ホンダ N-BOX《写真撮影 宮崎壮人》

◆プレーンで使い心地がよさそうと思わせる「道具」
以前、Dysonのヘアドライヤーを買って帰り、家内から「こんな高価なもの、返してらっしゃい!!」と激しく非難を浴びたことがあった。今、冷静に考えれば、主目的が犬のシャンプー用だったから、(たとえ早く乾かせるとはいえ)確かにそうだったかもしれない。

が、プレーンなデザインで道具として使い心地がよさそう……という思いには抗えなかったのである。ちなみにヘアドライヤーはその後、犬と家内が主として愛用、僕は滅多に使わないのだが……。

『N-BOX』の標準車もプレーンで使い心地がよさそう……そう思わせてくれる道具だ。しかも軽自動車だからランニングコストも含めトータルで経済的負担が小さくて済む。だからもしもある日、N-BOXを買って帰っても、今度は我が家の家内から「返してらっしゃい!!」とは言われないだろう。

◆CVTの熟成が効いたNAエンジンのパフォーマンス
公道試乗で実感したのは、標準車の乗り味が心地いいことだった。足まわりの設定が個別という「N-BOXカスタム」に対して心許なさがあるかといえばまったくそんなことはなく、155/65R14サイズタイヤのエアボリューム(指定空気圧は前/後=240/230kPa)は十分で、穏やかだがシッカリとした乗り心地を提供してくれる。

シートクッションの身体の受け止めも先代よりシッカリ感が増したのも、乗り心地のよさに貢献している。ステアリングの操舵力にも的確な手応えが感じられ、切る/戻すのレスポンスも感覚との齟齬はない。

NAエンジンのパフォーマンスも十分に思える。これにはCVTの制御の熟成が効いている。パワーフィールもごく自然なため、結果的に走行中のノイズ、振動も抑えられ、快適なドライバビリティが味わえる。ADAS(Honda SENSING)関連の各機能の制御、作動も自然な印象で、街中も高速道路でも文字通り安心感の高いドライブが可能だ。

◆先代から大きく変わった「時代分の進化」
グレージュ×グレーの明るい内装も清潔感がある。後席のスライド、折り畳み操作はわかりやすく、やりやすい。スーパーUV、IRカットガラスが全車に標準装備というのはありがたいし、前席シートヒーターの用意もある。何といってもインパネ回りがスッキリとしたデザインになったのは、先代から大きく変わった時代分の進化だ。

車椅子が斜めの場合にそれを補正してくれる電動ウインチ付きの「SLOPE」は、スロープを通常のラゲッジの床としても使えるなど通常の使い勝手のよさにも配慮している。サンシェード内蔵大型ルーフコンソール、ペット用の車外飛び出し防止リードなど、ホンダアクセスが用意する使い勝手のいい純正アクセサリーも豊富に揃う。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

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