誰でもできる! カーナビ&スピーカーDIYでN-VAN快適化計画、始動《写真撮影 土田康弘》

車内の快適性アップのキーワードと言えばAV環境だと思っている筆者。そこで仕事クルマ兼バイクのトランスポーター(トランポ)として手に入れたホンダ『N-VAN』にカーナビ&スピーカーを投入して思い通りのグレードアップを実施、現在その効果を体感中だ。

◆公私両用のN-VANをより快適&楽しくするためには?
ホンダN-VANと言えば、軽バンでありながら荷物を運搬する商用利用のみならずパーソナルユースでレジャー仕様として使うユーザーも多いクルマになっていて、一例にトランスポーター(トランポ)がある。いわゆるバイクなどを積載して運ぶ用途だ。トランポ利用としてN-VANを選んだのは助手席を折り畳むことで荷室から助手席部分までを完全なフラットフロアにできるという、他車種には無い構造にある。筆者は趣味のサーキット走行を長年楽しんでいて、250ccのバイクを積み込んで筑波サーキットに行くことも多く、草レース出場の直前ともなると1カ月に数度も筑波に通うほどの熱中ぶり。それだけにクルマ選びは自然とトランポ機能優先になり、選んだのがN-VANだった。

しかしクルマ選びのもうひとつの大きなテーマは走行中の快適性で、筆者的に必須となったのが機能的で高音質なカーナビとサウンド自慢のスピーカーだった。まずはカーナビ選びにはかなりこだわったのだが、その理由として仕事では毎回のように現場が異なることからいつでも安全なルートを示してくれるカーナビは必須、しかも案内がわかりやすく大画面なモデルが欲しい。スマホのナビ機能では検索やルート案内の正確さで不満が……、そこでやはり車載専用機であるカーナビが必要だった。長年カーナビを使い続けている筆者は自車位置測位やルート探索などのスピーディさ、ルート案内のわかりやすさがカーナビの魅力だと感じている。さらにベテランカーナビユーザーであることから、使い慣れたカーナビの方が安心といった思いがあったのも事実だ。

そこでN-VANはナビレス仕様のベーシックグレードをあえてセレクト。カーナビはお仕着せのモデルでは無く好みの機種を選んで取り付けるという“選ぶ楽しさ”もしっかり味わえる環境にした。近年はナビレス仕様の車種が限られているのが残念だが、調べてみると思いのほかレス設定も存在するし、せっかく愛車を新調するのだから、すべての装備までを自分仕様で揃えたいものだ。

◆自分に合う条件にマッチする機種選定は楽しい!
こうして選んだのはパイオニア・カロッツェリアの楽ナビ「AVIC-RF721-DC」だ。大定番の楽ナビであること、さらには9インチのフローティングディスプレイをN-VANに取り付けられること(本体は2DINボディ)、そして通信端末(ネットワークスティック)を備えて車内Wi-Fiの利用までをカバーしてくれるモデルであることが決め手になった。さらには、今回同時に交換したスピーカーをコントロールするタイムアライメントやイコライザーなどの詳細な音の調整機能を備えているのもセレクトのポイントのひとつだ。

自分にとってカーナビは、道案内のナビ機能に加えてオーディオ再生のプレイヤーという側面も大きい。そのためカーナビの導入とスピーカー交換はセットで考えた。スピーカーにはカロッツェリアの2ウェイセパレートモデルの「TS-C1740S」をチョイス。同ブランドの中核をなすCシリーズの最新モデルであり、デモ機などの試聴を通じて正確でクリアなサウンドを基本としつつ、華やかさを備えたスピーカーであることから「愛車に取り付けるならこれ」と決めていたモデルだったし、コスパ的にも導入しやすいモデルだった。N-VANの純正スピーカーはドアの最下端へのフルレンジのみ(ツイーターは無し)なので、サウンドの面では満足いくものでは無かったからこそスピーカー交換には大きな期待を寄せることになった。

こうしてチョイスした9インチフローティングモデルの楽ナビとCシリーズの2ウェイスピーカー、取り付けに関してはDIYで実施することにした。「カーナビやスピーカーの取り付けって難しいのでは?」と不安に思っているユーザーもいるだろうが、少しの工具とネットの情報があればほとんどのユーザーが実施できる程ハードルは低い。今回の取り付けに際して工具として用意したのはプラスドライバーとハサミ、内張り外しと針金だけ。いずれも近くのホームセンターなどに行けば揃うのでDIYを決意してから用意しても良いだろう。

◆DIYでは難しい!? 情報が溢れている現代社会の利点を活用
そしてDIY取り付けの成功の秘訣になるのが、インターネットから得られる取り付け情報だ。例えば「N-VAN 内張りの外し方」といったキーワードで検索してみると、N-VANにカーナビやオーディオを取り付けてきた先人達の情報に幅広くアクセスできるし、固定しているネジやクリップの位置、取り外す手順などまで細かく記載されているのでDIY作業を進める上で疑問に思った箇所をピンポイントで解決してくれる情報が得られる。

内装脱着の動画をアップしている場合もあるので作業前に見て予習しておくのも効果的だ。その情報量の豊かさから作業がいたって簡単に思えてくるほどなので、DIYする場合には要注目だ。

さて、このような準備を整えた上でいよいよカーナビ+スピーカーの取り付けを開始した(最初にバッテリーのマイナス端子を外して電源をカットした上で作業スタート)。N-VANの内張りを外すのは実は当日がはじめてなので、内張りの固定ネジの位置をネット情報で確認しつつ作業を進めた。

今回はカーナビとスピーカーを同時に取り付けることにしたので、二度手間を避けるために作業の手順を簡単にプランしてみた。まずはカーナビ裏からドアやダッシュなどに取り回す配線を引くところからスタート。具体的にはダッシュ上に取り付けるツイーターの配線、カーナビはGPSアンテナ、TVアンテナの配線だ。これをダッシュ中央のカーナビ開口部からダッシュの中を通して両側のAピラーへと通すのが最初の作業。ここで活躍するのが針金だ。ナビ裏側からAピラー側に向かってダッシュの中に針金を差し込む。針金が通ったら各種の配線類をテープで固定してナビ裏側に引っ張り出すという作業。手の届かないダッシュの裏側に配線を通すのには便利な作用方法になる。

次にドアの内張りをインターネットの情報を見つつ外してドアスピーカーの交換を実施した。スピーカーの取り付けにはバッフルが必要になるが、精度の高さや湿気による劣化が無いことからカロッツェリアの高音質インナーバッフル プロフェッショナルパッケージ「UD-K624」を選んだ。メタル製のバッフルでスピーカーをがっちり固定できることから中低音の響きの良さも引き出すことができるパーツで、単なるスピーカー取り付けブラケット以上の意味があるパーツなのだ。

一方、スピーカーへの配線は純正スピーカーに刺さっていたカプラーを抜いて、Cシリーズのスピーカーに同梱されている変換カプラーをセットすれば無加工でスピーカー配線が可能。これもDIYユーザーには非常にありがたい仕様となった。

さらにツイーターをダッシュ上に固定、ナビのフィルムアンテナをフロントウインドウの指定の位置に貼り付け、そしてダッシュの奥にGPSアンテナを設置すればナビ以外の配置は完了だ。ここからはカーナビ本体の取り付けになる。その際に注意したいのは車体側とカーナビ側の配線だ。今回用意したのはカロッツェリアの取り付けキット(KJ-H66DE)。取り付け金具や配線類などがセットされているキットだ(加えて現行のN-VANへの取り付けには新24pカプラー/旧24pカプラーの変換コネクターも必要になった)。

スピーカー配線、常時電源、ACC電源、車速パルスなど、ひとつひとつの配線が指示されている&色分けされているので、慌てずじっくり接続すれば難しくない。スピーカー配線はTS-C1740Sのパッシブネットワークから出力されるウーファー出力を純正のスピーカー線に接続、ツイーター出力はダッシュに置いたツイーターに直接接続することになる。

こうしてすべての配線を接続したら2DINスペースに楽ナビ本体を収めて、最後にフローティングディスプレイを配線&ネジ固定すれば完了だ。難しい加工も無いので手順通り進めれば問題点も無いだろう。ここまでの実際の作業時間はざっと3.5時間程度だった。自分の場合は撮影しながら作業を進めたので、慣れているユーザーならばもっとスピーディにこなせそうだ。

◆自分で選んで自分で取り付けたら満足度はとてつもなく高い!
取り付けてすぐさま実走してみてのファーストインプレッションだが、9インチの大きなナビ画面はとにかく見やすくて画面タッチもしやすいし、現行の楽ナビの整理されたメニュー(Doメニュー)も使いやすい。さらにDCモデルならではの機能であるお出かけ検索(オンライン)がとにかく便利。ナビのデータベースに収録されていない最新スポットの検索はもちろん、「ラーメン 下妻市」といった複数のキーワードを使うアンド検索が可能なのもスグレモノだ。さらに知らない地域を仕事で走行していて強く感じたのはDoメニューの使いやすさだ。駐車場、ガソリンスタンド、コンビネンスストアのボタンがトップメニューにレイアウトされているので、いずれもボタンひとつで検索が可能。そのため時間が無い場合の周辺検索が超スピーディ。とにかくせっかちな自分なので、いくつもの階層を経るメニュー操作では無く、すぐに欲しい情報にアクセスできる楽ナビのメニュー設計に「欲しかったのはこれ!」と好感を覚えてしまった。はじめて行く場所でも余裕を持って目的地へアクセスできるようになったのは大きなメリットだ。

さらに、車内Wi-Fiスポットの登録を行えばdocomoのin Car Connectと呼ばれる容量無制限のネットワーク接続が可能なのも大きな魅力。実は自分がDCモデルを選んだ最大の理由はここで、手持ちのスマホを車内Wi-Fiに接続して、さらに楽ナビとはブルートゥース接続する。その上でスマホでいつも使っている音楽ストリーミングサイトにアクセスして音楽再生を楽しんでいる。

近年の音楽ストリーミングは旧譜から最新ヒットソングまで、気分に合わせて膨大な曲を選んで再生できるのがとにかく素晴らしい。数多くのプレイリストが用意されていて長時間の再生にも対応、しかも関連曲や関連アーティストがどんどん再生され、以前はあまり聞かなかった曲に新たに触れて聴く音楽の幅も広くなっていくのも魅力。大好きな'60年代〜'70年代のソウルやロック、フォークにも、まだまだノーマークだったアーティストや曲があることを発見するのもストリーミングの良いところでもある。車内でもその音楽再生の環境をキープしたいと思ったのがDCモデルを選んだ大きな理由だったのだ。

しかも、最大5台までのWi-Fi接続が可能なので、同乗者のスマホもWi-Fi接続することができ、それも画面に表示されるQRコードをスキャンするだけで接続できてしまう超お手軽設定。家族のみならず、同乗する仕事仲間も重宝する機能だ。車内Wi-Fi環境が当たり前になってくると移動中に助手席でリモート会議を始めちゃうケースもあるほどだ。

サウンド面でも取り付けたTS-C1740Sは想像以上の高音質ぶりを発揮してくれた。まずは純正ではツイーターが装備されていないN-VANなのでCシリーズの2ウェイモデルを用い、別体のツイーターをダッシュ上に設置したため、高い位置で高音が再生され高域のヌケの良さが格段にアップ。加えて楽ナビが搭載している音の調整機能であるタイムアライメント(各スピーカーから音の出るタイミングを調整して各スピーカーの音をピタリと一致させる機能)を調整すると目の前のフロントウインドウに音像が定位するのも心地良い。サウンドはフワッと柔らかく車内空間を包み込むように漂う感覚でとっても上質な音だし、楽器やボーカルがぱっと前に出てくる華やかな印象になるのもこのスピーカーの美点。ついつい大音量で聴きたくなる高音質だ。

バイクを積み込むトランポ利用に加えて、そこそこ遠方までN-VANで取材に出かけることも多い。当初は軽バンなので「遠方は厳しいかな?」と思っていたのだが、嬉しい誤算だったのがACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)。高速道路の移動もアクセル操作無しで一定速度をキープしてくれるので疲労度は激減した。そんな時にはクルマの操作が減る=車内エンタメが非常に大切になることも痛感する。楽ナビ+Cシリーズスピーカーの組み合わせによって高音質化した車内はとにかく快適。むしろ次に聴きたい音楽をスマホを操作して探すためにパーキングに立ち寄るほど、曲再生の楽しみが劇的アップしたのも大きな変化だと感じている。

自分の使い方にジャストフィットしたクルマであるN-VAN、そこにニーズにピッタリ合致したカロッツェリアの楽ナビとCシリーズ2ウェイスピーカー。ネットワーク機能を含めて欲しい機能と望んだサウンドがまとめて実現したこの環境、クルマの快適性を2倍にも3倍にも向上させるシステムアップになった。

土田康弘|ライター
デジタル音声に関わるエンジニアを経験した後に出版社の編集者に転職。バイク雑誌や4WD雑誌の編集部で勤務。独立後はカーオーディオ、クルマ、腕時計、モノ系、インテリア、アウトドア関連などのライティングを手がけ、カーオーディオ雑誌の編集長も請負。現在もカーオーディオをはじめとしたライティング中心に活動中。

今回使用した工具類《写真撮影 土田康弘》 インターネットで検索すればネジ位置まで分かるサイトも存在する《写真撮影 土田康弘》 でも取り付けに関する動画も出てくるので事前チェックしておくと安心だ《写真撮影 土田康弘》 車種別で必要なパーツはメーカーサイトにまとめられているので購入時にチェック必須《写真撮影 土田康弘》 各社製品を見比べた結果、自分の条件に合う製品をチョイス《写真撮影 土田康弘》 調べると思った以上にレス設定は存在する。市販ナビを選ぶ事でより楽しめる事は多い《写真撮影 土田康弘》 N-VANフロントドア《写真撮影 土田康弘》 N-VAN Aピラー《写真撮影 土田康弘》 配線を通すのは一見難しそうだが、針金などをガイドとして使うと想像以上に簡単《写真撮影 土田康弘》 各配線を通した状態《写真撮影 土田康弘》 ナビのフィルムアンテナも貼る位置を説明する用紙が入っているので迷わず貼れる《写真撮影 土田康弘》 ネットで調べておくと分かりにくい場所にあるネジも難なく外せる《写真撮影 土田康弘》 ネジを外していない状態で内張を剥がそうとすれば破損するので要注意《写真撮影 土田康弘》 内張を剥がした状態《写真撮影 土田康弘》 純正配線から変換するカプラーを装着するだけで市販スピーカーは簡単に交換出来る《写真撮影 土田康弘》 スピーカーをしっかりと固定するのはもちろん、濡れても変形しづらい物を選んだ方が良い《写真撮影 土田康弘》 スピーカーを装着した様子《写真撮影 土田康弘》 スピーカーに同梱されていた防音材を巻いた状態《写真撮影 土田康弘》 ツイーターはダッシュボードにポン置きで装着《写真撮影 土田康弘》 数が多くて難しそうに見える配線だが指定の色同士を繋げるだけで大丈夫《写真撮影 土田康弘》 ナビ裏の配線はカプラーなので正解の所にしか入らない《写真撮影 土田康弘》 本体を2DINスペースに装着した状態《写真撮影 土田康弘》 モニターを設置すれば取り付け完了《写真撮影 土田康弘》 HONDA N-VAN《写真撮影 土田康弘》 HONDA N-VAN《写真撮影 土田康弘》 carrozzeria TS-C1740S《写真撮影 土田康弘》 carrozzeria AVIC-RF721-DC《写真撮影 土田康弘》