NAエンジンも大幅パワーアップ可能? 過給器チューンの手順と注意点〜カスタムHOW TO〜

大幅パワーアップが可能なターボやスーパーチャージャー。もとから付いているクルマはいいが、実は付いていないクルマでも取り付けることもできるのだ。

◆ターボやスーチャーで大幅パワーアップ
NAエンジンに追加して大丈夫なのか?
エンジンに強制的に空気を押し込むことでたくさんの酸素を詰め込み、そこにたくさんのガソリンを噴射することで大きなパワーを得るのが過給器の役割。ターボは排ガスの速さと圧力でエンジンに空気を押し込む。スーパーチャージャーはクランクシャフトの回転力を使ってエンジンに空気を押し込んでいる。NAエンジンはそういった部品がなく、エンジン自体が吸い込む力で空気を燃焼室に吸い込んでいる。

そこで古くから行われているのがNAエンジンへの過給器の取り付けチューンだ。本来は取り付けられていない過給器を、NAエンジンに付け加えるのである。ターボの場合はエキマニを交換して過給に使う回転力を得る必要がある。スーパーチャージャーの場合はクランクプーリーを変えてそこにベルトを掛けて回転力を手に入れる。

そこそこめんどうな作業だが、HKSなど大手メーカーから、いくつかの車種向けに取付キットが発売されている。それを使えば大掛かりな加工などは必要ない。いくつか溶接や穴を開けるなどの作業は必要になるが、チューニングショップやスポーツ系チューニングを行っている量販店でも作業している。数日から1週間ほどあれば取り付けができるイメージだ。

ターボもスーパーチャージャーもいずれもパーツキットの価格は50万円ほど。そこに工賃を含めても70万〜80万円ほどで取り付けることができる。

◆ターボ&スーチャー化したら期待度MAX!
実際に装着したらどれぐらい変わるのか?
あと付け過給器チューンの問題は、思った以上に大きなパワーが得られないことにあった。もちろん過給すると大きなトルクは得られるし、NAチューンでマフラーやエキマニを変えたりするよりもはるかに大きなパワーが得られる。しかし、いきなり100psも200psも上乗せできるわけではない。

その理由はNAエンジンの設計と圧縮比にある。もともと過給が付けられることが前提のエンジンは圧縮比が低い。NAエンジンは圧縮比が高い。その高い圧縮比に過給器で空気を送り込むと燃焼室内の温度が上がって、プラグで点火する前に着火してしまう異常燃焼(ノッキング)が起きやすい。そのため過給器を付けてもそれほど高い過給圧(ブースト圧)を掛けることができない。すなわち、多くの空気を送り込むことができないのだ。

そこでこれまではエンジン側のヘッドガスケットを厚いものにして、圧縮比を落として過給圧を上げることもあった。しかし、そうなると過給していないときの圧縮比も落ちてしまい、実用域でのトルク感が薄くなるという問題もあった。

だが、近年直噴エンジンが増えていて、それらのエンジンは過給器と相性が良い。直噴は燃焼室内に直接ガソリンを噴射している。そうなると燃焼室内に直接冷たいガソリンを噴くことができるので燃焼室の温度を下げることができ異常燃焼しにくい。

また、そもそも混合気を燃焼室に入れて圧縮していくのではなく、空気を圧縮したところにガソリンを噴射するので、高い過給圧で空気を押し込んだところでさらに圧縮していっても空気なので異常燃焼しない。高圧縮比のまま高い過給圧が掛けられるのだ。

86/BRZの場合、直噴とポートインジェクターの併用方式。燃焼室には混合気が送り込まれるが直噴機構もあるので燃焼室内の温度が下げやすく過給圧を掛けやすい。つまり86/BRZは過給器チューンとの相性が良いのだ。

最近は直噴エンジンが増えていて、それらは圧縮比を落とさずそのままで比較的高めの過給圧が掛けられる。これまでの後付けターボよりも大きな効果が得られるのだ。

ちなみにHKSのキットの場合、ターボはノーマル200psに対して大容量インジェクターなどのオプションキットを使えば326psを発揮。ポン付けでも241psのキットと285psのキットがラインアップされている。スーパーチャージャーの場合は、ボルトオンで249ps。アップグレードキットを含むと302psを発揮させることができる。

いずれもECUなどの制御まで込みなので、あとは取付工賃が必要になる。それでも総額で100万円あればノーマルの1.5倍近いパワーとトルクを手に入れることができる。86/BRZはとくに過給器チューンのコストパフォーマンスの高い車種なのだ。

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