存続案が浮上しているという日産自動車の追浜工場《写真提供 日産自動車》

この5月、日産自動車が国内外の7工場の閉鎖を発表したにもかかわらず、定時株主総会(6月24日開催)では明言を避けていたのは、閉鎖候補となっていた追浜工場(神奈川県横須賀市)で、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業と電気自動車(EV)を生産するなどの検討を水面下で進めていたからだろう。

きょうの日経が1面トップで「日産自動車が台湾電機大手の鴻海精密工業とEV分野の協業に向けて協議を始めた」と報じたほか、読売や朝日なども同様の記事を取り上げているが、日経は「日産関係者が日本経済新聞の取材に明らかにした」などと“特報”を強調。しかも「協業が実現すれば、追浜工場は存続し、国内の自動車部品の供給網を維持できる」とも伝えている。

経営再建のため日産は、2027年度までに国内外で7つの完成車工場を削減すると発表した。その直後には読売が「国内では、追浜工場と、子会社の日産車体の湘南工場が削減候補にあがっている」と報じたことで大騒ぎとなり、地域経済への打撃とともに工場と長年共存してきた住民たちも不安の日々を送っていた。

日産側は「憶測に基づくもので当社が発表した情報ではない。決定したことがあれば、適切なタイミングで提供する」とのコメントを貫いていたが、「工場閉鎖」のニュースは独り歩きしていた。

きょうの読売には「ただ、追浜や湘南工場では現在、EVを量産していない。工場周辺に構築された部品の供給網にどの程度のメリットがあるかは不透明だ。将来的にEV市場で鴻海と競合するリスクもある。日産内で協業に否定的な意見も出ており、今後、慎重に検討を進めるとみられる」とも指摘。「閉鎖」の読売と「存続」の日経どちらかの報道が“幻のスクープ”となるのかどうかも興味深い。

2025年7月7日付

●マスク氏が新党「アメリカ党」トランプ氏と一線、議席目標掲げる(朝日・3面)

●自公苦戦過半数の攻防、序盤情勢本社調査 (毎日・1面)

●関税交渉、迫る期限日本手詰まり「自動車が元凶」米強硬 (産経・3面)

●日産、鴻海とEV生産協議、合弁視野、追浜工場存続へ、車供給網を維持 (日経・1面)

●ローソン駐車場で車中泊、2500~3000円旅費節約の受け皿に (日経・1面)

日産自動車の追浜工場《写真提供 日産自動車》