大型・中型車もAT限定免許、「物流の2024年問題」で警察庁が導入検討(写真はイメージ)《写真AC》

今さらながらと、思った人も少なくないだろう。警察庁が、道路交通法の施行規則を改正し、トラックやバスなど大型や中型の車両についても、普通車と同じように、オートマチック車(AT)限定の免許で運転できるようにする新たな制度を導入する方針を固めたという。

きょうの各紙も「免許要件緩和、大型・中型車もAT限定免許」などと大きく取り上げているが、長距離輸送などを担うトラック業界などでは、ドライバーへの時間外労働の上限規制の適用で人手不足が深刻化するいわゆる「2024年問題」への対応が大きな課題。だが、現在の運転免許制度では、トラックや路線バス、マイクロバスなど「大型」もしくは「中型」と位置づけられる車両の運転には、マニュアル車(MT)免許の取得が必須となっている。

運送業界の人手不足などに対応するため、マニュアル免許よりも取得が容易な、オートマチック車限定の免許を導入してほしいという、業界の要望も強く、このため、警察庁も有識者会議を設置し、今後の免許制度について検討を進めてきたという。

その結果、5月18日までパブリックコメント(意見公募)を実施して、道路交通法の施行規則などの改正を目指すとしている。具体的には2026年に中型(客を運ぶ車の運転に必要な2種含む)と準中型免許に、翌27年に大型免許(2種含む)にそれぞれAT免許を導入する計画だという。

また、AT免許の導入に伴い、免許を取得する際の指定教習所での技能教習や、運転免許試験場での技能試験の内容も見直す方針で、大型や中型のAT免許を取得する場合の教習時間は、MT車にも乗れる免許よりも4時限(計3時間20分)短くなり、その分、教習にかかる費用も安くなるという。MT免許を取得する場合も、クラッチとギアの操作の教習だけMT車を使い、ほかはAT車で行うようになるそうだ。

AT車は普通車の乗用車ばかりでなく、トラックやバスも増加傾向にあり、業界団体の調査では、運輸業界が22年に保有する車両の34%がAT車で、23年に販売された大型バスの約9割、大型トラックの約7割をAT車が占め、「メーカーや運輸事業者の多くが今後もAT車の生産や保有を増やす意向だ」とも伝えている。

大型免許を持たない者がとやかく言うことはできないが、MT車にも乗れる免許であろうとAT車限定であろうと、ハンドルを握るドライバーが、交通ルールを守りながら常に安全運転を心掛けるしかないだろう。

2024年4月19日付

●米大統領選2024=買収反対アピール合戦、USスチール、両陣営労働者層意識 (読売・7面)

●マツダ「CX-80」新型SUV公開 (読売・8面)

●大・中型車もAT限定免許、警察庁方針、26・27年導入、運転手不足 (朝日・3面)

●新潟水俣病、旧昭和電工に賠償命令、地裁判決、26人認定、国請求認めず(産経・1面)

●ホンダ部品、ミタルと提携、低価格EV、中国に対抗、一体成型の技術導入(日経・1面)

●ライドシェアに専用保険、大手損保4社、普及にらみ先手(日経・8面)

●トヨタ、新型ランクル250発売(日経・13面)

●欧州新車販売、20カ月ぶり減 (日経・13面)

●駐車場の「混雑予報」配信、アキッパ、SNS上で、まず関東・関西圏観光地 (日経・15面)

●記者の目=スバル、代表の覚悟あるか、日本版「壮大な7社」に選出、踊らぬ株価、米快走でも成長期待低下 (日経・16面)

トラックもAT化が進んでいる。写真は三菱ふそうキャンターの運転席《写真撮影 宮崎壮人》