[Pro Shop インストール・レビュー]トヨタ クラウン(宍戸俊幸さん)by ZEPT 後編

音の情報量や解像度を高めることをテーマに掲げた宍戸さんのトヨタ『クラウン』。フロントスピーカーに選んだのはモレルだった。ハイエンドモデルを組み合わせることで3ウェイ化を実現、北海道のZEPTが絶妙の取り付けを実施してサウンドとデザインを両立させた。

◆ツイーターとミッドレンジの面を揃えることで
解像度の高いクリアな中高域サウンドを実現した
普段使いはもちろんオーディオコンペまでを視野に入れた宍戸さんのクラウン。フロントスピーカーとして選んだのはモレルのスプリーモ602に38thアニバーサリー リミテッドエディションのミッドレンジを融合したフロント3ウェイシステムだった。真っ先に狙ったのは豊富な情報量。モレルのスピーカーユニットで狙い通りの情報量を引き出したが、加えて解像度を高めることもこのクルマでは大きな課題となった。

そこでポイントになったのはツイーター/ミッドレンジの中高域スピーカー群のインストールだった。いずれも大型のユニットなのだが、Aピラーを大きく加工することでビルトイン取り付けを完成させた。Aピラーをワンオフ設計した狙いはツイーターとミッドレンジの振動板の面を揃えること。これによって狙い通りの高い解像度を引き出すことができるのだという。

大きく加工されたAピラーはツイーター/ミッドレンジに対してそれぞれ印象的なリブ処理が施され、デザイン的にも音響的にも最適な仕様に仕上げられている。加えてピラー上部にはショップロゴを配置してアクセントを設けることも忘れていない。ピラーは死角に入る部分だけにデザイン性の高さも欠かせない要素だ。

◆ドアのアウターバッフルにホワイトの差し色
後席のセンタートンネルにサブウーファー
ドアにアウターバッフルで設置されるのはモレル スプリーモ602のミッドバス。オーナーの宍戸さんが惚れ込んだモレルのハイエンドスピーカーで情報量豊かなサウンドを奏でるカギとなるユニット。クラウンの音作りの困難となるスピーカーだ。

取り付けはクラウンの純正ドア内張り形状をうまくトレースしたデザインでアウターバッフルを形成、ドアポケットも生かしつつドアの最前部のみを加工するスタイルを施した。バッフル面に施された化粧パネルはホワイトの人工スエードを使って処理。グレーの内張りにブラックのユニットでドアにアクセントが無かったところに、差し色として効果を発揮しているのが見て取れる。

そんなフロントスピーカーに対してサブウーファーにもこだわり満載。後席のセンタートンネルから車内に振動板をのぞかせているのはカロッツェリアのサブウーファー・TS-W1000RS。ハイスピードで深い低音が引き出せる定番のユニットを用いることで、フロントスピーカーとのマッチングを高めている。車室内に振動板を露出させることで直接音を車室内に導入するのもこだわり。

◆オーディオ再生に高音質DAPを使う一方
純正モニターも活用する多目的システムとした
オーディオプレイヤーとしてはアイバッソのDAP300APEXをチョイス。普段使いからコンペまで対応するハイエンドなDAPとしてこのクルマのメインのオーディオプレイヤーとなっている。

さらにダッシュ上の純正モニターにはパイオニアの車載Wi-Fiルーターを用いてFire TV Stickwを接続、HDMI変換を施すことで純正モニターとの連携を果たしている。YouTubeをはじめとした各種映像を車載モニターで楽しむ普段使いの車内エンターテインメントには欠かせない装備になっている。

センターコンソール前部にヘリックスのDSPを操作するダイレクターをビルトイン取り付けしているのもスマート。ヘビーなシステムでありながら操作性やデザイン性も兼ね備えているのも宍戸さんのクルマへの思いがあるからこそだろう。

普段使いから映像、オーディオコンペまで、オールマイティな用途でフルに楽しむクラウンを作り上げた宍戸さん。思い通りのサウンドで満足度も十分。現時点での完成形ができ上がった。

土田康弘|ライター
デジタル音声に関わるエンジニアを経験した後に出版社の編集者に転職。バイク雑誌や4WD雑誌の編集部で勤務。独立後はカーオーディオ、クルマ、腕時計、モノ系、インテリア、アウトドア関連などのライティングを手がけ、カーオーディオ雑誌の編集長も請負。現在もカーオーディオをはじめとしたライティング中心に活動中。

クラウンを徐々に熟成してきた宍戸さん、今回のテーマは情報量と解像度。ユニット&取り付け&調整で狙いを達成している。 フロントスピーカーには情報量の多さを評価してモレルをチョイス。フラッグシップのスプリーモ602を中心としたユニットを選ぶ。 ミッドレンジにはモレルの38thアニバーサリー リミテッドエディションを組み合わせることでフロント3ウェイを構築した。 Aピラーは造形でも見どころ満点なのだが、ショップロゴを配置したデザイン処理もアイキャッチとなった。 Aピラーへのツイーター&ミッドレンジのインストールに加えて、ドアのアウターバッフルでコクピットをデザイン的に盛り上げる。 ミッドバスはアウターバッフル化される。ホワイトの人工スエードを使った化粧プレートでデザイン性も高めた。 リアシートのセンタートンネル部分から振動板をのぞかせているのはカロッツェリアのサブウーファーTS-W1000RS。 コンソールの前部に埋め込み取り付けされているのはヘリックスのダイレクター。操作性や視認性の高い取り付け位置とした。 音に大きく関わる部分でもあるプレイヤーはアイバッソのDAP300APEXをチョイス。コンペでも戦えるシステムとした。 純正モニターにはHDMI変換した映像信号を入力してパイオニアの車載Wi-Fiを利用できる環境としている。 女性アーティストを車内で楽しむのが好きだという宍戸さん。コクピットではAピラーのデザインがお気に入りだ。