『ファットボブ』は新型『ソフテイル』の中でも特に「走り」にこだわったモデルと言えるだろう。シリーズ中唯一のカートリッジ式倒立フォークやリモート式のプリロードアジャスターを備えたロングリヤショックを備えるなど、足まわりの機能の充実ぶりからも“走りのモデル”であることは明らか。
見た目も従来のやや古典的クルーザースタイルから一転し、角型のLEDヘッドライトや跳ね上がった2本出しマフラーなどが見るものを挑発する。前後を切り詰めてマスを集中させた分厚い筋肉質なフォルムは、まさに重量級ファイターのイメージだ。今回試乗したのはミルウォーキーエイト114を搭載した、ひと際パワフルな上級モデル。セルボタンを押すと、しばし重いクランキングから「ズドン」と一発、地響きとともに新しくなった1868ccVツインが目覚める。
排気量拡大とともに大幅に増えたトルクにより加速は一段と強烈ではあるが、不思議なことにパワーデリバリーはいたってスムーズ。新たに装備されたデュアルバランサーの効果も大きいと思うが、疲労の原因になる微振動はうまくカットされ、心地よい骨太な鼓動感だけがクローズアップされている。
走りがまたいい。ストレートでは持ち前の弾け飛ぶトルクで一瞬のうちに加速し、大径ダブルディスクが300kg超の車重を余裕で受け止めつつ、フロントが沈み込むピッチングモーションを感じながら滑らかに旋回姿勢に持ち込むことができる。データ的にもリーンアングル32度、キャスター角28度というシリーズ中最も深いバンク角とスポーティなディメンションが与えられていることからも分かるとおり、ワインディングもかなり攻められる。
フロント150サイズの極太タイヤなので倒し込みに多少の手応えは感じるが、逆にそれが巨大マシンを操っている実感にもつながっていて楽しい。いざという時に頼りになるABSと、シフトダウンでの挙動の乱れを修正してくれるスリッパ―クラッチという安心の“保険”が装備されている点も最新モデルならではだ。
ブラックアウトされたエンジンやホイールまわりが醸し出すダークな雰囲気や、大きなシートにどっかり座ってワイドバーに手を伸ばし、足を前に投げ出したライポジが作る豪胆な乗車フォルムが「ちょいワル気分」を高揚させてくれる。乗るほどにハーレー流のスポーツマインドに魅せられていく。そこがまた気持ちいいのだ。
■5つ星評価
パワーソース:★★★★★
ハンドリング:★★★★
扱いやすさ:★★★
快適性:★★★★
オススメ度:★★★★★
佐川健太郎|モーターサイクルジャーナリスト
早稲田大学教育学部卒業後、出版・販促コンサルタント会社を経て独立。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。(株)モト・マニアックス代表。バイク動画ジャーナル『MOTOCOM』編集長。日本交通心理学会員。MFJ公認インストラクター。
【ハーレー ソフテイル ファットボブ/114 試乗】スポーツマインドが気持ちいい「走り」のモデル…佐川健太郎
2017年11月11日(土) 12時00分
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