
昨年登場したピュアEVの『600e』に続き、フィアットでは初となるハイブリッドが、この『600ハイブリッド』。単純に車両本体価格を比べると、600eの585万円に対し、ベースグレードで365万円、上級の「La Prima」(600eと同グレード)で419万円と、より身近感が強い。
試乗車は以前レスポンスでもご報告した600eと同じサンセットオレンジだったこともあり、後部につくエンブレムが“e”か“HYBRID”かの違い程度で、ほとんど見分けが付かない。La Prima同士なら18インチアルミホイールの意匠も同じだ。
インテリアも然りで、FIATのモノグラムシートを始め、様子は変わらない。ただし600eの時に報告した後席の足元スペース(乗り心地・NVH評価担当の我が家のシュンを乗せる際に使う台)が、“e”では載せられなかったがハイブリッドでは、前席のポジションを調節することで上手くいくことを確認した。
一方で走らせた印象は、なかなか好感が持てた。意外に聞こえるかもしれないが、以前に乗ったBEVよりもスムースで快適性の高いドライバビリティが実感できたのである。
搭載するのは新開発の1.2リットルの3気筒ガソリンターボエンジンにモーター内蔵6速デュアルクラッチトランスミッションを組み合わせた、48Vマイルドハイブリッドシステム。30km/hまでならモーター走行を可能とするなど、洗練されたパワーマネージメントが威力を発揮するというもの。
今回は市街地をメインとした試乗としたが、システム合計出力107kW(145ps)のスペックは余裕が感じられるもので、加速時のストレスがないほか、巡航時のエンジンの使い方もまったく無理がなく、穏やかなドライブが楽しめる、そんな仕上がりぶりが印象に残る。
それとカタログ数値で600ハイブリッド(La Prima)の車重は1330kgなのに対して600eは1580kgと250kgのアドバンテージがある。試乗してみるとこの差は小さくなく、別々のクルマにつき個体差もあったようだが、それ以上に600ハイブリッドのほうが挙動がしなやか、かつスムースで、終始気持ちよく走らせていられたのが実感だった。
■5つ星評価パッケージング:★★★★★インテリア/居住性:★★★★★パワーソース:★★★★★フットワーク:★★★★★オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。












