彼は全日本JSB1000で絶好調なので、これまで通りにチームの軸となってくれれば、いい戦いができるでしょう」と語るのは鈴鹿8耐3連覇中の吉川和多留監督だ。その中須賀は第2戦鈴鹿2&4、第3戦オートポリスの予選でコースレコードを大幅更新し、第1戦もてぎと第2戦ではレースでも圧勝していてまさに絶好調。そして吉川監督はさらに続ける。

「ライバルチームの動きは、当然ですが気になります。とくに今年はチームHRCが全日本に復帰して、レース毎にマシンが速くなっている。鈴鹿8耐にもチームHRCとして参戦するし、精力的にテストを繰り返しているという情報もありますからね。もちろんレイ選手を起用するカワサキも強敵です。レイ選手が久しぶりの鈴鹿サーキットでどのような走りをするのかも興味深いですね」

では、YAMAHA FACTORY RACING TEAMのポテンシャルはどうなのだろうか。

「一昨年、218周することができましたが、その時に219周はしっかりと視野に入っていました。そして昨年は、セーフティーカーが入ったりで周回数は伸びませんでしたが、各ライダーともにチーム側でペースを指示しないと、どこまでもラップタイムを上げていく状態でした。耐久レースなので、ある程度のところでマシンを労ることも重要なのですが、もしライバルがペースを上げてきたとしても、我々もさらにペースを上げる余力がありました。そういった意味で今年は、公開テストなどでライバルがどういう動きを見せるかをしっかり判断していきたい。今年、YAMAHA FACTORY RACING TEAMは鈴鹿8耐4連覇がかかっていますが、4連覇を狙うのではなく、あくまでも優勝を目指し、結果として連覇につながるというこれまで通りの戦略です」

「220周走破ですか?まだ出場ライダーが決まっていないので何とも言えませんが、今後のテストでのライバルの動きを見つつというところでしょう。ただ、これも連覇と同様で、最初からそこを狙うのではなくて、ライバルとの戦いのなかで、終わってみたら220周を走破していたという状態がベストだと思っています。こだわるべきは優勝の二文字のみです」(吉川監督)

昨年、ホンダとスズキが新型車を投入したことから、現行4年目を迎えたヤマハ『YZF-R1』は参戦車両のなかで早くも最古参となった。もちろんこれは信頼性ということばに置き換えることができるのだが、そのマシンも、ライバルの動向に合わせてまだまだ速くなるとのことで、今年の鈴鹿8耐もYAMAHA FACTORY RACING TEAMが中心となることは間違いない。

これまで、鈴鹿8耐で3連覇を遂げたライダーは中須賀ただ1人。だが、4連覇となれば、連覇記録の更新とともに、かつてミスター8耐と呼ばれたワイン・ガードナー、そしてシリーズ戦にフル参戦するライダーとしては清成龍一に勝ち星で並び、宇川徹の持つ最多5勝に迫ることになる。

YAMAHA FACTORY RACING TEAM 吉川和多留監督 昨年の鈴鹿8耐で3連覇を達成したYAMAHA FACTORY RACING TEAM 中須賀克行