三菱ミニキャブ・ミーブ《写真提供 三菱自動車》

12年前の2009年7月に世界に先駆けて量産型電気自動車(EV)を発売した三菱自動車が、2023年度までに国内で、現行価格よりも約2割値下げして200万円を切る軽自動車の商用EVを投入するという。

きょうの日経が「三菱自、200万円切るEV、価格競争広がり普及期」とのタイトルで報じているが、リコール隠しや燃費不正問題などを除いて三菱自動車の記事が日経の1面トップとして取り上げられるのも珍しい。

しかも、読売の総合面には、三菱自動車が、欧州で販売していたディーゼル車のエンジンについて、排ガス検査への対応に過失があったことを認め、現地の関連会社と計2500万ユーロ(約33億円)の罰金をドイツ当局に支払っていたとも報じている。

罰金の話題はともかく、EV市場は先行する中国勢との価格競争が激しくなる中、日経によると、三菱自は現在240万円強からで販売している商用EV『ミニキャブ・ミーブ』を安くするという。電池などを低価格の最新のものに替えて、満充電1回あたりの走行距離は150kmを維持するそうだ。

三菱自のミニキャブ・ミーブの場合、同クラスのガソリン車との価格差は現在約130万円あるが、値下げで約90万円まで縮まるという。ただ、EVには10万円単位の補助金がつくほか、政府は車種によって異なるが最大で42万円を支給。東京都など独自の補助をする自治体もある。

「燃料費」の違いを勘案すると価格差はさらに小さくなるそうだ。次世代自動車振興センターによると、日本で10万km走った場合、ガソリン車の燃料代は69万円なのに対してEVの電気代は31万円。車両の実質価格の差が38万円を切るとガソリン車とEVの価格競争力が逆転する計算だという。

また、東南アジアでは23年に軽自動車サイズのEVを200万円前後で出す計画で、生産拠点のタイで年1万台を生産。ハイブリッド車(HV)分と合わせて新設備に190億円を投じるとも伝えている。

たしか、三菱自の初の量産EV『アイミーブ』の車両価格は250万円前後と記憶する。当時の益子修社長に「軽自動車としてはバカ高い」と問いかけると、「あと10年も過ぎれば、バッテリー価格は劇的に下がり、ガソリン車並みになる」と予測していたことを思い出す。その後、お家の台所事情などで後退、益子さんは昨年8月に急逝し、無念にもその夢は叶わなかった。だが、EVの先駆者としてのその遺志は、世代が交代しても引き継がれているようだ。

2021年6月25日付

●三菱自、独に罰金33億円、欧州販売、排ガス検査で過失(読売・2面)

●ホンダ4年ぶり新型「シビック」(読売・10面)

●トヨタ社長、報酬4億4200万円(朝日・9面)

●ダイハツ100万台超リコール(朝日・33面)

●パナソニック新体制始動、株主は業績批判、楠見氏「再び発展の道」(産経・10面)

●踏み間違い事故防げ、イエローハット、急発進防止装置購入に補助(産経・10面)

●三菱自動車、200万円切るEV、価格競争広がり普及期、中国勢と攻防激しく(日経・1面)

●トヨタ、保有株を削減、ダイセルなど11銘柄(日経・12面)

●横浜トヨペット、小田原にも複合店(日経・39面)