「昔のステップワゴンが帰ってきた！」第一印象はそんな感じでした。『ステップワゴン』って、初代＆2代目はとにかく箱型という感じのスペース重視のパッケージングで、そこが最大の長所だったように思うんですよね。
誤解を恐れずに言ってしまうと、正直なところ運動性能はもうひとつだったような記憶があるのですが（ごめんなさい）、それだからか3代目以降は「走りのミニバン感」が強くなっていったように思います。
先代はまた、縦にも横にも開くワクワクゲートなど、今まで見たことない物を盛り込んでくるホンダらしさが光り、そのユニークさに感動していたのですが、6代目となる今回は普通のゲートになっていたのはちょっと寂しかったりもして。でも気に掛かったのはそこだけで、3代目以降続いていた走り重視のコンセプトから、スペース重視方向に戻ってきてくれたのは、個人的には嬉しかったんですよね。
というのも、ミニバンってどの席に座っても快適！というのがいちばん大切な性能だと思うんです。人をたくさん乗せるクルマだからこそ、みんなが過ごしやすく楽しい気分でいられること、これが大事。そういう意味でも、2列目、そして特に3列目もしっかり作りこまれた今回のモデルは、ミニバンとして大正解だと思います。
もちろん、みんなの安全を守るために、きちんと運転できる基本のキの字の運動性能は大切ですが、そこも今回は落ち着いたフィーリングになっていました。コーナー攻めるの大好き、走り大好きお父さんにはやや物足りない方向に向かったかもしれませんが、e:HEVのダイレクトな走りと、モーターのトルクフルな走りで、パワフルさと走りのスッキリ感は増していると思います。乗員が快適に過ごせる動きとパワフルさを両立しながら、初心に帰ったステップワゴンの潔さはお見事です！
ただひとつ…。「スパーダ」の装備で「エア」の外観＆内装という組み合わせがないというのが残念。そのニーズ、絶対あると個人的には思うんですどねぇ…。
■5つ星評価
パッケージング：★★★★★
インテリア/居住性：★★★★★
パワーソース：★★★★★
フットワーク：★★★★★
オススメ度：★★★★★
竹岡圭｜モータージャーナリスト、タレント
「クルマは楽しくなくっちゃネ！」をモットーに、さまざまな媒体で「喋って・書いて・走って」を実践する女性モータージャーナリスト。テレビのバラエティ番組のMCから、官公庁の委員まで、硬軟幅広く携わっている。モータースポーツでも、耐久レースやラリーレイドなど数々のレースに参戦、現在は全日本ラリー選手権に自らチームを立ち上げチャレンジ中。日本自動車ジャーナリスト協会（A.J.A.J.）副会長。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
