最新のフェイスリフトは成功だと思う。重心を下げ、奥行きと程よい存在感を増したシグネチャーグリル(やデザインの新しいヘッドランプ、バンパー)がいい仕事をして、フラッグシップらしい、エレガントでより落ち着いた表情になったからだ。
フォグランプを廃し、正面視でボディ色多めのスッキリ感も貴重な存在。昨今はディテール過多、エアインテークの穴開きだらけの挑発的なデザインに食傷気味だから、一服の清涼剤に思える。リヤも実は各部の構成パーツが新規に起こされている。ディフューザー状に黒塗りされていたバンパー下部がボディ色となり、案外とマッシブで力強いボディの輪郭がより見えるようになった。
今回の試乗車「XDプロアクティブ」は、17インチタイヤ&ホイールを履き、ホワイトのボディ色ということもあり、何も足す必要のない非常にプレーンなルックスに安堵させられる……そんな趣だ。
同様に今風のアンスラサイト風の黒系ファブリック内装もプレーン。革内装に対し物足りなさは感じない。インパネ表皮などにステッチが入る“ひと手間感”もいい。あとは、運転席まわりのソフトパッド部分について、センターコンソール、ドアアームレストなど各所の表皮、クッションの硬度とストローク(指で押した時の沈み込み量)に統一感が出れば、よりドライバーズカーらしくなると思う。
それとオプション設定のお馴染みのBOSEサウンドシステムも、これまで以上に音の表情が生き生きとして感じられた。インテリアのデザイン変更に伴いフロントのトゥイーターの取り付け位置(ユニット自体も)が変更されるなどし、再調整されたそうだが、こちらも静かに進化している……という訳だ。
試乗車を借り受け、数日間、行動を共にしながら改めて実感したのは、フラッグシップらしい上質なドライバビリティをいよいよ身につけてきた……ということ。とくに2.2リットルのディーゼルターボ搭載XDでは、室内空間の静粛性にさらに磨きがかかり、エンジン音は遠くで微かにする程度。加速させていくと、スムースなガソリンエンジンのようなストレスのなさと力強さを発揮してみせる。
乗り味もしっとりとした味わいと、フラットで優雅な乗り味を示してくれる。強いていえば「25S Lパッケージ」(ガソリン19インチタイヤ車)に較べ、同じ2WD同士ながらステアリングの感触に差があること。フロントで70kg、XDのほうが荷重が大きいはずだが、別に試乗した25Sのほうが、センター付近の“スワリ”がよかった。19インチのセッティングがメインに行われた?そんな印象もある。
とはいえ今回の試乗での燃費は、18.0km/リットルを確認。十分にリーズナブルである。走りの味わい、内外観の上質なフィニッシュレベルなど、マツダがこのクルマをフラッグシップとして大事にし、磨き込んでいることがヒシヒシと伝わる。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。
【マツダ アテンザセダン 新型試乗】フラッグシップとしていかに大切にされているかがわかる…島崎七生人
2018年10月11日(木) 12時00分
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