初代『アウトバック』は、『レガシィ』が2代目(BG型)だった1994年に北米で登場、追いかけて翌95年8月に日本市場でも発売された(最初の日本名は『グランドワゴン』)。実はあのボルボ『V70 XC』(登場は98年)よりも先に世に出た、今でいうクロスオーバーSUVの先駆“車”でもあった。
現行モデルは2021年に登場、2023年9月に新世代のアイサイトが搭載されるなどした改良型だ。今回の試乗車は当初はなかったグレードの“Active × Black”というグレードで、外観上ではドアミラーほか、ルーフレール、前後バンパーガードなどのパーツがブラックとなる仕様。
『レガシィ』名義の今やSUBARUのフラッグシップながら華やかさを抑え、むしろスノッブな印象すらある外観が特徴。内装も撥水ポリウレタンシートが標準装備となるほか、インパネ、ドアトリムがブラック表皮巻き(シルバーステッチ)となる。
◆スタッドレスでもゆったりと大らかな乗り味は変わらず
走らせた印象は、これまでどおりのゆったりと大らかな乗り味だった。試乗車にはスタッドレスタイヤ(ヨコハマice GUARD G075)が装着されており、夏タイヤとの差分を勘案した上でも、たとえドライの路面でも走行中の乗り味、ロードノイズの感じ方への影響は気にならないレベルと思えた。
むしろタップリとしたサスペンションストロークと2745mmのロングホイールベースが織りなす、アウトバックならではのゆったりとした乗り味は、今でもこのクルマを選ぶ大きな理由になっている。我が家の乗り心地・NVH評価担当のシュン(柴犬・オス・2歳・体重15kg)も、穏やかなクルマの挙動が「悪くない」と目で言っているのは写真でもおわかりいただけるはずだ。
搭載エンジンは水平対向4気筒の1.8リットルターボ(177ps/30.6kgf・m)。これにリニアトロニックと呼ばれるCVTの組み合わせだ。1.8リットルと聞くと古風な頭ではエッ!? と思わなくもないが、実質的にはエンジンそのもののパフォーマンスには不満は抱かない。
燃費は、筆者は試乗車返却時に(ガソリン単価が少しでも安い)郊外で1度満タンにし、都心への返却直前に再度補給を行なう“2段階満タン方式”をとっているが、1度目の給油(箱根往復を含め245km走行)での燃費は10.99km/リットル、2度目(参考までに走行距離は50km)では19.08km/リットルの燃費をそれぞれ確認した。
◆後席、荷室、実用性の高さは文句なし
悠々と足を組んでも座れるほどゆったりとした後席、このクラスならではの広いラゲッジルームなど、基本的な実用性の高さは文句がない。もともと北米市場を向いたクルマの名残か、パワーリヤゲートを閉める際のスイッチがゲート左側(『レヴォーグレイバック』は右側)にあるため、スイッチを押して降りてくるゲートを除けて運転席側へ横方向に移動したい場合に少し急ぐ必要があるのが、日本のユーザーとしては少し不満なところか。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。
【スバル レガシィアウトバック 新型試乗】クロスオーバーSUVの先駆“車”は、大らかな乗り味が「選ぶ理由」…島崎七生人
2024年03月29日(金) 21時00分
関連ニュース
- ドッグフレンドリーカーとしてより相応しいのはSUVか? ステーションワゴンか?【青山尚暉のわんダフルカーライフ】 (08月16日 10時00分)
- VW『パサート』新型発表…ステーションワゴン専用モデル、9月から受注 (07月04日 07時00分)