ダイハツ京都(大山崎)工場《写真提供 ダイハツ工業》

「悪質極まりない安全性の軽視」(読売)、「トヨタの責任も重い」(朝日)、「安全軽視の責任は重大だ」(毎日)、「車の安全揺るがす行為だ」(産経)、「不正発覚のダイハツは解体的出直しを」(日経)……。

きょう各紙の社説のタイトルである。トヨタ自動車の完全子会社であるダイハツ工業が完成車の認証試験で、新たに174件の不正が判明し、不正の対象がこれまでの6車種から64車種に拡大したと発表してから一夜が明けたが、きょうの紙面は、そのダイハツ不正に関連した続報のオンパレード。

例えば、読売は社説のほかにも1面で「ダイハツ立ち入り検査、認証不正、本社に、行政処分検討へ」などと準トップの記事で報じたほか、総合面には「ダイハツ全工場停止、認証不正影響広がる」との大見出しとともに「取引先『発注どうなる』」「『型式認定』取り消しも、量産不可能に」などとも。

さらに、社会面には「ダイハツ、販売・リース店動揺、問い合わせ相次ぐ」。そして1面コラムの「編集手帳」でも、英国の小説家サマセット・モームが、『月と六ペンス』の作中人物に「苦労が人間をけだかくするというのは、事実に反する…苦労はたいてい、人間をけちに意地悪くする」との書き出しで「1ミリ、1グラム、1円、1秒にこだわる。今やダイハツ工業が掲げる車作りの思想は、けちで意地悪にしか見えない」と指摘。「信頼失墜により失われる企業価値や時間は、むろん1円や1秒ではない」と皮肉混じりに伝えていた。

その1面のコラムでは、読売以外にも、朝日、毎日、産経、東京、日経が “変化球”をつけてテーマに挙げているが、全6紙が同じ日に掲載するのも珍しく、ようやく親会社トヨタの統治責任を言及するような論調もみられる社説同様、読み比べてみるのも興味深い。

2023年12月22日付

●ダイハツ立ち入り検査、認証不正、本社に、行政処分検討へ(読売・1面)

●ダイハツ全工場停止、認証不正影響広がる、取引先「発注どうなる」「型式認定」取り消しも、量産不可能に(読売・2面)

●社説、ダイハツ不正、悪質極まりない安全性の軽視(読売・3面)

●ダイハツ、販売・リース店動揺、問い合わせ相次ぐ(読売・29面)

●ホンダ、インド生産SUVを初輸入、三菱自「トライトン」12年ぶり復活へ(朝日・8面)

●「自転車にも反則金」改正法案提出へ、追い抜く車に安全速度義務も(朝日・33面)

●米で8車種100万台、トヨタがリコール(毎日・6面)

●トヨタきしむグループ経営、危険見過ごし問われる統治(産経・3面)

●エネオス、再びCM中止へ(産経・12面)

●ダイハツ部品420社補償へ、品質不正、生産停止の減収分(日経・1面)

●国、ダイハツに厳格姿勢(日経・3面)

●ホンダ、50cc原付縮小へ、25年免許見直しで125cc運転可能(日経・19面)

●銘柄診断、スズキ、一時4%高、ダイハツ不正で思惑買い(日経・23面)

ホンダWR-V《写真提供 ホンダ》 三菱 トライトン《写真提供 三菱自動車》