トヨタ クラウンセダン FCEV《写真撮影 宮崎壮人》

今回のワンポイント確認は、「女性に、クラウンセダンは乗りこなせるのか」である。

◆クラウンは男の文化なのである
結論から書こう。無理だ。だって似合わない。先代とは似ても似つかぬ自由なデザインではあるものの、古き良き男の気合が一本、しっかりと入っているのだ。そして車内や、使い勝手のそこかしこにも。だから言おう。女性なんて、どうでもいい。クラウンセダンは、信じた道をそのまま行ってくれ。相撲の文化と同じだ。土俵に女性が上がることは(緊急事態をのぞいて)許されていない。クラウンは男の文化なのである。

まず、後の中央席。座面にスペースはあり、三点式シートベルトこそついているけれど、脚の置き場がない。狭いというレベルではなく、まったく置けないと言っていい。両脚をがっつり開けばなんとかなるかもしれない。でも、スカートではどうにもならないのである。

そして気になるのはエアコンの風。風量をミニマムにしても強いのだ。ドライアイの私にはつらい。夏の時期、ノースリーブなどを着る女性の肌にも悪かろう。

この瞬間、む、このクルマは、女性の視点は入れられていないと気付いたのである。

◆割り切りの手応え&足応え感
そして、運転してみるとハンドルもペダルも重い。正直、疲れる。ええ、若い婦女子なら平気でしょうよ。ただ、私世代には、もう重いと感じてしまうのだ。以前はもっと軽かった。いや、軽すぎた。アクセルペダルなんて、足の自重が乗っただけで、びゅんとかっ飛びそうなくらいだ。こう言っちゃなんだけど、脚力落ちてきたおじ(い)ちゃんでも、きっちり加速させられて老いを感じさせず男のプライドを保てる味付けだったのだ。

しかし、そんな偽善的なスポーツ感はどこへやら。このハンドルとアクセル感を使いこなせないやつは乗らんでよろしい的な割り切りの手応え&足応え感。1mmずつじっくりとラインを狙い、加速を極めよういう重さなのである。

長距離を走るとさらにハンドルの重さが際立つけれど、そんなときにこそ役に立つさまざまなアシスト機能。ハンドルをまっすぐ保つのも一定速度での走行も、ない体力は財力と技術で補う。すべてアシスト機能におまかせすればよいのである。

◆アラウンドビューモニター、「追突注意」表示も便利
自分のクルマの位置をモニターで見ることができる、アラウンドビューモニター(上空からふかんでクルマを映し出すような機能)は、クルマが透明になったようにクルマ止めなどを映し出してくれるし、後方の車両が急接近したら、追突注意がパネルに表示される。これらは、なかなか便利だ。

私は人生のなかで、二度ほど、高速道路の料金所(ETCのない国)で、追突されそうになったことがある。キーッというブレーキの音が後方から聞こえたときにルームミラーを見ると、運転席と助手席の二人が、漫画のようにすごい表情で手で衝撃を受け止めようとしていて、人間って最後まであがくんだなあと、あとでしみじみ思ったことがある。この機能があれば、追突の直前により早く危険を察知し、ほんの少し前方に動いてあげることができ(スペースがあれば)、追突事故や追突による傷害値も減りそうだ。

◆女性は、乗りこなさなくてよろしい
今回のワンポイント確認「女性に、クラウン・セダンは乗りこなせるのか」は、女性に迎合することなく、クラウンを乗りこなす気概のある男性に向けて、ぐいぐい作ってあるクルマなので、女性は、乗りこなさなくてよろしい、である。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。レスポンスでは、女性ユーザーの本音で語るインプレを執筆するほか、コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。著書に「未来のクルマができるまで 世界初、水素で走る燃料電池自動車 MIRAI」「ハチ公物語」「命をつなげ!ドクターヘリ」ほか多数。最新刊は「こちら、沖縄美ら海水族館 動物健康管理室。」(すべて講談社)。

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