ダイハツ工業京都(大山崎)工場《写真提供 ダイハツ工業》

トヨタ自動車の完全子会社であるダイハツ工業が、新車の安全などを確認する試験で新たに25の試験項目で174件の不正が判明。不正の対象がこれまでの6車種から64車種に拡大したと発表した。

◆国交省も立入検査へ
ダイハツでは国内外で販売中の全車種の出荷を停止する一方で、監督官庁の国土交通省も大阪府池田市のダイハツ本社に立ち入り検査し、道路運送車両法に基づく行政処分を検討するという。

きのう(12月20日)午後3時過ぎから、都内のイベントホールで緊急記者会見を開いて、外部の弁護士らで構成する「第三者委員会」による調査報告の後で、ダイハツの奥平総一郎社長と親会社のトヨタから役員序列4番目の中嶋裕樹副社長も出席。

席上、 奥平社長は「大変ご迷惑とご心配をおかけし、心からおわびする」と謝罪するとともに「認証を軽視しているといわれても仕方がない。経営陣に責任があり、自動車メーカーの根幹を揺るがす事態として大変なことだと受け止めている」などと述べた。

◆2014年から急増
きょう各紙も読売、朝日、日経が1面トップで「ダイハツ、全工場停止、国内再開めど立たず」などと報じたほか、経済面や社会面などにも関連記事を大きく取り上げている。

このうち、読売は「短期開発現場にひずみ」「不正1989年から2014年以降急増」とのタイトルで「短期間での開発を追求する経営方針で生じた現場のひずみが浮かび上がった格好だ。出荷停止は長期化する恐れもあり、業績の打撃となることは避けられない」と伝えている。

◆トヨタ自動車の影響
また、朝日は「ダイハツで横行した不正は、親会社のトヨタ自動車の存在を抜きに語れない面もある」としながら「トヨタグループ、さらには日本の『ものづくり』に対する信頼の失墜も心配される」として、親会社のトヨタの管理責任についても言及。

毎日も同様で「今年4月にダイハツの不正が発覚した際、トヨタの豊田章男会長は『トヨタブランドで発生したものであり、ダイハツだけの問題ではない』と陳謝。5月の記者会見でも『グループ一丸となって信頼回復に努める」と述べ、グループ17社の首脳級を集めた不正撲滅に向けた緊急会合を開くなど再発防止に乗り出していた」と説明。

加えて「この日の会見には豊田会長と佐藤恒治社長は姿を見せなかった。トヨタグループの不正再発防止には、豊田氏と佐藤氏両トップが先頭に立った改革ができるかどうかが問われそうだ」とも指摘している。

このダイハツの不正問題とは別に、トヨタ自動車が、助手席のシートセンサーがショートし、エアバッグの制御システムが適切に作動しない恐れがあるとしてカムリやレクサスなど世界で112万台をリコール(回収・無償修理)するというニュースも飛び込んできた。日野自動車にデンソー、そしてトヨタ車体……、国内外を問わずどこもかしこも針の筵状態で年を越すことにもなりそうだ。

2023年12月21日付

●ダイハツ全車種出荷停止、認証試験、不正拡大64車種に、国交省きょう立ち入り(読売・1面)

●ライドシェア地域時間限定、4月解禁発表、基金予算措置3年(読売・2面)

●日産労連要求「ベア1万円」春闘(読売・8面)

●東京海上日動社長に城田氏、広瀬氏は会長に、54歳、トップ若返り(朝日・9面)

●ホンダとデンソー事故遺族訪ね謝罪、燃料ポンプ不具合「真摯に対応」(朝日・30面)

●ガソリン横ばい175円10銭(東京・6面)

●ニュース一言、ヒョンデモビリティジャパン・趙社長(日経・15面)

●ヤマハ発、収益源探し急務、レジャー失速、船外機需要減(日経・19面)