トヨタ自動車は、試験開発中の水素エンジン車『GRヤリス』のデモ走行を、8月19日から21日まで開催された世界ラリー選手権(WRC)第9戦「イープル・ラリー・ベルギー」で実施。水素エンジン車が海外の公道を初めて走行した。
水素エンジンはガソリンエンジンから燃料供給系と噴射系を変更し、水素を燃焼させることで動力を発生。ごく微量のエンジンオイル燃焼分を除き、走行時にCO2は発生しない。また、燃焼はガソリンよりも速く、応答性が良いという特徴がある。トヨタでは『カローラスポーツ』をベースとした競技車両に水素エンジンを搭載し、2021年5月よりスーパー耐久シリーズに参戦。技術開発を進めている。
今回、WRCベルギー大会に登場した水素エンジン車『GRヤリス』には、スーパー耐久シリーズに参戦している水素カローラと同じパワートレインを移植。ドライバーは「モリゾウ」こと豊田章男社長、コドライバーは4度のWRC王者に輝いたフィンランド出身のユハ・カンクネン選手が務めた。
GRヤリスは、イープル・ラリー・ベルギー2日目(20日)のスペシャルステージ(SS)11を走行した。全長15kmのSS11は道幅が狭い農道で、周囲は畑や民家などに囲まれており、選手権に出場したプロのラリーストにとってもチャレンジングなステージ。GRヤリスは現地時間の20日午前、SS11の競技開始前にステージの安全を確認するため走行する「セーフティーカー」の前に走行するテストカーとして走行した。
走行後、豊田章男社長は「路面が刻々と変わり、滑るうえに狭いので難しい道だったが、カンクネン選手の案内により気持ちよく走行できた。会場にはミライによる電源供給のデモもあり、水素エンジンの走行と合わせて、カーボンニュートラルの達成に向けた選択肢のひとつとして水素の可能性を欧州でも見てもらえたと思う」とコメントしている。
また、カンクネン選手は「水素エンジンも非常にトルクがあり、ガソリンエンジン車と変わらない。CO2も出さないということで、モータースポーツはもちろん、一般車の世界でもカーボンニュートラルに向けた選択肢のひとつになると思う」と述べている。
水素エンジン『GRヤリス』が初の公道へ、WRCベルギーでモリゾウがデモ走行
2022年08月22日(月) 16時10分
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