VW ティグアン TSI First Edition《写真撮影 島崎七生人》

◆手堅く、破綻のないデザイン

次世代VW車のデザインはどこに向かうのか?とは、今思わされていることのひとつ。けれど、少なくともSUVモデルについては、今のところは手堅く、破綻はなさそう……だ。

マイナーモデルチェンジでフェイスリフトを受けた新型『ティグアン』の顔つきは、最新の『パサート』同様グリル部分の天地を広げたデザインだが、線の細い新しいVWロゴとの組み合わせもあって、従来型のコテコテ感が幾分か抑えられた雰囲気に。

フロントセクションでは、見切り線をよく見ればバンパーだけでなくフロント左右フェンダーも新規だが、ランプ、加飾類をヒゲやアイライン風に多用せず、やり過ぎない控えめな変化に思いとどまってくれたところもいいね!である。試乗車は“デビュー記念特別仕様車”で、専用色というジンジャーブラウンメタリックのボディ色は、ダウンサイザーあたりに好まれそうだと思った。


インテリアはこの特別仕様車(ファーストエディション)ではレザーシートも専用だ。ブラウンとチタンブラックのコンビにグレーのパイピングをあしらったもので、色合い、風合いのどちらも落ち着いたもの。ルーフライニング、ピラー部がブラックということもあり、人によってはオーセンティックなドイツのファミリーカーの味わいを連想するかもしれない。

操作系では空調関係が従来の3つの物理ダイヤル式から、パネルの場所はそのままに、今風のタッチ式に新しくなった。風量と温度設定(左右個別)はパネルの窪みに沿って指先を動かして操作する仕組みだ。



◆乗り味も動力性能も洗練度を高めた

走りはデビュー時の初期モデルに対して、乗り味も動力性能も洗練度を高めた。今回登場したのがガソリンエンジン2機種で、そのうち従来の1.4リットルTSIが、7速DSGが組み合わせられる1.5リットルTSI evoに置き換えられた。スペックは150ps/25.5kgmで、気筒休止機構(ACT)を備えWLTCモード燃費は14.3km/リットルというもの。


さらに「ドライビングプロファイル」と「DCC」により、エンジン、シフトスケジュール、ダンパー、ステアリングの特性を選んで走らせられる。今回は山道を中心に試乗を行なったが、さまざまなモードに切り替えながら走らせると、十分な動力性能と柔軟な走りっぷり、さらにしっかりとしたハンドリングが味わえた。

また新型では「Travel Assist」を全車に標準装備。これは0〜210km/hまでの設定した速度内で前走車と一定の車間距離を保ち走行レーンの維持も支援するというもの。ステアリングのスイッチを押すだけのシンプルな操作で作動させられるうえ、前述のような山道でもこの機能が働き、修正舵などのタッチもごく自然だった。ロングドライブ時だけでなく日常的にも恩恵が実感できる機能だと感じた。



■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

VW ティグアン TSI First Edition《写真撮影 島崎七生人》 VW ティグアン TSI First Edition《写真撮影 島崎七生人》 VW ティグアン TSI First Edition《写真撮影 島崎七生人》 VW ティグアン TSI First Edition《写真撮影 島崎七生人》 VW ティグアン TSI First Edition《写真撮影 島崎七生人》 VW ティグアン TSI First Edition《写真撮影 島崎七生人》 VW ティグアン TSI First Edition《写真撮影 島崎七生人》 VW ティグアン TSI First Edition《写真撮影 島崎七生人》