スズキ鈴木俊宏社長《写真提供 スズキ》

毎週月曜日の日経には、その時々の話題性のあるネタを企業経営者に聞く「月曜経済観測」というインタビュー記事を載せているが、きょうの登場人物は過去1年で4回インドを訪れ、事業基盤の強化を急ぐスズキの鈴木俊宏社長。テーマは「自動車からみた景気」について、トランプ関税に揺れる世界の自動車市場を中心に今後の動向などを聞いている。

それによると、最初の「2025年度はどんな年になりそうか」という質問について、鈴木社長は「やはり大きいのはトランプ関税」と指摘。「場合によっては世界全体の景気にブレーキがかかる恐れもある」として、日本や欧州のような成熟経済だけでなく、インドのような新興経済にも影響が及ぶ可能性があることから「企業としてはそれに備える必要があり、先行きへの警戒を強めている」。

さらに、インドからの輸出については「24年度はインドから33万台を輸出。仕向け地はアフリカや中東、中南米など新興市場が中心で、24年秋にはインド生産の多目的スポーツ車『フロンクス』を日本にも投入し、日本の消費者にも満足してもらえる品質を実現し、売れ行きは順調」という。

また、スズキなど国内勢が独占してきた軽自動車市場に中国の比亜迪(BYD)が電気自動車(EV)で参入することについても言及。鈴木社長は「個人的には大歓迎。これまでEVは電池の高コストをカバーできる高級車が中心だが、コストの制約がなくなれば、むしろ軽のような小さなクルマでこそ威力を発揮する」とも。

そして、国内の自動車市場については「スマホ料金の値上がりなど物価全般がじわじわ上昇する中で、消費者がどこまでクルマにおカネを振り向けるのか。皆さんのほしがる魅力的な商品をつくらないといけない」とみている。

スズキと言えば、インドで4割を超える高いシェアを確保する一方で、乗用車では風当たりの強い米国や中国市場から事実上撤退しており、24年度の営業利益率はトヨタ自動車を上回る2桁台。俊宏氏も2015年に父親の鈴木修氏から社長を引き継いですでに10年になる。日本自動車工業会の副会長も務めており、従来の「3社(トヨタ、日産、ホンダ)輪番制」が崩れるなか、次期会長の有力候補としても取り沙汰されている。

2025年6月2日付

●東名に車落下運転者逃走、浜松、子ども2人置き去り(読売・31面)

●赤沢氏「交渉で発言なかった」米の「鉄鋼・アルミ関税50%」(朝日・3面)

●月曜経済観測、自動車からみた景気、スズキ社長・鈴木俊宏氏、米関税新興経済にも影響(日経・3面)

●水平対向エンジン、スバル「新型を開発中」(日経・10面)

●車載半導体の企画提案、トヨタなどの研究組合、通信方式、標準化団体に (日経・10面)

●ガソリン補助金の功罪、価格形成ゆがめ脱炭素阻害 (日経・16面)

BYDのコンパクトカー、ドルフィンサーフ(中国名:シーガル)《photo by BYD》