ヤマハ ディアパソンC580 Fork2(東京オートサロン2025)《写真撮影 宮越孝政》

「東京オートサロン2025」においてヤマハが、さらに装備、カスタマイズを進化させた電動モビリティ「ディアパソン C580 Fork1」と同「Fork2」を展示した。車両区分は「小型特殊」に分類されるが、その可能性は非常に興味深いものだった。

◆2人乗りであること、15km/hの速度にも意味がある
小型特殊というと、いわゆる耕運機のイメージで、田舎道や農道を走る物だ。ヤマハが提案する「DIAPASON(ディアパソン)」は、小型モビリティのさまざまな形態、用途に対応する。ほとんどがまだプロトタイプモデルだが、ボート牽引などマリンレジャーに特化した「C310」、シニアカーをヘビーデューティにして農作業、不整地作業の足となる「C451」、リゾート向け小型4輪の「C350」、ホースライド式4輪の「C682」、3輪モビリティの「C294」など、ラインアップも豊富だ。

どれもコンセプト先行なので、市販される場合の車両区分や保安装備などの課題はあるが、私有地や制限区域、キャンパス、工場・施設構内、イベント会場、屋内利用を考えれば実用性能に大きなハードルはないものばかりだ。

今回展示されていたC580 Fork1は、小型特殊を想定した車両として公道を走る前提で、さまざまな改造、アタッチメントが装備されていた。ルーフキャリア、リアカーゴ(小型トレーラー)、雪や土を排除するプラウなどが目立つが、これでもC580 Fork1が想定する装備や用途の一部に過ぎない。

リアカーゴには水タンクやコンプレッサー、発電機、農機具などが乗せられる。耕運機とちがって2人乗りなのも作業範囲、用途を広げてくれる。小型特殊なので速度が15km/hに制限されるが、その分トルクに制御を振ることができる。これだけの装備、積載でも力不足を感じることは少ないだろう。カーゴに予備バッテリーを積めば、長時間、長距離移動にも対応する。

プラウだけでも雪国の除雪にかなり有効だ。たとえば、町内でプラウ付きのFork1を1台共有する。自治体の除雪が間に合わない、きてくれない路地スペースに活用できる。プラウは脱着可能なので、夏場は作業車として利用できる。バッテリーはホンダの可搬式バッテリー「モバイルパワーパックe:」を利用する。これはアダプターでAC100Vから充電することもできるが、自治体や農協がステーション設置すれば利便性も上がる。

◆ヤマハが小型特殊にこだわった理由
以上は一例だが、地方に必要なのは電動キックボードよりもディアパソンのような小型モビリティだ。小型特殊ならシニアカーより用途が広がる。また、バギータイプのフレーム構造のため、外装を含め非常にカスタマイズがしやすい。ヤマハでもカスタマイズ、架装についてはパートナーシップ体制を敷いている。同時に展示された「C580 Fork2」では、トーヨータイヤとコラボレーションしオフロードラリー車をイメージした“走り”の仕様を提案して見せた。

ディアパソンシリーズは、自動運転やADAS系から、農耕器具、荷台やトレーラー、フォークリフト、プラウなど幅広く対応する。

ヤマハが多様なデザイン、機能を提案できるのはAIを活用しているからだ。AI活用もパートナーシップ戦略により、多種多様なツール、手法を組み合わせながら、デザインを効率よく考案している。単にランダムなデザインを生成するのではなく、設計要件や用途、シチュエーションや利用イメージといった要素を指定することで、無駄なデザイン、実用的でないデザインとはならないようにしている。

なお、ヤマハがディアパソンで小型特殊にこだわった理由のひとつに、自動車免許を返納する際、小型特殊を残すことが可能だったことがあるという。地方において高齢者の免許返納問題は深刻だ。病院もスーパーも近くにないエリアで免許を返納すると、シニアカーくらいしか残らない。これでは現実に生活ができないが、小型特殊が使えれば問題解決の可能性が広がる。速度が15km/hしかでないなら、家族も安心だろう。

ヤマハに限らず、小型特殊を手掛けているメーカーはこの市場を開拓すべきではないだろうか。

ヤマハ ディアパソンC580 Fork1(東京オートサロン2025)《写真撮影 宮越孝政》 ヤマハ ディアパソンC580 Fork1(東京オートサロン2025)《写真撮影 宮越孝政》 ヤマハ ディアパソンC580 Fork1(東京オートサロン2025)《写真撮影 宮越孝政》 ヤマハ ディアパソンC580 Fork1(東京オートサロン2025)《写真撮影 宮越孝政》 ヤマハ ディアパソンC580 Fork1(東京オートサロン2025)《写真撮影 宮越孝政》 ヤマハ ディアパソンC580 Fork1(東京オートサロン2025)《写真撮影 宮越孝政》 ヤマハ ディアパソンC580 Fork1(東京オートサロン2025)《写真撮影 宮越孝政》 ヤマハ ディアパソンC580 Fork1(東京オートサロン2025)《写真撮影 宮越孝政》 ヤマハ ディアパソンC580 Fork1(東京オートサロン2025)《写真撮影 宮越孝政》 ヤマハ ディアパソンC580 Fork1(東京オートサロン2025)《写真撮影 宮越孝政》 ヤマハ ディアパソンC580 Fork1(東京オートサロン2025)《写真撮影 宮越孝政》 ヤマハ ディアパソンC580 Fork1(東京オートサロン2025)《写真撮影 宮越孝政》 ヤマハ ディアパソンC580 Fork1(東京オートサロン2025)《写真撮影 宮越孝政》 ヤマハ ディアパソンC580 Fork1(東京オートサロン2025)《写真撮影 宮越孝政》 ヤマハ ディアパソンC580 Fork2(東京オートサロン2025)《写真撮影 宮越孝政》 ヤマハ ディアパソンC580 Fork2(東京オートサロン2025)《写真撮影 宮越孝政》 ヤマハ ディアパソンC580 Fork2(東京オートサロン2025)《写真撮影 宮越孝政》 ヤマハ ディアパソンC580 Fork2(東京オートサロン2025)《写真撮影 宮越孝政》 ヤマハ ディアパソンC580 Fork2(東京オートサロン2025)《写真撮影 宮越孝政》 ヤマハ ディアパソンC580 Fork2(東京オートサロン2025)《写真撮影 宮越孝政》 ヤマハ ディアパソンC580 Fork2(東京オートサロン2025)《写真撮影 宮越孝政》 ヤマハ ディアパソンC580 Fork2(東京オートサロン2025)《写真撮影 宮越孝政》 ヤマハ ディアパソンC580 Fork2(東京オートサロン2025)《写真撮影 宮越孝政》 ヤマハ ディアパソンC580 Fork2(東京オートサロン2025)《写真撮影 宮越孝政》 ヤマハ ディアパソンC580 Fork2(東京オートサロン2025)《写真撮影 宮越孝政》 ヤマハ ディアパソンC580 Fork1(東京オートサロン2025)《写真撮影 宮越孝政》 ヤマハ ディアパソンC580 Fork1(東京オートサロン2025)《写真撮影 宮越孝政》 ヤマハ ディアパソンC580 Fork1(東京オートサロン2025)《写真撮影 宮越孝政》 ヤマハ ディアパソンC580 Fork1(東京オートサロン2025)《写真撮影 宮越孝政》 ヤマハ ディアパソンC580 Fork1(東京オートサロン2025)《写真撮影 宮越孝政》 ヤマハ ディアパソンC580 Fork1(東京オートサロン2025)《写真撮影 宮越孝政》 ヤマハ ディアパソンC580 Fork1(東京オートサロン2025)《写真撮影 宮越孝政》 ヤマハ ディアパソンC580 Fork1(東京オートサロン2025)《写真撮影 宮越孝政》 ヤマハブースで実車初披露となったフォーミュラEマシン(東京オートサロン2025)《写真撮影 宮越孝政》 ヤマハ発動機ブース(東京オートサロン2025)《写真撮影 宮崎壮人》