「ダイハツ、社長更迭」(朝日)という刺激的なタイトルもあるものの、「引責辞任ではない」と、親会社であるトヨタ自動車の佐藤恒治社長が繰り返し否定したことからも、きょうの各紙は「経営刷新」(読売、毎日)や「ダイハツ社長ら5人退任」(産経)などと、やんわりと下見出しで報じている。だが、一連の認証不正についての明確な経営責任は一体全体どうなっているのか、首をかしげたくもなる。
ダイハツ工業とトヨタ自動車が合同記者会見を開き、ダイハツの奥平総一郎社長らが退任し、後任にトヨタの井上雅宏・中南米本部長を起用するなど経営体制を刷新する人事を発表した。
新体制ではメインの軽自動車を軸とすることを前提に、負担が重い海外展開などの事業領域を見直すことも表明。トヨタ主導で企業風土の改革を進めるという。
3月1日付けでダイハツの新社長に就任する井上氏は、1987年に同志社大経済学部卒業後、トヨタ自動車に入社。在職36年の大半、海外駐在を経験し、ブラジルトヨタ副社長などを経て、2019年4月から中南米本部長に就任。内示のあった2週間前も出張先の南米ペルーに滞在中の真夜中で「夢かと思った」と責任の重さに身震いを感じたという。会見で井上氏は「まず現場に出向き、社員と直接対話することから始めたい」と抱負を述べたが、トヨタ本社では管理職級で取締役の経験もなく経営手腕は未知数。
もっとも、新体制ではトヨタから井上氏のほか、新たに副社長としてトヨタ自動車九州副社長の桑田正規氏、それに非常勤の取締役にトヨタの柳景子・カスタマーファースト推進本部副本部長を起用し、「ワンチーム」で組織風土の改革をめざすという。
このうち、桑田氏は年齢こそ井上氏より7歳も年下だが、人事畑が長く、豊田章男社長時代にはトヨタの副社長に抜擢された懐刀。一時は後継候補としても取り沙汰されたほどで、「責任者としてグループ改革を推進する」などと意気込む豊田会長とともに、ダイハツ再建のカギを握る人物としても興味深い。
それにしても、2月14日は1年前に鬼籍入りした豊田章一郎・名誉会長の祥月命日。グループ企業の相次ぐ不祥事で、天上の楽園でもため息をついてなければいいが……。
2024年2月14日付
●日航機米で停止線越え、今月他機着陸やり直し、国交省が抜き打ち検査(読売・1面)
●ダイハツ、社長更迭、認証不正、会長ら4人も退任、後任にトヨタ・井上氏(朝日・1面)
●34年ぶり東証一時3万8000円超え、半導体関連株高の「主役」(朝日・9面)
●プラレール65周年、タカラトミーSNSで挑戦状企画も(産経・12面)
●BYD、メキシコ生産検討、EV対米輸出拠点に(日経・12面)
●ダイハツ経営陣昨年の賞与返納、松林会長ら(日経・17面)
ダイハツ再建、トヨタ主導で大丈夫? 引責辞任なしで経営刷新[新聞ウォッチ]
2024年02月14日(水) 09時07分
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