スバル ソルテラ《写真提供 スバル》

スバルの新しい電気自動車、『ソルテラ』に試乗した。と言っても今回は雪深い群馬県の山の中の特設コースということで、クルマ全体を理解するというわけには行かなかった。

兄弟車ともいえるトヨタ『bZ4X』に試乗していないので、全体を見渡してどこがどう違うかという点は定かではない。ただし、基本は同じものであり大差はないとは思うが、インテリアにはスバルなりのこだわりもあるようである。

コンセプトはプジョーに近い?けど気になるメーターの視認性
個人的に一番気になったのはメーターの視認性。ドライバー前のメータークラスターはかなり奥まったところで、しかも比較的高めの位置に設定されている。そして小径のステアリングホイールとの組み合わせはメーター自体をドライバーがステアリングホイールの上側から見る形となり、これはまさにプジョーの「i-Cockpit」のコンセプトと同じだ。

ただし、プジョーは視認性を向上させるためにステアリングの両端あるいは片方をカットしてあるのに対し、スバルのステアリングは丸形で、着座位置にもよるのだろうが、私が理想的ポジションをとると、どうしてもメーターに僅かばかりかかってしまうのが気になった。

また、ソルテラにはパドルシフトが装備されていて、これはブレーキ回生の強さを変えるためのもの。これに加えてセンターコンソールのペダルを足で踏んだピクトグラムで示されるのがSペダルと称するワンペダルドライブを可能にする機能。雪上では極めて高い効果を発揮する。ただし、ドライ路面での使用感は不明だ。 

もう一つ。ソルテラにはグローブボックスがない。元来グローブボックスに収めておきたい車検証などは2重底になったセンターコンソールの収納に収めることができるとのこと。考えてみればマツダ『ロードスター』にもグローブボックスはない。それを必要と考えるのはもう古いのか??

大型の12.3インチナビは今回横長のデザインになった。『レヴォーグ』に付いていたのは縦長で、本来進行方向に距離を取れるのでナビの機能としては縦長の方が便利だ。この点を開発者に質問してみると、やはり動画を見たりするときには横長の方が理に適っているので…という答えが返ってきたが本来そんなものは走行中には見られないし、百歩譲って停車中に見るというのなら、それがナビ機能よりも優先されるのは本末転倒だと個人的には思うわけである。まあ、ユーザーの声には逆らえないということだろう。

これ以外のポイント、例えば室内空間だとかラゲッジスペースの容量と言ったところは、これが電気自動車だろうがあるいは内燃機関車だろうが恐らく変わるところはないし、使い勝手もなかなか良さそうだった。

EVの雪道発進は面倒?というのは杞憂に過ぎず
というところで試乗の話をしよう。今回はナンバーも付いていないクルマなので、当然クローズドコース。場所は群馬サイクルスポーツセンターである。1周するのに結構な時間がかかる。特に前日にドカ雪が降って、コース整備も大変だったというコースはギリギリ1車線が確保され、横には高さにして平均70〜80cmは有ろうかという雪の壁がある状況で、ところどころに危険なトラップのあるという結構な難コースであった。試乗スタッフも安全を考慮して1周は先導車について慣熟走行。その後に次の1周を回るという設定であった。

最高速度も場所にもよるが40km/hと制限されていたのだが、まあそこは大人の判断でそこそこは出してみた。4WD技術に長けているスバルらしく、雪道でのトラクションのかかり方は電気も内燃車も違いを感じさせない。一方で電気ならではの部分は回生を強く効かせてSペダルによるワンペダルドライブを可能にしている点。これは下りの雪道などでは大いに重宝する。実際に安心感も高く結構気に入ってこのモードを多用した。

一方でスバルお得意のXモードでsnow-dirtモードを選択すると、実はこのSペダルの機能がキャンセルされてしまうという悩みの種もあった。今回のコンディションでは個人的にはワンペダルモードにXモードよりも強い安心感を感じた。

パフォーマンス的にどうかという点は正直わからない。あくまで雪上における電気自動車の走行性能だけに焦点をあてた試乗会である。電気自動車は走り出しから最大トルクが出る特性を持っているので、さぞや発進加速が面倒そうに感じる向きもあるかもしれないが、それは杞憂で至ってジェントル発進もできるし、荒々しくホイールスピンさせながらといった走りも可能である。

次はドライタイヤとドライ路面での試乗をしたいものだ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
おすすめ度 ★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来44年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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