三菱 エクリプスクロスPHEV《写真撮影 島崎七生人》

カタログを開くと、1953年の三菱ジープや1966年の三菱360ベースの電気自動車試作1号車、それらに続く懐かしい歴代三菱車の写真が並ぶ。4WDとEVは三菱の基礎であり、その系譜を示したものだ。

PHEVモデルの『エクリプスクロス』は、現時点で、それらの集大成の位置づけ。とはいえ、PHEV、4WDなどの要素技術はあくまでも“手段”であり、思いは“気持ちよく走らせられるクルマを作る”ことにあったらしい。

◆1980kgの車重でもしなやかな身のこなし


実際に走らせてみると、確かに颯爽とした走りが楽しめた。とりわけ印象的なのは1980kgの車重ながら、そのことをまったく意識させずにしなやかな身のこなしを見せてくれる点。

ステアリングを切り始めたときの応答性が実に自然で、そこから切り足したり戻したりした際もスムースで感触が安定している。車体の挙動が安定しているのもよく、路面形状により煽られることもなく、ロールも自然で安心感が高い。

ちなみに試乗車には、季節柄、スタッドレスタイヤが装着されていた。そんなこともありPHEVに新設定された走行モード(TARMACモード)は、然るべきシーンでこそ効果が実感できるのだろう……と、じっくりと試さずに試乗を終えてしまった。

が、言い訳めいてしまうが、クルマのせいにして言えば、NOMALモードのままでも、TARMACモードへの切り替えが必要ないほど、オノマトペで言えばサラッと気持ちよく、安定した走りを見せてくれ、走りの出来のよさは十分に実感できたと思えた。

◆明日からマイカーにしても違和感を感じることはない


もちろん走りの気持ちよさには、パワートレインの緻密で自然体なセッティングのおかげもある。実はプライベートではまだEVやHVのある生活は筆者は未体験だが、PHEVであることと、裏方に徹するパワーコントロールのスムースさは、このクルマを明日からマイカーにしたとしても何ら不便さや違和感を感じることなく、乗りこなせるのではないかと感じた次第。充電に関してもBEVのように切羽詰まらなくて済む安心感はメリットだ。

前段の“違和感のなさ”には、静粛性の高さ(エンジンノイズの小ささ)、加減速時の快適性も含まれる。アナログの盤面を基本としたメーターも見やすく馴染みやすい。バックドアのウインドゥ形状の違いは、確かに後方視界をスッキリとさせており、後席ヘッドレストの格納状態が従来より高くなってはいる(格納状態でもお子様などが使用できるようにしたためでもあるのだそう)が、視界を邪魔している訳でもなかった。



■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

三菱 エクリプスクロスPHEV《写真撮影 島崎七生人》 三菱 エクリプスクロスPHEV《写真撮影 島崎七生人》 三菱 エクリプスクロスPHEV《写真撮影 島崎七生人》 三菱 エクリプスクロスPHEV《写真撮影 島崎七生人》 三菱 エクリプスクロスPHEV《写真撮影 島崎七生人》 三菱 エクリプスクロスPHEV《写真撮影 島崎七生人》 三菱 エクリプスクロスPHEV《写真撮影 島崎七生人》 三菱 エクリプスクロスPHEV《写真撮影 島崎七生人》 三菱 エクリプスクロスPHEV《写真撮影 島崎七生人》 三菱 エクリプスクロスPHEV《写真撮影 島崎七生人》 三菱 エクリプスクロスPHEV《写真撮影 島崎七生人》 三菱 エクリプスクロスPHEV《写真撮影 島崎七生人》 三菱 エクリプスクロスPHEV《写真撮影 島崎七生人》 三菱 エクリプスクロスPHEV《写真撮影 島崎七生人》 三菱 エクリプスクロスPHEV《写真撮影 島崎七生人》 三菱 エクリプスクロス PHEV《写真撮影 柳田由人》 三菱 エクリプスクロス PHEV《写真撮影 柳田由人》