レクサス UX300e《写真提供 レクサス》

昨年限定135台で販売された『UX300e』が、今年からカタログモデルとしてレクサスのラインアップに加わった。レクサス広報によるとリチウムイオンバッテリーの安定供給によりレギュラー化に至ったそうだ。

ではUX300eとはどんなクルマなのか。

このクルマはレクサス初のピュアEVであることは間違いない。ハイブリッドで培ってきた経験と技術で仕上げられた。重量物の配置やバランスなどはそうだろう。レクサスが目指す走りの部分に大きく関与する。

構造は高剛性で知られる新世代プラットフォームの「GA-C」を採用する。そして井桁形状の鋼鉄製アンダーフレームの上にバッテリーパックを搭載する手法だ。目的はキャビンを広くしたり、低重心だったりするが、それ以外にもフロア面に固定することでキャビン自体の剛性を高めたりする。路面からの衝撃も吸収するそうだ。



◆IS300hに乗って腑に落ちた走り

では実際に走らせた印象だが、出だしからとにかく速い。アクセルに対し踏み始めから一気にトルクが発生し、クルマを前へ進める。このフィーリングはEVっぽさが強いと思った。中間加速もそうで、ガソリン車のようにアクセルの踏みしろを深くしなくても十分な加速は得られる。

だが、レクサスはガソリン車からの乗り換えも不自然のないようにという意図でつくられたという。う〜ん、そこは確かに違いがあるのだが……。

そんな折、レクサスの別のハイブリッドモデルに試乗した。新型『IS300h』である。で、走り出してすぐに感じたのは出だしの鋭さ。と同時に「これってナニかに似てる」と思った。そう、UX300eの加速である。


思うに、レクサスがいうところの乗り換え前のクルマは内燃機関だけのICEではなく、それとモーターを組み合わせたハイブリッドなのかもしれない。そう考えると、すべてが腑に落ちるからだ。UX300eの出だしにEVっぽさが強いと表現したが、モーターでのアシストと同じような加速という分類にいられるであろう。

続いてハンドリングだが、こちらは始めから開発陣の苦労の跡が感じられた。というのも、昨年の限定販売前にテストコースでこのクルマを動かした時は少し重ったるさを感じたからだ。他のブランドにもあるEV特有の鉄下駄を履いたような感覚だ。が、今回はそれがうまく消されていた。

ハンドリングは至って素直で、クルマはドライバーの意図する方向へ鼻先を変える。その時低重心でキャビンをフラットに保つのもグッドだ。ロールの抑え方に不自然さはない。

◆このパッケージングはEVに適している


UX300eはそんな走りをみせるEVだが、EV故の不便さはまだまだある。疲れて帰ってからの充電作業は面倒だし、出かける前のケーブル片付けも一手間かかる。ケーブルで手が汚れてしまうのも×。いつか自宅で非接触充電でできるようになればこの辺はすべて解決するが、まだまだその件に関しても障害は多いようだ。

ただ、このパッケージングはEVに適していると思う。サイズもそうだし、この走りができれば申し分ない。スタイリングもかっこいいし、未来的な雰囲気もEVにマッチする。その辺はコンペティターより頭ひとつ抜きん出ているのではないだろうか。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★

九島辰也|モータージャーナリスト
外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの"サーフ&ターフ"。 東京・自由が丘出身。

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