ヤマハとスズキ、人気の125ccスポーツの見どころを比較《写真撮影 真弓悟史》

昨今人気の125ccスポーツバイク4台を徹底比較。走りにもデザインにも個性があり、いざ購入する際は、なにを基準にすればいいのか。ここでは、あらためてそれぞれの違いを紹介していこう。

ひと頃はあまり存在感がなかったものの、この数年で大きな盛り上がりを見せているクラスが、50cc超〜125cc以下の原付二種(道路運送車両法の区分)、あるいは小型限定普通二輪(道路交通法の免許区分)のモデルだ。

ホンダから登場した数々のレジャーバイクが幅広い層に支持され、他メーカーも続々とラインナップを強化。本格的なスポーツバイクが充実しつつある。

今回は、その中からヤマハの『XSR125』と『MT-125』、そしてスズキの『GSX-S125』と『GSX-R125』を用意し、それぞれのモデルのメリットや、選び方のポイントをお届けする。

◆ファッションセンス抜群!“芸コマ”な質感のヤマハ
まずファッション性で見れば、ヤマハの2台がスズキをリードする。塗装の深み、アルミパーツの採用、ボルト類にまで行き届いたデザイン、樹脂パーツのシボ処理など、XSR125とMT-125の間でも共通する部分がほとんどなく、芸が細かい。結果、そのたたずまいはクラスを感じさせず、ステップアップを考えなくても、ここで完結することもできる。

特に、ネオクラシックの雰囲気を纏ったXSR125の質感は高い。凝ったフェンダー構造、タックロールの入ったシート、アナログ的なフォルムとデジタルが融合したメーターなど、随所に強いこだわりを感じさせ、カスタムパーツによる個性の広がりも確保されている。

もちろん、それらは車体価格に反映されるわけだが(下記参照)、125ccクラスだからといって、リーズナブルさ重視のユーザーばかりではない。上質さの価値はわかりやすく、所有した後の満足度も高いはずだ。

■ヤマハ
XSR125…50万6000円
MT-125…49万5000円

■スズキ
GSX-S125…42万200円
GSX-R125…45万3200円

ヤマハとスズキとの間にあるこの価格差を大きいと見るか、小さいと見るかは人それぞれだが、たとえばキーを差し込み、電源をONにする時からタッチが異なる。

ヤマハはしっとりとした感触をともなってコクッとキーが回る一方、スズキのそれはカチャンと軽々しい。乗車する時は毎回触れる部分だけに、ヤマハのきめ細やかな配慮は評価したい。

ハンドリングを評価すると、まとまっているのはMT-125だ。4台中、随一のシャープさながら、倒立フォークや純正装着タイヤ(IRC・RX-01)が伝えてくる接地感、ハンドル幅のナチュラルさ(MT-125に対してXSR125は広く、スズキの2台は狭い)、バンクした時の安定性などがバランス。街中からワインディングまで得手不得手がなく、オールラウンドに扱いやすい。

◆爽快なエンジンフィール!幅広く走りを楽しむスズキ
では、エンジンはどうか。これは使い方や好みによるが、低中回転のフレキシビリティ重視ならヤマハの2台、高回転の爽快さやメリハリ重視ならスズキの2台という感じ。最高出力はいずれも15psで揃っているが、そこへ至るまでの特性が異なり、フラットな吹け上がりを望むならヤマハ、普段はゆるく、然るべきところではガンガン回すことを望むならスズキがそれに応えてくれる。

その意味で、生粋のスポーツ派にはGSX-R125が最適だ。今回のモデル中、唯一フルカウルとセパレートハンドルを装備し、車体色にもレーシングマシン由来のものを採用。ひときわタイトなライディングポジションと車体のスリムさがマッチし、スーパースポーツの雰囲気を味わうことができる。フロントまわりの作りはいかにも華奢だが、低くセットされたハンドルのおかげで、しっかりと荷重を掛けることができ、コーナーでは誰もがその気になれるはずだ。

逆に、街中での気軽さを求めるなら、GSX-S125の一択となる。このモデルの美点は、アップハンドルによる上体の安楽さ、車重135kgの軽さ、スリムで低いシート(785mm)がもたらす抜群の足つきのよさだ。小柄なライダーでもなんのプレッシャーもなく走り出すことができる。

車重自体は、GSX-R125とXSR125が137kg、MT-125が138kgと、驚くほど差があるわけではない。しかしながら、GSX-S125はアップライトな姿勢ゆえ、足をまっすぐ降ろせる。そのため、GSX-Rより取り回しがしやすく、重心ポイントの低さと股下の細さのおかげで、ヤマハの2台より体感的には5kg以上軽く感じるほど、ヒラヒラと操ることができる。

◆こんなユーザーにオススメ!みんな違ってみんないい
このように、すべてのモデルに特筆すべき点があり、きちんと差別化が図られている。ごく簡単に整理すると、ファッション性とカスタムを楽しむならXSR125、バランスのとれたハンドリングならMT-125、エンジンの爽快感とともにスーパースポーツ気分を味わうならGSX-R125、街中でのフットワークに特化するならGSX-S125をおすすめしたい。

また、スズキの2台はコストの点で優位なため、まずはここを入り口にしてスキルを磨き、いずれステップアップするための準備期間として手に入れるのもいい。一方、ヤマハの2台はネオクラシック、あるいはストリートファイターとしての世界観が一定のレベルで完結している。そのため、ここをひとつのゴールにじっくり楽しむのもありだ。

今回の4台は、排気量、エンジン形式、フレーム構造、前後ホイール径は同じながら、輝く部分が異なる。試乗車や展示車、レンタル車両なども活用し、購入の参考にしてみてほしい。

伊丹孝裕|モーターサイクルジャーナリスト
1971年京都生まれ。1998年にネコ・パブリッシングへ入社。2005年、同社発刊の2輪専門誌『クラブマン』の編集長に就任し、2007年に退社。以後、フリーランスのライターとして、2輪と4輪媒体を中心に執筆を行っている。レーシングライダーとしても活動し、これまでマン島TTやパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム、鈴鹿8時間耐久ロードレースといった国内外のレースに参戦。サーキット走行会や試乗会ではインストラクターも務めている。

ヤマハ XSR125(左)とMT-125(右)《写真撮影 真弓悟史》 スズキ GSX-R125(左)とGSX-S125(右)《写真撮影 真弓悟史》 ヤマハとスズキ、人気の125ccスポーツの見どころを比較《写真撮影 真弓悟史》 ヤマハ XSR125《写真撮影 真弓悟史》 ヤマハ XSR125《写真撮影 真弓悟史》 ヤマハ XSR125《写真撮影 真弓悟史》 ヤマハ XSR125《写真撮影 真弓悟史》 ヤマハ XSR125《写真撮影 真弓悟史》 ヤマハ XSR125《写真撮影 真弓悟史》 ヤマハ XSR125《写真撮影 真弓悟史》 ヤマハ XSR125《写真撮影 真弓悟史》 ヤマハ XSR125《写真撮影 真弓悟史》 ヤマハ XSR125《写真撮影 真弓悟史》 ヤマハ XSR125《写真撮影 真弓悟史》 ヤマハ MT-125《写真撮影 真弓悟史》 ヤマハ MT-125《写真撮影 真弓悟史》 ヤマハ MT-125《写真撮影 真弓悟史》 ヤマハ MT-125《写真撮影 真弓悟史》 ヤマハ MT-125《写真撮影 真弓悟史》 ヤマハ MT-125《写真撮影 真弓悟史》 ヤマハ MT-125《写真撮影 真弓悟史》 ヤマハ MT-125《写真撮影 真弓悟史》 ヤマハ MT-125《写真撮影 真弓悟史》 ヤマハ MT-125《写真撮影 真弓悟史》 ヤマハ MT-125(左)とXSR125(右)《写真撮影 真弓悟史》 ヤマハ MT-125《写真撮影 真弓悟史》 スズキ GSX-R125《写真撮影 真弓悟史》 スズキ GSX-R125《写真撮影 真弓悟史》 スズキ GSX-R125《写真撮影 真弓悟史》 スズキ GSX-R125《写真撮影 真弓悟史》 スズキ GSX-R125《写真撮影 真弓悟史》 スズキ GSX-R125《写真撮影 真弓悟史》 スズキ GSX-R125《写真撮影 真弓悟史》 スズキ GSX-R125《写真撮影 真弓悟史》 スズキ GSX-R125《写真撮影 真弓悟史》 スズキ GSX-R125《写真撮影 真弓悟史》 スズキ GSX-S125《写真撮影 真弓悟史》 スズキ GSX-S125《写真撮影 真弓悟史》 スズキ GSX-S125《写真撮影 真弓悟史》 スズキ GSX-S125《写真撮影 真弓悟史》 スズキ GSX-S125《写真撮影 真弓悟史》 スズキ GSX-S125《写真撮影 真弓悟史》 スズキ GSX-S125《写真撮影 真弓悟史》 スズキ GSX-S125《写真撮影 真弓悟史》 スズキ GSX-S125《写真撮影 真弓悟史》 スズキ GSX-S125《写真撮影 真弓悟史》 スズキ GSX-S125(左)とGSX-R125(右)《写真撮影 真弓悟史》 ヤマハ XSR125《写真撮影 真弓悟史》 ヤマハ MT-125《写真撮影 真弓悟史》 スズキ GSX-R125』《写真撮影 真弓悟史》 スズキ GSX-S125《写真撮影 真弓悟史》 ヤマハとスズキの125ccスポーツと伊丹孝裕氏《写真撮影 真弓悟史》 ヤマハ XSR125《写真撮影 真弓悟史》 ヤマハ MT-125《写真撮影 真弓悟史》 ヤマハとスズキ、人気の125ccスポーツの見どころを比較《写真撮影 真弓悟史》