日産フェアレディZプロトタイプ《写真撮影 雪岡直樹》

日産は次期型『フェアレディZ』プロトタイプを公開した。そのデザインは歴代Zのモチーフを纏いながらも、単なる懐古主義ではなく、最新技術なども投入しデザインされているという。

◆大切なのはシルエット

日産専務執行役員グローバルデザイン担当のアルフォンソ・アルバイザ氏は、「シルエットが最も重要」という。「長いフードとキャビンが240Z(S30)のイメージを醸し出している。

同時にリアはフードよりも低い位置にあることもこだわりのひとつ」とも。これは、同社エグゼクティブデザインダイレクターの田井悟氏も同意見だ。田井氏は、「Zらしさを作れということから、色々なアイディアがスタートした」と述べ、様々な案からフードがリアよりも高い現在のシルエットに落ち着いた。

田井氏はその考え方として、「S30に戻ったという言い方をすることもあるかもしれないが、我々は今の時代のモダンさを取り入れている」という。先日日産はフル電動のSUV、『アリア』を発表しており、「それらを含めた日産全体のバランスを踏まえながら、このZの表現は、テーマとしてS30を持ちつつも、サイドに一本通るリアに向かって落ちていく線(リバースエッジクリース)など、非常に大事でシンボリックな要素を採用。そういうバランスが今の時代のZとしての進化だ」とコメント。

アルバイザ氏も、刀をイメージしたルーフライン(シルバーの加飾部分で強調)とともに、「デザイン部門が美しい“リバースウェッジクリース”を生み出し、動きを上手く表現している」という。

フロントは、「すごくS30ぽく仕上がっている。フードとフェンダーサイドからの流れでグリルを作り出しているので、そのグリルがすごく似ていると思う」とアルバイザ氏。そのフロントで注目すべきはヘッドランプだという。「LEDヘッドランプを囲む“こ”の字形のデザインも、S30の“Gノーズ”からインスパイアしたもの。これは、ヘッドランプの上に透明なヘッドランプカバーがついており、光が当たると、このドーム形の部分に反射して丸い輪が出来る。私たちはこの特徴が大好きで、今回のプロトタイプのアイデンティティにも馴染むと考えた」と説明。

またリアでは、「300ZX(Z32)を私と田井が好きだったということが分かってもらえるだろう」とアルバイザ氏。「Z32のテールランプは非常に近代的でモダンなもの。それをモチーフにLEDで仕上げた。まさに将来の技術を使っているのだ」とのこと。さらに、真後ろから見ると、「素晴らしく力強いパワフルなリアフェンダーこそが、パフォーマンスを表現している。またドライビングフィールも醸し出している」と述べた。

田井氏によると、「ランプのデザインは作りながら進化させた」とのことだ。制作しながら、「アイディアがだんだん整理され、少しZ32的なリアランプも、途中でどんどん進化させながら選んで加えていった。プロントのランプも同様で、そのような作り方をした」とコメント。つまり、ディテールにおいては煮詰めながら採用していったのだ。

◆当時をモチーフとしながら最新技術を導入

インテリアもS30をモチーフにデザイン。「しかし少し距離(かけ離れた印象)がある」とアルバイザ氏。その理由は、「デジタルメーターという近代技術を採用しており、センターディスプレイもインフォテイメント機能を備えているからだ。しかし、このデジタルメーターは、タコメーターを始め3つの文字盤が目線の高さにちょうどあり、完全なるドライビングエクスペリエンスと一体感を味わえる」と説明。

そのほか、「インストルメントパネルは横になだらかに伸びており、きれいでシンプルだ。ホールド感のあるシートを採用しているので、乗り込んでみるとまさにZの“手袋”に入った感覚がある」と話す。

田井氏は、「Zは実用的でスポーティ。それを踏襲しようとした」という。今回のハイライトは、「メーターをデジタルにして、そこにタコメーターをフィーチャーしたようなメーターを作り、これがレッドゾーンに当たると赤い光が帯になる。ちょっと最近のレーシングカー的な実用性ともいえる表現。ステアリングも3スポークだが、現在のクルマの処理(ステアリングスイッチなど)を取り入れた」とし、「カンファタブルなスポーツカーの室内と、今のテクノロジーでしか表現出来ないメーターや、ステアリングスイッチ、センターのナビなどを組み合わせて作った」とした。

今回イエローのボディーカラーを纏って登場したプロトタイプについてアルバイザ氏は、「S30にはすごく素敵なモダンなイエローを採用しており、Z32も同様だ。当時(S30)の技術ではイエローの光沢がそれほどなかった。それが30年前の技術。しかし今は塗装技術も向上し、色彩豊かなイエローを実現することが出来た。美しいパールの光沢を実現している」と当時をモチーフとしながら、それを現代にアレンジしていることを強調した。

フェアレディZ S30“Gノーズ”《写真撮影 雪岡直樹》 日産フェアレディZプロトタイプ《写真撮影 雪岡直樹》 フェアレディZ S30(オレンジ)《写真撮影 雪岡直樹》 日産フェアレディZプロトタイプ《写真撮影 雪岡直樹》 フェアレディZ S30(オレンジ)《写真撮影 雪岡直樹》 日産フェアレディZプロトタイプ《写真撮影 雪岡直樹》 日産フェアレディZプロトタイプ《写真撮影 雪岡直樹》 日産フェアレディZプロトタイプ《写真撮影 雪岡直樹》 日産フェアレディZプロトタイプ《写真撮影 雪岡直樹》 日産フェアレディZプロトタイプ《写真撮影 雪岡直樹》 フェアレディZ S30《写真撮影 雪岡直樹》 日産フェアレディZプロトタイプ《写真撮影 雪岡直樹》 フェアレディZ S30“Gノーズ”《写真撮影 雪岡直樹》 日産フェアレディZプロトタイプ《写真撮影 雪岡直樹》 フェアレディZ Z32《写真撮影 雪岡直樹》 日産フェアレディZプロトタイプ《写真撮影 雪岡直樹》 日産フェアレディZプロトタイプ《写真撮影 雪岡直樹》 日産フェアレディZプロトタイプ《写真撮影 雪岡直樹》 日産フェアレディZプロトタイプ《写真撮影 雪岡直樹》 専務執行役員グローバルデザイン担当のアルフォンソ・アルバイザ氏《写真提供 日産自動車》 エグゼクティブデザインダイレクターの田井悟氏《写真提供 日産自動車》