プジョー 408 GTハイブリッド《写真撮影 中村孝仁》

都会に住むと、40kmという距離がやはりかなり長く感じる。恐らく東京都内の住人が1日かけて東京を走り回ってようやくたどり着く距離ではないだろうか。

プラグインハイブリッド(PHEV)のプジョー『408 GTハイブリッド』は、満充電でのEV走行距離が42kmと表示される。我が家の場合は横浜市内で、東京の橋(二子玉川)を超えるまでにおよそ10km以上走ってしまうので、東京で用事を済ませて帰宅をすると、だいたいこの二子玉川の橋付近で電池残量がゼロになるケースが多かった。

夏休みの間、この408 GTハイブリッドをお借りして、日常使いであれこれ試してみると、俗にいう試乗と称して例えば箱根に行って帰ってくるのとはまるで違う側面を見せてくれる。即ち一般ユーザーが普通にクルマを使うケースというのは、やはり1回外出して帰宅するまでは精々40km程度だということがよくわかる。

◆BEVに変わるソリューションとしてはPHEVがベストじゃないか
車載コンピューターの燃費(ガソリン)を見ていると実に面白く、走り始めは999km/リットル。当たり前だがガソリンを使わないから燃費計が反応していない。これが、例えばスポーツモードをチョイスすると自動的にエンジンをかけ、電気はアシスト側に回りガソリンを使い始める。

因みにドライブモードはエレクトリック、ハイブリッド、スポーツの3モードで、前述した通りスポーツはガソリン主役で電気は脇役。ハイブリッドはその真逆で電池がゼロになるまでは電気が主役だ。そしてエレクトリックは電気の独り舞台というわけである。

今回は基本ほぼハイブリッドをチョイスして走っている。そんなわけだから毎日およそ50km前後を走って帰宅するケースが多かったのだが、帰宅すると「220km/リットル」とか、常識的でないガソリン燃費が表示されて、距離が積算されるごとにその数値が普段見慣れた燃費数値に下がっていくのが面白かった。最終的に返却時の燃費計は「43.4km/リットル」を示し、今回はあまり距離を稼げなかったこともあって、入った燃料はたったの6リットル。

ガソリン価格が高い昨今だが、ゼロとは言わなくても電欠の恐れがなく、必要に応じて長距離の対応ができ、日常は毎日自宅に帰ってプラグインすれば翌日はまた40kmほどをガソリン無しで走れるわけだから、途中で時間をかけて充電する面倒さから解放されるし、時間的にも節約になってBEVにかわるソリューションとしてはやはりPHEVがベストじゃないかと思うわけである。もちろん端から長距離を走る場合は途中でただのガソリン車になることは覚悟しなくてはならないが…。

◆+300kgの重量も、なかったかのような性能を示す
内装の質感と趣味はかなり洗練されて大した素材は使っていなくても高級車然とした雰囲気を感じさせる。例によってステアリングの上からメーターパネルを覗くiコックピットにもだいぶ慣れたが、先日乗ったトヨタ『プリウス』が同じレイアウトを採っていたのには驚いた。

1.2リットルの3気筒ピュアテックを搭載したICE(内燃機関)のみの「GT」に対し、「GTハイブリッド」は1.6リットル4気筒で、しかもモーターのアシストも加わるから、性能的にはやはりだいぶこちらの方が上。ほぼ300kg重いけれど、そんなものはあたかもなかったかのような性能を示してくれる。

乗り心地と静粛性はほぼほぼ言うことなし。シトロエン同様、Dセグメントに近いサイズ感を持つボディでPHEVだから1740kgもある車重を持ちながら、タイヤサイズは205/55R19。普通このサイズのクルマだと225サイズあたりを履いていておかしくないのだが、このサイズのタイヤでしっかりとした足の踏ん張り感も演出しているからビックリする。

今回は都内往復に使うようなシチュエーションに終始したが、ストップアンドゴーの多い都内で乗ると、いわゆるブレーキのホールドモードが付いていないのが何とも気になった。少ないネガ要素の一つかもしれない。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来46年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。最近はテレビ東京の「開運なんでも鑑定団」という番組で自動車関係出品の鑑定士としても活躍中。

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