
「リーダーとしてこんなことをやりたいと思う人はいないだろうが、再び成長軌道に戻るためには、やりきらなければならない」
経営再建中の日産自動車が、国内の主力拠点である追浜工場の生産を2027年度末に終了し、車両生産は日産自動車九州に移すほか、子会社の日産車体湘南工場も26年度までに車両の生産を終えるという。その追浜工場と湘南工場の生産終了を正式に発表した後の記者会見で、イバン・エスピノーサ社長は「厳しい状況を乗り越えるための “苦渋の決断”」に至った経緯などを説明し、時折目を潤ませながら理解を求めていた。
国内外にある17工場を10工場に集約し、グループ従業員の約15%に当たる2万人の削減を柱とする経営再建計画を公表後には、すでに「追浜工場閉鎖」のニュースは報じられて地元なども大騒ぎとなっていたが、それでも「生産終了」を正式に発表したことから、改めて、きょうの各紙も毎日が1面トップに「日産追浜生産終了へ」のタイトルで報じたほか、読売、朝日、産経、東京、日経も1面と、さらに総合面や経済面にも関連記事を取り上げている。
このうち、追浜工場の閉鎖をいち早く報じた読売は1面に「日産追浜工場閉鎖発表」との大見出しで掲載。総合面には「日産の象徴リストラ」として、「日産自動車が、国内の象徴的な生産拠点である追浜工場(神奈川県横須賀市)の事実上の閉鎖に踏み切る。聖域なきリストラ策を断行する構えを示したが、米国のトランプ政権による高関税措置の影響や、世界最大の自動車市場・中国での販売不振は深刻で再生への道のりは依然厳しい」。
さらに、経済面にも「日産復活へ大ナタ、過剰設備、改革決断遅れ」として「“技術の日産”と呼ばれた名門復活に向け、追浜工場の事実上の閉鎖など矢継ぎ早に再建策を打ち出した。かつてのゴーン改革以来となる『V字回復』を再現するには、販売台数の回復に向けた成長戦略も示す必要がある」と指摘している。
一方で、先日、台湾の鴻海との合弁で電気自動車(EV)を生産するなど「工場存続の可能性も」などとも取り上げていた日経は、1面に「日産・追浜、27年度生産終了」のほか、総合面には「日産、追浜の活用策探る、跡地売却なら財務改善、鴻海との合弁は否定」として、「鴻海を含めた第三者への売却を前提に検討中で、今後の決定が日産の経営再建の焦点となる」とも伝えている。
また、朝日や毎日などは「周囲の期待を集めているのが、かつて経営統合を模索したホンダとの協業だ」(朝日)。「『再び統合の話が動くのではないか』(関係者)との見方もあるようだ」とも。良くも悪くも「生き残りを賭けた日産」をめぐるニュースはしばらく続きそうである。
2025年7月16日付
●日産追浜工場閉鎖発表、27年度で、九州工場に生産移管(読売・1面)
●パナHD、米EV電池新工場不透明、需要失速、テスラも不振(読売・6面)
●EV用電池工場中国・大連に新棟、トヨタ子会社(朝日・8面)
●余暇は国内旅行1位、3年連続物価高で前年下回る (産経・10面)
●新エネ車生産過剰売れ残り野ざらし、中国GDPけん引自動車産業に異変 (東京・6面)
●揺れる「日産の街」追浜工場生産終了、驚き、行方に懸念 (東京・23面)
●テスラ、日本開拓へ店舗倍増、来年中50拠点めざす、低いEV普及率、販売は好調、BYDも年内100店へ (日経・15面)
●苦境の日産と再び接近も、仏ルノー、デメオCEO退任(日経・15面)
●冬タイヤ性能磨く、ブリヂストン全季節型に対抗 (日経・15面)
●ボルボ、米関税影響で1750億円減損 (日経・15面)
●マツダ、関税の暴風雨直撃、日本やメキシコ発米販売の8割(日経・18面)



