マツダ CX-60 開発主査:和田宜之氏《写真撮影 中尾真二》

マツダのラージ商品群第一段の新型SUV『CX-60』の国内予約受注が、6月24日から開始される。メディア向けの事前取材で気になる技術ポイントを開発主査や広報担当者に聞くことができた。

実物のCX-60を見ると、第一印象は「でかい!」だった。国産車とは思えない存在感があるが、気になるのは「日本の道路事情では無理がないか?」という素朴な疑問だ。この点については「2016年以降のマンションや公共駐車場はサイズが大きくなり、近年の新車動向をみても大きな問題にはならないと判断した(マツダ 商品本部 副本部長兼主査 和田宜之氏)」という。

人気のSUV市場にはコンパクトから大型までラインアップも豊富だ。マツダも『CX-3』からセグメントごとにSUVの設定がある。あえて小さいほう、厳しいほうに合わせてサイズを妥協する必要ないのだろう。だが、たんにサイズを大きくしたわけではない。車幅が広がっている(全幅1890mm)が、縦置きエンジンとスリム化されたトランスミッションにより、前輪の切れ角を大きくとれるように工夫した(和田氏)といい、最小回転半径は従来モデルより小さくなっている。

足回りでは、サスペンションの作動軸が前後で揃っていなかったものを角度を揃えた。これによりピッチングセンターが車両後方になり、車両の動きがピッチングセンターを軸としたスイング運動となり、乗り心地や路面の追従性を向上させる。作動軸がそろっていないとピッチングセンターがホイールベースの間になり、前後のピッチ挙動となり乗り心地や操安性が悪くなる。

PHEVではバッテリーの分車重が重くなるが、重さやサイズを感じさせないチューニングを施したともいう。とくにこだわったのは、モーター駆動領域とエンジン駆動領域の配分と制御だ。「CX-60のPHEVは、デュアルパワートレインというより、ガソリン車にターボをつけるという視点で設計している(同前)」とのことで、モーター・エンジン、前輪・後輪(PHEV、MHEVモデルはAWDのみの設定)のトルク配分、その他コンポーネントとの強調制御には、内燃機関からの乗り換えでも違和感なく、かつ電動車の重さを感じさせないこと、環境性能や燃費にもこだわったそうだ。

マツダのSKYACTIVテクノロジーは、エンジン全体の効率や環境性能を上げるのではなく、効率が最大になるスイートスポットを強化することで、全体の効率を高めるものだ。圧縮費、混合気、燃焼温度、タイミングなど、各部の理想的になるように設計するが、半面捨てる領域もでやすい。そこをモーターで補ってやるのは合理的である。

PHEVモデルの最高出力は323ps、最大トルクは500Nmと、ガソリンモデルよりハイパワーなだけでなく最大トルクはちょうど倍のスペックだ。100km/hくらいまではモーター走行で十分だそうだが、アクセルを踏み込めばエンジンがすぐに応えてくれる。PHEVとAWDの制御は、リア駆動を基本とする。

縦置きのエンジンもフロントミッドシップを意識し、後方にオフセットされている。ボディ中央のバッテリーとAWDのリアアクスルによる低重心および最適重量配分は、運動性能向上にも寄与する。直列6気筒ディーゼルのなめらかさも捨てがたいが、e-SKYACTIV PHEVの動力性能と快適性、環境性能は他のモデルでは味わえないだろう。

マツダはEVやマイルドハイブリッドの技術を持っているが、ストロングハイブリッドについてはトヨタ「THS II」の供給を受けていたことがある。しかし、この車両の評価はあまりよくなかった。独自の進化で高性能化、複雑化が増したハイブリッドシステムは、OEM供給を受けて別のシャーシやプラットフォームに組み込んでも特性を生かすのは難しいのかもしれない。

とくにマツダのような技術やライン、設計モデルに特徴があり自信がある会社は、パワートレインやプラットフォームなど車両の根幹をなすコンポーネントは、やはり内製してこそマツダの本領を発揮するのだろう。

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